2015年6月14日日曜日

さらなる進化を遂げた気鋭のイタリアン・バンドが、最大級の自信をもって放つ会心作 ― BAROCK PROJECT『Skyline』(2015)

Skyline
Skyline
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Barock Project
Artalia (2015-06-08)
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 イタリアン・プログレッシヴ・ロック・バンド バロック・プロジェクトの4thアルバム。コンポーザー/キーボーディストのルカ・ザッビーニとヴォーカリストのルカ・パンカルディを中心に2004年に結成されたBAROCK PROJECTは、2007年にフランスの老舗レーベルMUSEAより『MisterioseVoci』でデビュー。その後、五人編成となり、2009年にイタリアのMELLOW RECORDSより2ndアルバム『Rebus』をリリース。メンバーチェンジを経て、2012年に三人編成で『Coffee In Neukölln』をリリースしております。本作『Skyline』は、ギタリストにMarco Mazzuoccolo、ドラマーにEric Ombelliを加え、再び四人編成となっての作品です。また「バンド主導で、よりクオリティの高い作品制作を行いたい」というメンバー新たな決意のもと、今年の4月7日から5月9日にかけてクラウドファウンディングサイト kickstarterで本作の共同制作プロジェクトを立ち上げ、最終的に$3256を集めファンドを成立させているという背景もあります(わたくしも少しばかり投資いたしました)。晴れて、自主レーベル「ARTALIA」からの第一号作品となった本作のジャケットを手がけたのは、GENESIS『Nursery Cryme』やVan Der Graaf Generator『Pawn Hearts』、Le Orme『Elementi』のジャケットなどでも知られるポール・ホワイトヘッド。そして、NEW TROLLSのヴィットリオ・デ・スカルツィがゲスト参加しております。





 ルーツにあるEL&PやGENESIS、NEW TROLLSなどの影響も消化したうえで、クラシカルなテイストとモダンなセンスを巧みに兼ね備えた彼らのサウンドはデビュー当初から定評がありましたが、前作での洗練を経て、本作でよりいっそう華開いたものを感じさせます。プログレというと過剰に詰め込まれがちなきらいがありますが、このバンドは「重すぎず、しかし軽すぎず」という絶妙なラインで押しと引きをハッキリと見せている。ここがミソなのではないかとわたしは思うのです。EL&P/キース・エマーソンを思わせるクラシカルで華やかなアップテンポのキーボード・プログレッシヴ・チューン"Overture"を一曲目ではなく二曲目に据え、ピアノソロ、ブラス、ストリングスが盛り込まれた変幻自在のアレンジで起伏に富んだ約9分の"Gold"をアルバム一曲目にもってきたところに、彼らの本作への自信のほどがうかがえようというもの。イントロのぶ厚いコーラスワークもフレッシュな掴みとしてバッチリ。ヴィットリオ・デ・スカルツィのヴォーカルとフルートをフィーチャーした"Skyline"は、滋味にあふれる約10分のバラード。単なるハク付けのような起用ではもちろんありません。貫禄のヴォーカルとアコースティック・サウンドを基調にした前半と、颯爽としたフルートが飛び出す小気味良くもハードな後半、ともに聴き応えたっぷりの大曲です。ミドルテンポのハード・ロック チューン"Roadkill"を挟み、再び10分越えの"The Silence of Our Wake"は、アコースティック・ギターのカッティングとストリングス・アレンジが全編に渡って効いた大曲。長さをものともしないのは、コーラスやストリングス・アレンジはもちろん、変拍子を交えた複雑なアレンジも巧みにこなすザッビーニの手腕の妙です。ピアノとストリングスが穏やかなヴォーカルを包み込む小品"The Sound of Dreams" "A Winter's Night"。前作でも聴かせたファンキーなアクセントの効いたプログレッシヴ・ハード"Spinning away"。壮麗なストリングス・アレンジをバックに歌い上げたのち、スリリングなクラシカル・ロック"へと鮮やかに移行するドラマティック極まる大曲"Tired"と、個々の楽曲の密度の高さはラストまでいささかも衰えることなく、再び華麗な起伏に富む"The Longest Sigh"で堂々たるエンディングを演出。まさしく、どこを切っても美味しい、ゆるぎない内容です。現在進行形のイタリアン・プログレッシヴ・ロックの魅力を、ぜひ堪能していただきたい。





 そして『Slyline』は、マーキー/ベル・アンティークから7月25日に国内盤でのリリースを予定しております。これが日本初紹介。kickstarterで$15以上の投資者へのボーナストラックでもあった10分の叙情曲"The Book of Life"と、前作『Coffee in Neukölln』の楽曲"Fool's Epilogue"のライヴテイクの二曲を収録したボーナスCD付の二枚組、紙ジャケット&SHM-CD仕様というあたり、レーベルもかなり力を入れていることがうかがえます。アルバムの曲順は国内盤化にあたり変わっているようですが、メンバーが自信をもって送り出した本作で日本に紹介されるのは実にめでたいです。もっともっと売れて欲しいですし、さらなるワールドワイドな躍進にも大いに期待いたします。

7月25日発売~ベルアンティーク 紙ジャケット・シリーズ~
バロック・プロジェクト / 地平線 (スペシャル・ダブルCD・エディション)


http://www.barockproject.net/
https://www.facebook.com/barockproject

BAROCK PROJECT - Prog Archives

イタリアン・ロックの様式と洗練されたセンスが融合した技ありの一枚― BAROCK PROJECT『Coffee In Neukolln』(2012)

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