はなまるなベストアルバム childhood memories (2010/03/31) TVサントラ、土田先生(日野聡) 他 商品詳細を見る |
今年の1月から3月にかけて放送された、アニメ版「はなまる幼稚園」のサウンドトラック。主題歌集のDISC-1と、本編の劇伴を収録したDISC-2の2枚組。主題歌/劇伴作曲を担当したSadesper Recordは、元Satanic Hell Slaughter~Melt-Bananaの大島昌樹ことWATCHMAN氏と、COALTAR OF THE DEEPERSのNARASAKI氏のふたりによるユニット。NARASAKI氏にとって純粋なアニメサントラ仕事としては2003年のOVA版アクエリアンエイジ以来。アニメ劇伴(それもほのぼの系)にデスメタル/ノイズ/シューゲイザー畑からの人員起用というのは一見すると凄まじいギャップを感じますが、この二人にオファーを持ちかけた水島精二監督にグッジョブと言わせていただきます。
実際の本編楽曲はチャイルディッシュかつファンシーで非常にほのぼのとしたムードとソフトなサウンドに彩られた楽曲ばかりで、非常に癒されます(ちなみにWATCHMAN氏は原作漫画の大ファンだとか)。サウンドトラックサイドはおとなしい内容ですが、各エピソードごとに用意されたエンディング曲を全て収録した主題歌サイドは各人の持ち味を発揮した内容になっています。NARASAKI氏は得意のシューゲイザーを皮切りに、ネオアコ、テクノポップ、ジャズ、フォークと多彩な曲調で10曲提供。「笑顔ならべて」や「発動!! らぶビーム☆」など、NARASAKI氏のポップセンスはロリ声と凄まじく相性が良いし、甘酸っぱく仕立て上げられたシューゲイザー「黒糖ドロップ」(コメントで4ADレーベルに言及しているあたり、タイトルはコクトーツインズに引っ掛けた?)や、シンプルながら味わい深い"80's和風ニューウェイヴ細野風味"オリエンタル・エレポップ「撫子ロマンス」は珠玉。林正樹氏や小野研二氏といったジャズ畑のミュージシャン揃いの「黒ネコのジャズ」もムード十分。また、カントリー・フォーク調の「草の指輪 花の冠」でギターを弾いているのが俊英女性ギタリストであるKAKI KINGでビックリ。ギターを録ってもらうためにニューヨークに飛んだというNARASAKI氏のこだわりには頭が下がります。WATCHMAN氏はエレクトロニカをベースとした楽曲を4曲提供。ドリーミーな甘口トイトロニカ「あのねきいてね」、痛快に爆走するエレクトロ・デジロック「ハートの法則」、ギラギラした音の粒が派手に弾ける「Yes We Can!!」(ちなみにこの曲、WATCHMAN氏のソロアルバムの作風に近いものがあります)、トドメには脳みそを良い感じにペースト状にしてくれるお遊戯歌「ぱんだねこ体操」。ある種の極めつけです。
ところで、第2話のED曲「キグルミ惑星」のみ、コジマミノリという方による楽曲なのですが、これがまた強烈。プログレ調スペース・ロック・オペラという壮大な曲想(心なしか90年代後期の筋肉少女帯っぽくも感じる)がぶっ飛びまくってて素敵です。ギターに橘高文彦(筋肉少女帯)、ベースに村井研次郎(cali≠gari)、ドラムスに下田武男(WHITE FANG)というバックのメンツにも驚かされますが、ロリ声とオペラティックなハイトーンで交互に歌い上げる高垣彩陽嬢の存在感が殊のほか素晴らしい。7分近くあるという大曲ですが、コジマさん曰くそれでも大分削ってこの形になったとのことで、なんともはや。
●はなまる幼稚園:Wikipedia
●NARASAKI:Wikipedia
●WATCHMAN:Official