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2016/09/08

チェロ、バスーンを主体にした、英国の妖艶なるネオクラシカルフォークロックバンド ― Moulettes『Preternatural』(2016)

Preternatural
Preternatural
posted with amazlet at 16.09.07
Moulettes
Imports (2016-06-03)
売り上げランキング: 626,315


 ザ・モウレッツは、イギリスを拠点に活動を展開する男女五人組のアコースティック・フォーク・グループ。2002年に結成され、活動初期には現 MUMFORD & SONSのテッド・ドウェインも名を連ねていました。2010年にアルバム『The Moulettes』でデビューしたのち、これまでに四枚のアルバムと三枚のEPをリリース。イギリスのフォーク/ポップス レーベル Navigator Recordsからのリリースとなった三作目のアルバム『Constellations』(2014)では、デヴィッド・ボウイやT-REXとの共演でも知られるハービー・フラワーや、ブリティッシュ・ロック界の怪老アーサー・ブラウン、Band of Skulls、MYSTERY JETS、The Unthanks、二十数名の大編成シンフォニー・オーケストラとの共演を果たし、彼らにとってマイルストーン的な一枚となりました。ダブルベース、チェロ、バスーン、ヴァイオリン、オートハープなどをアンサンブルの核とし、妖艶なヴォーカル/コーラスをフィーチャーしたサウンドは、サイケデリック・フォークのテイストもたっぷりと滲ませつつ、時にヘヴィな一体感を伴ってアグレッシヴに展開され、チェンバー・ロックやアヴァン・ポップにも軽々と肉迫する非常にユニークで越境的な作風。さながらクロノス・クァルテットがケイト・ブッシュをフィーチャリングしたような印象も感じさせますし、PENTANGLEやGRYPHON、GENTLE GIANTを思わせるところも多分にあります(ちなみに、ベーシストのジム・モルティモアは、GENTLE GIANTのドラマー マルコム・モルティモアの息子です)。本作『Preternatural』は四作目となる彼らの最新アルバム。エレクトリックなテイストをいっそう強めてきており、冒頭の"Behemoth"ではエフェクトをガンガンに噛ませた刺激的なフォーク・ロックが炸裂し、"Lady of the Midnight Sun" "Hidden World (Halicephalobus Mephisto)"ではハープ、ストリングス、ヴォーカルが妖しくもファンタジックなムードをどっぷりと演出。ポップなエレクトロ・フォークといった感のある"Patterns"や、カラフルなコーラスワークが、疾走感と低音の効いた曲調と絡み合う"Rite of Passage" "Parasite"なども絶品です。なお、iTunes配信版にはボーナストラックが一曲追加されており、ロブ・ジョイスによる、前作アルバム収録曲"Glorious Year"のエレクトロ・リミックス・ヴァージョンを聴くことができます。





http://www.moulettes.co.uk/
https://www.facebook.com/pages/Moulettes/181614811902710
https://soundcloud.com/moulettes

2016/06/07

デンマーク発のクレズマー/チェンバー・フォークサウンドの魅力に酔いしれる ― AFENGINN『OPUS』(2016)

 クラリネット、マンドリン、ヴァイオリン、マリンバを主体にしたデンマークのクレズマー/チェンバー・フォーク系バンド アフェンジンの6thアルバムとなる『Opus』が、4月29日にリリースされました。ワールドミュージックの多様性と、ポスト・クラシカルのひんやりとした空気を兼ね備えたハイブリッドなフォークサウンドで全編が貫かれております。




 バンド名の「AFENGINN」は、古ノルド語で「酔い」と「強さ」を意味する語。ともにコペンハーゲンの大学で音楽理論を学んでいたキム・ラファエル・ナイベルグ(フィンランド出身)と、ルネ・コフォードの二人を中心として2002年に結成。ノルウェーのKaizers Orchestra、フィンランドのALAMAAILMAN VASARAT、イギリスのThe Tiger Lillies、アメリカのGOGOL BORDELLOなどのフォーク・ミクスチャー系のバンドの影響を取り込みながら、2003年にデモEP「Tivoli Invaliid」を制作し、翌2004年にアルバム『Retrograd』でデビュー。多くの管弦楽器奏者を迎えて制作された同作は本国の音楽賞のワールドミュージック部門を受賞。間を置かずして2006年に2ndアルバム『Akrobakkus』を発表し、バンドの知名度はさらに上がります。その後、ポーランド出身のベーシスト アンドレイ・クレジニウクが脱退し、セッションギタリストのアシュケ・ジャコビーが後任に加入。ニューヨークのクレズマー・ブラスロックバンド The Klezmaticsのコンポーザー/トランペッターであるフランク・ロンドンとの海を渡っての共演を経て、2008年に3rdアルバム『Reptilica Polaris』を発表。同作ではコーラス隊やヴォーカルを大々的にフィーチャーし、翌2009年の4thアルバム『Bastard Ethno』では室内楽的サウンドとポストロック色を強めるなど、意欲的なスタイルでの作品が続きました。その後、結成10周年記念ライヴをふくむ各国のツアーや、本国のバレエ団(Cross Connection Ballet Company)とのコラボレーションにしばらく注力し(その間、アシュケが自身の活動をメインにしたいとのことで脱退)、2013年に5thアルバム『Lux』を発表。大編成のコーラス隊とマリンバ/ヴィブラフォン奏者を帯同してのライヴ・コラボレーション「CHOIRNEVALE」も立ち上げています。リリース後、長年活動をともにしたルネが脱退するという大きな転機を迎えますが、最新作『Opus』では、ガンナー・ハル、サミュエル・ハルクヴィストといった北欧ジャズアーティストのレコーディングに参加していたクヌート・フィンスラッドと、ミクスチャーポップバンド Danjalのウルリク・ブロフウスのふたりのドラマーを後任に据え、ヤン・ティルセンとの仕事でも知られるオラヴァ・ヤクプソンをゲストヴォーカルに迎え、レコーディングが行われました。



http://www.afenginn.dk/
https://facebook.com/afenginn
https://www.youtube.com/user/AfenginnTube
最新作をのぞき、バンドのこれまでのカタログは公式YouTubeアカウントで全曲アップロードされています。

▽Afenginn: a RootsWorld interview

2016/03/01

激しい叙情が染みいる、黄昏のプログレッシブハードフォークバンド ― 曇ヶ原『独言独笑』(2016)


https://soundcloud.com/kumorigahara

 かつてニューウェイヴバンド ピノリュックや歌謡ハードロックバンド ぐゎらん堂などにベーシストとして在籍していた石垣翔大氏によって結成された“日本語によるプログレッシブハードフォーク”バンド 曇ヶ原の1stアルバム。石垣氏の弾き語りソロユニットとして2010年6月より活動を開始した曇ヶ原は、2013年9月よりバンドスタイルへと発展。現在に至るまでコンスタントなペースで自主企画や対バンなどを行っております。また、初期には「例のK」(中学生棺桶の後身バンド)のヤミニ氏もギタリストとして在籍しておりました(その後、プログレッシヴハードコアバンド Emily likes tennisでも豪腕をふるうエンリケ後悔王子に交代)。






 本作『独言独笑』は全6曲。デモCD時代からの楽曲をふくめほとんどが7~11分に及ぶ長尺であり、タイトなリズム隊と暴れまくるキーボードが白熱の応酬を繰り広げるハード/プログレッシヴなパートと、黄昏た情景を喚起させるフォーキーなパートとが交互に展開される構成。変拍子アンサンブルのアグレッシヴな一体感に初期のKING CRIMSONやYESを、可変性に富みながらも時にハッとするような場面が到来する作風に、石垣氏が敬愛するプログレッシヴパンクバンド「痛郎」を彷彿とさせつつ、ふんだんに盛り込まれた展開をシームレスに噛み合わせていくバンドの手腕の巧みさも光ります。ハイライトは"うさぎの涙"や"砂上の朝焼け"といった大曲ですが、一方で、コンパクトな尺のなかで加速度的に起承転結が展開される"無風地帯"(石垣氏とエンリケ後悔王子の共作曲)も印象深いですし、ストレートな歌心をぶつけるピアノ主体のウェットなスロウバラード"雪虫"は、じんわりと染み入るラストを演出しています。




『独言独笑』

01. うさぎの涙
02. 午前三時
03. 無風地帯
04. 鉛色
05. 砂上の朝焼け
06. 雪虫


ジャケットデザイン:いとうかおす
録音・ミックス:ミツビシテツロウ(カタカナ)
マスタリング:中村宗一郎(ピースミュージック)
帯コメント:井手宣裕(痛郎)


《公式サイト》
http://kgh.lix.jp/
CDの通販案内もこちらで 

2014/10/21

パトリック・モディアノと音楽 ― シャンソン、ポップス、フォークとの関わり

先ごろ、2014年度のノーベル文学賞に輝いたパトリック・モディアノ。ゴンクール賞を受賞した1978年発表の『暗いブティック通り』や、後に映画化もされた1974年発表の『ルシアンの青春』、1975年発表の『イヴォンヌの香り』で知られるフランスの作家です。彼のデビュー作は1967年に執筆され、翌年四月にガリマール社より刊行された『La Place de l'etoile(エトワール通り)』ですが、実はそれに前後してシャンソンの作詞家としても活動しておりました。また、後述する「とある人物」と組んで音楽作品も発表していたのです。今回のテーマは「パトリック・モディアノと音楽」というテーマで、ひとつ探っていきたいと思います。



モディアノ氏はパリの名門として知られるアンリ四世高等学校(Lycee Henri-IV)時代に、後にエレクトリック・フォーク/サロン・チェンバー・グループ MALICORNEの中核メンバーとして参加し、バンド解散後にはコンポーザー/アレンジャーや、ワールド・ミュージック系のプロジェクト Songs of Innocenceのプロデュースでも活動を展開するユーグ・ド・クールソン(Hughes De Courson)とも出会っております。モディアノが作詞を、クールソンが作曲をそれぞれ担当して制作した楽曲を収録したアルバム『Fonds de tiroir 1967』は、1979年にBallon Noirレーベルよりリリースされました。2005年にはCD化もされ、現在はiTunes storeやAmazon mp3などでダウンロード販売されております。

https://itunes.apple.com/jp/album/fonds-de-tiroir-1967/id543168470

瀟洒なシャンソン/カリプソ・ナンバーと優雅なフォーク・インストゥルメンタルが交錯し、時に実験的な趣向も織り込んだバラエティも豊かな12の小曲から成る同アルバムは、一部の楽曲でイギリスのフォーク/プログレッシヴ・ロック・バンド GRYPHONのメンバーであるBrian Gullandがバスーンで参加しているのもポイントです(ちなみに、彼は後にMALICORNEのアルバム『Balançoire en feu』(1981)にも参加します)。また、アルバムの最初と最後に配された"La Valse Druse"は、2005年にリリースされた編集盤『Marie De Maricorne』で再録版を聴くことができます。リリース元のBallon Noirレーベルにも触れておくと、このレーベルは同国のフォークやプログレッシヴ・ロック系のカタログを抱えていたレーベルで、MALICORNEの諸作や、フレンチ・アシッド・フォークの名作として人気の高いエマニュエル・パルーナンの唯一作、ブノワ・ウィデマン、ローラン・チボーといった初期MAGMAのメンバーのソロ作も同レーベルから発表されておりました。

http://www.discogs.com/label/92732-Ballon-Noir



また、モディアノ氏はシャンソン歌手への作詞提供もいくつか行っておりました。そしてこちらでも、クールソン氏とのタッグを組んでいたわけです。



Françoise Hardy "Etonnez-Moi, Benoit...!"
Comment te dire adieuComment te dire adieu
(1997/01/27)
Francoise Hardy

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フランスの女性シンガーソングライター フランソワーズ・アルディの代表作のひとつ『Comment te dire adieu ? (さよならを教えて)』(1968)。同作は、アーノルド・ゴーランド作曲の"It Hurts To Say Goodbye"に、セルジュ・ゲンズブールが仏語歌詞をつけ、それをアルディがカヴァーした表題曲で知られるアルバムですが、その後半にこの楽曲が収録されています。邦題は「驚かせてよ、ブノワ」。作詞はモディアノ、作曲はクールソン。シングルのB面曲にもなっています。





Françoise Hardy "San Salvador"
SoleilSoleil
(1998/11/17)
Francoise Hardy

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『Soleil (アルディのおとぎ話)』(1970)に収録。映画『禁じられた遊び』のテーマ曲としてよく知られる"愛のロマンス"のシャンソン・カヴァー・アレンジ。邦題は"幻のサン・サルバドール"。作詞がモディアノ/クールソンの連名となっています(アレンジャーは大御所 Jean-Claude Vannier)。



Régine "L'Aspire-A-Coeurs"
レジーネ・ジルバーベルグ(Régine Zylberberg)はベルギー生まれのフランス人女性シンガー。ナイトクラブのマネージャーとしても知られ、パリのナイトクラブを現在のような形のスタイルに仕立て上げたゴッドマザー的存在でもあるようです。そんな彼女の五枚目(?)のアルバム『La Fille Que Je Suis』(1970)に、モディアノ/クールソンのタッグが提供した楽曲がこちら。なお、演奏はAlain Goraguer指揮の楽団によるもの。ゴラゲールはセルジュ・ゲンズブールやボリス・ヴィアンの楽曲のアレンジャーでも知られる人ですが、本作のほとんどの楽曲の演奏を手がけています。




Henri Seroka "Les Oiseaux Reviennent"
アンリ・セロカはベルギーのシンガーソングライター/コンポーザー。楽曲提供や映画音楽での仕事のほか、1984年のロサンゼルス・オリンピックのベルギーのテーマを作曲し、ゴールドディスクを獲得しています。彼のデビュー作である『Les Oiseaux Reviennent』(1971)には、モディアノ/クールソンのタッグによる提供曲が1曲収められております。華やかなアレンジのポップスナンバーです。

http://www.amazon.co.jp/Les-oiseaux-reviennent/dp/B003VJ55PW




Bal Perdu "Melecass"
先に紹介した楽曲とは違い、こちらはさらに時代を経て1987年にリリースされた7インチシングルのA面曲。モディアノ/クールソンのタッグが曲を書いているのですが、このユニットの作品はこのシングルだけだった模様。 クレジットに記載されている情報から推測するに、Jean-Philippe Brochardという鍵盤奏者と、以前はLa Mirlitantouilleというフォーク系バンドに在籍していたLouis-Pierre Guinardというヴォーカリストの二人が中心のユニットのようですが、詳しい情報はほとんどわかりませんでした。


 


I'm Not a RoseI'm Not a Rose
(2006/04/25)
Marie Modiano

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ところで、モディアノ氏の娘であるマリー・モディアノはシンガーソングライターとして活動しており、2006年に『I'm Not a Rose』でデビュー。現在までに四枚のアルバムを発表しています。ヴァイオリンやキーボードを擁した編成のバックバンドを従えて、ロック、フォーク、ジャズからの影響も感じさせるフレンチ・ポップスを聴かせてくれます。ライヴパフォーマンスもなかなかエネルギッシュ。




◆La chanson, première expérience de Patrick Modiano - La Croix
◆「もしも「ノーベル映画賞」があったら
ノーベル文学賞受賞者パトリック・モディアノの時と記憶と映画」 ‐ JPRESS
●Patrick Modiano - Wikipedia
●MALICORNE - Progarchives
●フランソワーズ・アルディ - Wikipedia
●Marie Modiano - discogs

2013/02/22

YS『Madame la Frontiére』(1975)



フレンチトラッドの大御所アラン・スティーヴェルのバックバンド出身のメンバーが結成したフォーク・ロック・バンドの75年作品(未CD化)。ビーズによるドット絵ジャケも味わい深い。トラッド・フォークなアンサンブルだけどギターが結構ハードなテイスト。アルバム発表直後にヴァイオリン奏者が脱退したため、YS名義ではこの1枚しか残してないそうなのですが、残ったメンバーは後任にデヴィッド・ローズを迎えて、KERISとバンド名も変えてもう1枚アルバムを出したそうな。一方、YSを脱退したヴァイオリン奏者René Werneerはソロアルバムをリリースしており、こちらはより古楽志向が強め。GRYPHONのブライアン・ガランドも参加しているのだけども、これも未CD化という…。



2010/06/17

Cecile Corbel『Songbook Vol.1』『Songbook Vol.2』(2006/2008)

SongBooK 1(国内盤限定ボーナストラック収録)
セシル・コルベル
ヤマハミュージックコミュニケーションズ (2010-07-07)
売り上げランキング: 106,637


 今年夏に公開されるスタジオ・ジブリ制作の映画「借りぐらしのアリエッティ」の主題歌に抜擢され注目を浴びている、フランスはブルターニュ出身の女性ハーピストにしてシンガー  セシル・コルベルが2006年に発表した2ndアルバム。ハープ弾き語りシンガーというと、近年ではアメリカのジョアンナ・ニューサムの名前が挙がりますが、インディー・ポップス寄りの存在であるあちらに対し、こちらはより土着のトラッドに根ざした存在。ややあどけなさの残るコケティッシュな歌声は、セシルの公式サイトではケイト・ブッシュやシネイド・オコナー、エンヤが引き合いに出されていますが、むしろ印象としてはロリーナ・マッケニット、マギー・ライリー、カーラ・ディロンあたりがより近いという感じもします。12曲中8曲がトラディショナル・ナンバーのアレンジで、残りがセシル自身の作曲による楽曲で構成。ケルティック・ハープを前面に押し出しつつ、ヴィオラやチェロ、コラ(リュート型楽器)を絡めたアコースティック主体のアンサンブルで躍動感溢れる現代的なアレンジがなされており、全体的に古臭さを感じさせないフレッシュな仕上がりになっています。軽快に歌い上げられる「Suil A Ruin」、ささやかながらも効果的なストリングスアレンジが引き立てる「Auchindoun」「Blackbird」も印象的ですが、つまびかれる素朴なハープの音色を味わえる「Valse Des Ondines (2006 Version)」で迎えるラストも素晴らしい。素朴な味わいのアコースティックなトラッド・ポップスを求めるなら本作でしょう。






SongBooK vol.2(国内盤限定ボーナストラック収録)
セシル・コルベル
ヤマハミュージックコミュニケーションズ (2010-07-07)
売り上げランキング: 86,754


 2008年発表の3rdアルバム『Songbook Vol.2』では、トラディショナルなナンバー以上にセシル自身による楽曲がぐっと増え(12曲中8曲)、エレクトリック・ギターやハープシコード、サックス、バグパイプ、ホイッスルなど、楽器隊の使用楽器類が増えたことによりアレンジがより色彩豊かになっています。何より、狂おしいまでに哀愁を漂わせるドラマティックな曲調の楽曲が多いのがポイントでありましょう。「En La May」や「Lover's Farewell」はロック的なダイナミズムを感じさせる楽曲で、特に後者は男性ヴォーカリストのジミー・オニールとのデュエット曲となっており、ストリングスを存分にフィーチャーした壮大なアレンジのバラードは、シンフォニックなフォーク・ロックといっても差し支えないほど。バグパイプが高らかに鳴り響き広大なイメージを喚起させる「The Great Selkie」や、アンサンブルの充実ぶりが伺えるインストゥルメンタル「Innocence」も聴きものです。もちろん、彼女の甘いヴォーカルを存分に生かした楽曲も充実しており、「Painted Veil」や「I See The Great Mountains」などはストレートに魅力が伝わる佳曲。アンサンブルが一転してヴォーカルの引き立てに徹しているのがまた素晴らしい。壮大でドラマティックな方向性と盛りだくさんなヴォリュームを求めるなら本作をオススメいたします。ちなみに、先ごろ4枚目のソロアルバム 兼 アリエッティのイメージ歌集として『借りぐらし』がリリースされました。また、ソングブックVol.1、Vol.2共に、ボーナス・トラック入りの国内盤が7月7日にリリース予定とのことです。




http://www.cecile-corbel.com/