2017年4月12日水曜日

みゆはん『自己スキーマ』(2017)

自己スキーマ【通常盤】
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みゆはん
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 香川県出身の「コミュ障シンガーソングライター」(自称)、みゆはんのメジャーデビューミニアルバム。彼女のプロフィールについては最近までほとんど知らず、このアルバムを手に取った最初の動機は「けものフレンズ」のエンディングテーマである"ぼくのフレンド"をとにかく聴きたいがためだったのだけれども、全曲めちゃくちゃ良くてすっかり参ってしまった次第。すべての作詞・作曲のみならず、オリジナルアパレル、グッズ、アートワーク展開もふくめたマルチなセルフプロデュース能力の高さもブリリアントなものを感じました。そして、各編曲担当者のそれぞれの手腕も素晴らしい。みゆはんが現在所属している事務所「ハイスピードボーイズ」は、GReeeeNや同グループのプロデューサーでありメンバーの実兄 JIN氏率いるバンド High Speed Boyzを抱え、Diosta inc.(マネジメント/プロデュース会社)を擁しているクリエイター集団でもあります。nishi-ken氏(宇都宮隆、中川翔子、平野綾、GReeeeNなどの作編曲)や高田翼氏(GReeeeN、whiteeeenなどの作編曲)がアルバムの編曲者に名前を連ねているのもそのつながりでしょう。


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 アルバムタイトルの『自己スキーマ』は、「自己の心象・概念」を意味し、アルバムの制作にあたって自己を見つめなおす時間がたくさんあったこともあり、このタイトルにしたとのこと。カウンセラーを目指し、大学で心理学を専攻していた彼女らしいネーミングでもあります。また、楽曲のテーマは自身や友人の体験談がベースとなっており、アルバムのおおまかな流れは「一曲目(前向き)→二曲目(お花畑恋愛)→三曲目(メンヘラ化)→四曲目(失恋)→五曲目(片想い)→ぼくのフレンド(やっぱ友達最高)という構成」本人ツイートより)とのこと。




 幸せを運ぶ妖怪であるケセランパセランとケセラセラ (Que Sera, Sera=なるようになる)をひっかけ、自身を鼓舞するためにも書いたという"ケセランパセラン"は、mikito=みきとPの編曲による軽やかなドライヴ感あふれるギターロックチューン。"君が好きだ"は、Cherieやステレオポニーなどを手がけるユニット R_Men_Soul(清水一平&松浦克貴)編曲による、等身大のラヴソング。"キヲク"は、“渋谷系RPG”アプリゲーム「キヲクロスト」のコラボレーション曲であり、三拍子のドラマティックな幻想曲。編曲は高田翼氏。ちなみに、みゆはんがLogic Proでの打ち込みで制作した編曲前のデモ版が本人のツイートでアップされており、制作過程を知る上でも興味深いです。

 失恋ソング"花火のような恋"はnishi-ken氏編曲によるシンフォニック・バラード。アコースティックギターを弾いているのは、元.レベッカ~筋肉少女帯、現.鬼束ちひろ & BILLYS SANDWITCHESのメンバーであり、歴戦のサポートギタリストである友森昭一氏。"ワンサイデッドラヴ"は比較的最近になってつくられた楽曲であり、やや大人びた歌唱を聴かせる、洋楽影響下のファンク・ポップチューン。編曲はNaoki Itai氏。なお、この曲のみバンド編成(Naoki Itai[g]/Sakurai Rock(櫻井陸来)[b]/モチヅキヤスノリ[pf, kbds])で録音されています。ラストを飾る"ぼくのフレンド"はアニメ「けものフレンズ」のための書き下ろし曲。編曲はふたたびR_Men_Soulが担当しています。アニメ本編の展開やシーンと見事なシンクロをみせる詞は視聴者にとってとにかく感慨深いものがありますが、ブックレットの同曲の歌詞ページには「卒業メッセージが寄せ書きされた黒板」のイラストカットがあしらわれており、れっきとした卒業ソングでもあります。


「けもフレで人気のみゆはん! “コミュ障シンガー・ソングライター”という新世代アーティストの出現」
(from Yahoo!ニュース|2017.02.25)

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