2016年1月8日金曜日

硝煙と鋼鉄の匂い立ちこめる、ストリングスとハードエッジサウンドのミクスチャー ― 工藤吉三『メタルサーガ~荒野の方舟~オリジナルサウンドトラック』(2015)

メタルサーガ~荒野の方舟~オリジナル・サウンドトラック
ゲーム・ミュージック
ベイシスケイプ レコーズ (2015-11-25)
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 データイーストの「メタルマックス」の流れを汲むRPGとして、サクセスの開発で2005年に始動、2015年で十年目を迎えた〈メタルサーガ〉シリーズ。その最新作である「メタルサーガ~荒野の方舟~」のサウンドトラック。〈メタルマックス〉〈メタルサーガ〉シリーズのサウンドといえば門倉聡氏ですが、今作ではベイシスケイプが楽曲を担当。作編曲を手がける工藤吉三(よしみ)氏は、これまでに「怒首領蜂 大復活」、「戦場のヴァルキュリア」(編曲)、「朧村正」、「グランナイツヒストリー」など多数のタイトルのBGM制作に参加。プログレッシヴ・メタル影響下の高密度かつパワフルなサウンドや壮麗なオーケストラ/ストリングスアレンジをはじめ、多種多様なサウンドに対応できるコンポーザー/アレンジャー。禍々しくも荘厳なコーラス&シンフォニックサウンドがこだまする「怒首領蜂 大復活」の"ロンゲーナカンタータ"(Final Boss BGM)や、剣戟のごとく切れ味鋭いヴァイオリンが乱れ飛ぶ「グランナイツヒストリー」の"Fighting Blade" "Assault of Brave Flame"など、いわゆる「キラーチューン」にも定評のある人です。

 今作では、シリーズの代名詞的な「鉄」「油」「硝煙」のイメージを大切にしつつも、工藤氏の持ち前のキレッキレのセンスが爆裂しており、派手なストリングス・サウンドとハードエッジなプログレッシヴ・メタル・サウンドを柱とした仕上がり。激しいスクリーム込みのミクスチャー・メタルな主題歌"Crack down!"ではギタリストとして、ロックバンド KANDO BANDOのヴォーカリストであるスティーヴン・マクネア氏と、クラブジャズバンド Blu-Swingのベーシスト蓮池真治氏と共にバンドスタイルで参加されてもおります。DREAM THEATERを思わせるシンフォニック・プログレッシヴ・メタルな"メイン・タイトル~荒野の方舟~"や、"NO BULLETS, NO LIFE" "On the Edge" "昨日の友は今日の敵"などのハードドライヴィンなキレ味とフックを搭載した戦闘曲の突き抜ける疾走感。オルガンサウンドもアクセントな"ワーカホリッカーズジャム"。スライドギターとパーカッションで砂煙吹きすさぶイメージが喚起される"大地と風と"。マッドなイメージがダブステップとマッチした"エレガント蘇者ダンス"。また、アンビエント/エレクトロタッチが基調のダンジョンBGMのなかでも、バグパイプ入りの勇壮なマーチである"65536歩のマーチ"は異色の一曲。クワイアコーラスとエレクトロビートがギターソロと共に煽りに煽る"Giant Killing"や、ミクスチャー感あふれるてんこ盛りのエピック・サウンドといった感のある"Traverse The Ancient Protocol"など、オーケストラアレンジに種々雑多な要素をミックスさせた楽曲のユニークさも手応え十分です。そして、全編にほとばしる乾いた“熱さ”を感じてください。




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