オリジナル曲もさることながら、カヴァーもただものならざるセンスが爆裂しており、いい意味で「ぶっ壊れ」ています。これまで料理してきた楽曲は「シンプソンズのテーマ」、WEATHER REPORT"Birdland"、ABBA"Gimme, Gimme, Gimme"、フランク・ザッパ(メドレー形式でカヴァー)など多数。彼らのライヴではジャズスタンダードの"Take Five"や、「ピンクパンサーのテーマ」のメタリック・ジャズ・カヴァーが定番となっており、抱腹絶倒のパフォーマンスをイヤと言うほど見せつけてくれます。近年はFREAK KITCHENのハイパーギタリスト マティアス・エクルンドをフィーチャーした"The IKEA Trauma"でPVを制作するなど、外部とのコラボレーションにも余念がありません。「IKEAのトラウマ」という人を喰った曲名もまたイカスのです。
Panzerballett
Soulfood (2015-11-20)
売り上げランキング: 78,071
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タイトルで人を喰うのはこのバンドの伝統芸ですが、通産5thフルアルバムとなる本作『Breaking Brain』も、一曲目でEurobeatならぬ"Euroblast"をぶちかましております。リフのみじん切り。二曲目"Typewriter II"ではタイプライターの打鍵音をザクザクのギターリフと同期させるという一発ネタのようなアイデアを実にカッコよく料理しており、してやられた! の一言。ガワはジャズなのに中心部で否応なくヘヴィなグルーヴが渦巻いている"Der Saxdiktator" "FrantiK Nervesaw"。ファンク、ブギー、フュージョンをヘヴィネスで連結してじっくりと煮込んだような"Smoochy Borg Funk"もスルメな味わい。"Shunyai/Intro" "Shunyai"では、インドの名パーカッション奏者 トリロク・グルトゥがゲスト参加。ヴォイスパフォーマンス込みの細やかな超絶パーカッションプレイがセクシィなサックスのブロウとヘヴィなアンサンブルに絡むことでさらなる化学反応が生まれております。ラストは、『Starke Stücke』(2008)以来二度目となる"Pink Panther (ピンクパンサーのテーマ)"のカヴァー。しょっぱなからヘヴィなグルーヴで圧倒してはいますが、今回はどちらかというとジャズに寄せた印象です。ケッタイなメタリック・ジャズ・ロックですが、ストイックさを感じさせない親しみやすさたっぷりの彼らのケッタイさは、独特のミクスチャー感覚ともども貴重な存在です。ホント、強みですよ。
http://www.panzerballett.de/
なお、『Breaking Brain』は、来月にマーキー/ベル・アンティークから国内盤仕様(輸入盤に帯・解説を付けたもの)で流通するそうです。五作目にして日本初紹介。「パンザーバレット」だとなんだか締まらない気もするのですが、入手しやすくなるのは誠にめでたい。あわよくばさらに知名度が上がって、来日してくれれば言うことありませんね!
★NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【PANZERBALLETT : BREAKING BRAIN】
(from Marunouchi Muzik Magazine)
http://sin23ou.heavy.jp/?p=6122
Jan Zehrfeldへのインタビュー(日本語)
https://www.facebook.com/Panzerballett-Official-FB-177186085648197/
http://www.progarchives.com/artist.asp?id=2906