神格 (2012/02/25) アポテオジ 商品詳細を見る |
イタリアのシンフォニック・ロック・バンド アポテオジが、75年に発表した唯一のアルバム。メンバー5人のうち3人(プロデューサーも含めると4人)の名前が"Ida"姓を持っているということで、どうやらファミリーで結成したバンドであったようです。基本的にクラシカルかつ叙情的な曲調(初期のKING CRIMSONを思わせるところも少々)で、間あいだに細やかなジャズ・ロック的展開を差し挟んでちょっとした盛り上げ所を設けているといった楽曲構成。ひとたびスイッチが入るとバタバタしたスタイルで疾走するアンサンブルや、力強くストレートに歌い上げるバンドの紅一点シルヴァナ嬢のヴォーカル・パートに突入すると一転して熱量が上がりますが、全体的には軽やかでさっぱりとしており、泥臭さや暑苦しさとは結構距離が置かれているといった感じ。楽曲は短いもので2分半、長いもので15分の全5曲。派手さ控えめなため楽曲展開に物足りない部分も多々ありますが、逆に言えば非常にとっつきやすいものがあると言えます。テロテロと滑り込んでいくギターはコンパクトにまとまっておりながらも、インストパートでなかなかの冴えを見せてくれますし、スパスパと細かく刻んでいく手数の多いドラムがタイトさやスリリングさにいっそうの拍車をかけていてツボを程良く押さております。キーボード類はムーグやアープ、オルガン、ピアノなどが駆使され、時にユーモラス、時にメロディアスに表情を変えつつもしっかりとアンサンブルを支える働きに徹しており、まさに屋台骨といった存在感を示しています。キーボード担当のマッシモ・イダ氏はどうやら当時若干14歳かそこらだったそうですが、いやはや良い仕事してます(音使いがPFMのフラヴィオ・プレモーリっぽいのは、やはりメンバーが影響を受けていたからなのかしらん?)。イタリアン・ロックの入門盤としてオススメ!…というものではないですが、要所要所で光るものがあるいぶし銀的な1枚であるのは確かです。ちなみに現在、イダ氏はイタリア本国でコンポーザー/アレンジャーとして活躍しております。
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