2018年4月1日日曜日

22年目のデスクリムゾン、オリジナルコンポーザーによるサウンドトラック・セルフカヴァー



 1996年8月9日にエコールソフトウェアがセガサターン用ソフトとしてリリースしたデスクリムゾンが今年で発売22年目を迎えます。2016年の発売20周年のときには勝手にお祝いしました。

祝「デスクリムゾン」20周年――せっかくだから、俺はデスクリムゾンのサウンドを改めて振り返るぜ

http://camelletgo.blogspot.jp/2016/08/death-crimson20th-sound-history.html


 初代デスクリムゾンのコンポーザーである渡辺邦孝氏は70年代にはロックキーボーディストとして活躍されており、後にハードロックバンド「アクション」を結成する高橋ヨシロウ氏と共に「山水館」で活動(同バンドは五十嵐久勝氏や平山照継氏を擁していた「シェラザード」と合流し、1979年初頭にプログレッシヴ・ロック・バンドの「ノヴェラ」へと発展するのですが、渡辺氏はその少し前にバンドを脱退)。その後はマルチパフォーマーや作編曲家、大阪芸術大学やヤマハ神戸センターなどの講師として活動されており、〈必殺仕事人〉シリーズ映画「必殺!主水死す」(1996)の劇伴や、「上沼恵美子のおしゃべりクッキング」の番組テーマ曲(「元町チャチャ」)を手がけられているほか、二枚のソロアルバム『エスカルゴ・アバンチュール』(2006)、『エスカルゴ・スーベニール』(2007)をリリースされております。両作品とも、2016年に再プレスされました。YouTubeでは2010年よりさまざまなカヴァー・レパートリーの演奏動画をかなりのハイペースでアップされており、動画数は現在(2018年3月末時点)655本を数えます。2014年にはデスクリムゾンより5つの楽曲の「メインテーマ」「ムーラ」「デスマスク」「ファーストボス」「赤の扉」演奏動画をアップされ、一部ファンを沸かせました。

渡辺邦孝|日本音楽家ユニオン


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Kunitech Music210「メインテーマ」
Kunitech Music211「ムーラ」
Kunitech Music212「デスマスク」
Kunitech Music213「ファーストボス」
Kunitech Music222「赤の扉」(せっかくだからのテーマ)

 せっかくなので、エコールのホームページ通信での限定販売商品だった、初代デスクリムゾンとデスクリムゾンOXのカップリングサウンドトラック『デスクリムゾン・ヒストリー』の初代デスクリムゾン部分のトラックリストも載せておきます(1、2、4~10、12~15曲目はOXのBGM)。サントラCDは未だに探しているのですが、やはり手に入りません。



03. ファーストボス
11. 赤の扉
16. メインテーマ
17. 傭兵
18. デスマスク
19. サロニカ
20. リムブルク
21. コネラート
22. イズキット
23. アッシム
24. ムーラ
25. シャナファーラ
26. 宇宙船
27. デスビスノス
28. エンディング






 ちなみに渡辺氏、2015年9月27日の大阪でのライヴ動画を全編アップされているのですが、クイーンの「Love of My Life」をカヴァーされたあとに、デスクリムゾンから「ファーストボス」と「メインテーマ」の2曲を演奏されておりました。前後のMCのぶっちゃけぶりも面白いので、起こしてみました。

MC文字起こし(33:00~)

――次は、本邦初公開なんですけど。僕は20年くらい前にゲーム音楽をやったんですね。それで、そのころは、すぎやまこういちさんであるとか、いわゆるドラクエとかファイナルファンタジーとかがバーッと出てきたときに、私も、ちょっと仕事の依頼が来たので、これでもしか、当たったら左うちわやなあと思って。ものすごい頑張ってつくった「デスクリムゾン」というのがあるんですよ。ちょうどいま見るとゲーマーの方はいらっしゃらないと思うんですけど、これゲームの世界でものすごく人気があるんですよ。というのは、いいゲームじゃないんです。クソゲ―という、もう最悪、ワーストナンバーワン(苦笑)。特集の本が出ているんです。それの音楽をしてしまったんで、図らずも。それで、僕、裏世界ではむちゃくちゃ有名人らしくて、「デスクリムゾン 渡辺」って検索したら、何百万と出るんですよ。2ちゃんねるとか、全部ふくめてですけど。それで外国の人もねえ、僕YouTubeで色々やっているでしょう。そしたらたまに、「オマエがデスクリムゾンのワタナベか」と言われてね。それで、ずっと封印していたんですよ、自分の黒歴史と思って。でね、去年ぐらいからね、やっぱりその、愛される年寄りになろうと思って、もうさらけ出してしまおうと思って、少しずつカミングアウトしてきたんです。大阪芸大で教えているんですけど、そこの学生とかが「先生って、もしかしてデスクリムゾンやった先生?」って。あまりにも落差があるらしくて。僕、デスクリムゾンというのは、プログレッシヴ・ロックとか、自分の過去のキャリアを全部詰め込んだ最高やと思っているんですよ。だけど、ゲームが最低やねんで(苦笑)。その最低なゲームに、妙に力の入った音楽が入ってるということで、カルト化してしまったんです。だから、なんかそのう、ゲームが、どういうんですか、余計倍増して。もうむっちゃヘボいんです、そのゲームって。なんかシューティングゲームでね。だいたい僕、人撃ったりするの苦手やし、性格が穏やかやから(笑)。それで、こないだも三木楽器のアコーディオンアンサンブルのイベントでね、エルセラーンホールで、月曜日かな。誰か来ている人いない? 誰も来てくれてへんねや(笑)。それでなんかそしたら、ロビーで女の子が来て、色紙持ってあって。「先生、サインしてください」と。その子はごっつい強烈なデスクリムゾンのファンやって。それでその日に僕が行くというのを知ってたみたいで。何年振りかでロビーでサインして。「デスクリムゾン なんとかさんへ デスクリ渡辺」って(笑)。それぐらいの曲。だから、ちょっとみんなには今、キツイかもしれないです。今から2曲デスクリムゾンやるけど、ちょっどハード・ロックとか、プログレとか。でも、1曲1分とかやから、我慢して聴いて(笑)。なんせね、そういう黒歴史が自分をある意味幅を広げてくれたところがあったし。そういう、そんなんもしいの、楽しいオタマトーンとかしいの、両端を広げたい、まだまだ広げようと思っているんですけどね。それでは、デスクリムゾンの1ボス、「ファーストボスのテーマ」。これはあの、大怪獣が、その、空中で戦っているらしいんです。僕、見たことないねんそれ(笑)。イメージだけで作らないかん。ムササビ・モモンガ怪獣かな? それに気合の入った音楽ということで、では。

(「ファーストボス」演奏)

――面白いでしょ? ちょっとアクセントになったでしょう? どんなゲームか思いますよね。なんか途中で止まったりするねんて、画面がフリーズして(笑)。流行語もいっぱいできたらしくて、せっかくだから これを選ぼう、とか。「せっかくだから」って言うだけで、みんなブーッて笑うんです。僕、そのイベントに呼ばれたこともあって。みんなに来てくれ言われているんです。ちょうど結婚式のブライダルのアコーディオンとかやっていたんで、ちょっと日がダメだったんですけど。ちゃんとそれも、なんかインターネットに書かれてて。今は結婚式のブライダルのアコーディオンしてはるそうです、って(笑)。色々してたらそりゃそういうこともあるでしょう、それぐらい。ええと、もう1曲。これはデスクリムゾンのテーマなんですけど、これはもう、自分でもこれ以上は作れないぐらい最高傑作で。キングクリムゾンっていうプログレッシヴ・ロック・グループがおって、また十二月に来るんですね。その人たちはもう40年以上活動していて、僕の中学時代、こんな怖い、ガーッていう顔したジャケって知らない? キングクリムゾンって。いっぺん検索してみてください。それの「21世紀のスキッツォイドマン」っていうのが、それを私なりに、ちょっとこうジミヘンを混ぜて、ロック好きの人がおったら、ああジミヘンねってみんな気づきはると思うけど。ジミ・ヘンドリックスです。だからちょっとキツイ、ギターの音とかをこれで弾きます。ホンマはギターを持ってきてやろうかと思ったんやけど、富岡さんに悪いし(笑)。いっぱいいろんな楽器持ってきてね、もうPAの、ホントにもう、回線もうパンパンやねん、一人で(笑)。ゴメンね。はい、では、「デスクリムゾンのテーマ」。

(「メインテーマ」演奏)

――ありがとうございました。でも、キャリアの一番初めはハード・ロックをやっていたんですよ。誰も信じてくれないんやけど(笑)。色々、最近はもう、こんなんなりましたけど、でも中身は全然変わっているつもりはないです。今のような音楽を自分の生業として、YAMAHAに入ったと。それがだんだんだんだんだんだん、こんなになってしまったと(笑)



 それから約2年半後の2018年2月から3月にかけて、渡辺氏はYouTubeにて再びデスクリムゾンの楽曲カヴァーを(3年半前に演奏した5曲の再演もふくめ)アップされています。「Hi, Everyone. Today I Play Dark History Song from DEATH CRIMSON. It's A Game Music. Actually, A Game is Fucking. But The Music is Amazing!!」という前置きを添えて(笑)。これで「傭兵」「シャナファーラ」「デスビスノス」「エンディング」以外の楽曲はすべて演奏された形になります。


【2018年5月3日追記】
「デスビスノス」の新録ヴァージョンがアップされました。



【2018年5月7日追記】
「シャナファーラ」の新録ヴァージョンがアップされました。



■Kunitech Music632「アッシム」



■Kunitech Music633「イズキット」



■Kunitech Music637「リムブルク」



■Kunitech Music639「宇宙船」



■Kunitech Music641「サロニカ」



■Kunitech Music643「コネラート」



■Kunitech Music 645「ファーストボス」



■Kunitech Music 649「ムーラ」



■Kunitech Music651「メインテーマ」



■Kunitech Music652「デスマスク」



■Kunitech Music654「赤の扉」(せっかくだからのテーマ)






 そして奇しくも3月、アニメ「ポプテピピック」の12話「THE AGE OF POP TEAM EPIC」の冒頭で、デスクリムゾンのオープニングのやたら高再現度なパロディ【Pop Team Epicrimson】が登場(企画協力クレジットにはしっかりエコール・ソフトウェアと真鍋社長の名前も)。渡辺先生、あなたが作曲したデスクリムゾンのBGMはソフト発売22年目にしてついに地上波アニメでパロられましたよ、おめでとうございます。なお、先日リリースされたサントラ『ポプテピピック ALL TIME BEST』には、一連のパロディ曲は「Pop Team Epicrimson」「TOMOGASHIMA」「赤い扉」「Pop Team Epicrimson」として収録されています。123曲中4曲がデスクリムゾンパロディ。パロディまみれのこのアニメにおいて、これは割合的に快挙ではないでしょうか。なぁんということらぁ。





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