2016年4月13日水曜日

音楽制作集団「MONACA」 クリエイター陣の音楽的影響

リスアニ! Vol.4.1 アニソン クリエイターズⅠ (SONY MAGAZINES ANNEX 第 523号)
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http://www.lisani.jp/magazine/vol-4-1

 アニメ音楽雑誌〈リスアニ!〉のVol.4.1(2011年3月号)を最近手に入れて読みました。同号は「アニソンクリエイターズ」特集として、I've、Elements Garden、MONACA、IOSYS、八木沼悟志(fripSide)、R・O・N、前山田健一といった面々がフィーチャーされており、MONACAのページでは六人のメンバーがそれぞれが影響を受けたアーティストや、「Roots and Respect」なアルバムを三枚挙げており、各人の音楽的背景を知るうえで興味深く、また密度の濃い内容です。以下、抜粋いたします。



▼岡部啓一
(MONACA取締役/サウンドプロデューサー)

【影響を受けたアーティスト】
坂本龍一

【Roots and Respect】
①WHAM!『Fantastic』(1983)
②坂本龍一『音楽図鑑』(1984)
③PET SHOP BOYS『Please』(1986)

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▼神前暁
(2005年入社/作編曲、サウンドプロデューサー)

【影響を受けたアーティスト】
フリッパーズ・ギター、Mr.Children、南野陽子

【Roots and Respect】
①千住明『機動戦士Vガンダム サウンドトラック』(1999)
②澤野弘之『機神大戦ギガンティック・フォーミュラ サウンドトラック』(2007)
③菅野よう子『マクロスF VOCAL COLLECTION 娘たま♀』(2008)

機動戦士Vガンダム SCORE 1機神大戦ギガンティック・フォーミュラ オリジナルサウンドトラックマクロスF VOCAL COLLECTION「娘たま♀」



▼高田龍一
(2009年入社/作編曲)

【影響を受けたアーティスト】
ヴォイチェフ・キラール、エンニオ・モリコーネ、アンリ・デュティユほか

【Roots and Respect】
①Wojciech Kilar『Bram Stoker's Dracula(ドラキュラ)サウンドトラック』(1992)
②菅野よう子、溝口肇『天空のエスカフローネ サウンドトラック』(1996)
③Ennio Morricone『Nuovo Cinema Paradiso(ニュー・シネマ・パラダイス)サウンドトラック』(1989
※誌面では1999年となっているのですが、おそらく誤記でしょう。

Bram Stoker's Dracula天空のエスカフローネニュー・シネマ・パラダイス オリジナル・サウンドトラック【完全盤】



▼石濱翔
(2009年入社/作編曲)

【影響を受けたアーティスト】
THE BEATLES、capsule、光田康典、KiLA

【Roots and Respect】
①THE BEATLES『Revolver』(1966)
②THE BEATLES『Magical Mystery Tour』(1967)
③KiLA『Lunapark』(2004)

Revolver (the U.S. Album)Magical Mystery Tour (Dig)Lunapark



▼帆足圭吾
(2009年入社/作編曲)

【影響を受けたアーティスト】
DREAM THEATER

【Roots and Respect】
①Emerson, Lake & Palmer『Tarkus』(1971)
②菅野よう子『マクロスプラス オリジナルサウンドトラック』(1994~1995)
③DREAM THEATER『A Change of Seasons』(1995)

TarkusMACROSS PLUS ORIGINAL SOUNDTRACKChange of Seasons



▼田中秀和
(2010年入社/作編曲)

【影響を受けたアーティスト】
神前暁

【Roots and Respect】
①坂本龍一『戦場のメリークリスマス サウンドトラック』(1983)
②神前暁、高田龍一『涼宮ハルヒの憂鬱 サウンドトラック 』(2006)
※DVD限定版各巻付属のCDに収録
③imoutoid『ADEPRESSIVE CANNOT GOTO THECEREMONY』(2007)

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 また、MONACAの公式サイトのスタッフプロフィールは、2013年ごろまではそれぞれの経歴や音楽的影響が詳細に書かれていました(現在は簡略化されています)。以下、当時の七名のプロフィール文を引用します。

http://www.monaca.jp/staff/


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▼岡部啓一

 幼少の頃から電子オルガンを習い音楽に慣れ親しむ。父親の影響でオープンリールテープを使った録音音楽に興味を持つ。16歳の頃に初めてシンセサイザーを購入し、本格的に作曲活動とバンド活動を始める。その後ドラム、ギターなどにも手を出し、ますます音楽制作に没頭していく。神戸芸術工科大学芸術工学部・視覚情報学科に入学。映像・CGアニメーションに音を付けることに面白さを見出し、株式会社ナムコ(当時)にサウンドクリエーターとして入社。「鉄拳」シリーズ、「エースドライバー」「太鼓の達人」シリーズなど業務用ビデオゲームを中心に数々のビッグタイトルに携わる。株式会社ナムコ退社後フリーランスとなり、河村隆一氏や大黒摩季氏の編曲、リミックス、CM・CG映像のBGM制作など、打ち込み音楽から生楽器をメインにした楽曲まで、幅広いジャンルで作編曲家として活動。有限会社モナカを設立、同代表取締役に就任。主にゲーム・映像を中心としたサウンド制作プロデュースを手掛ける。80'sダンスクラシックやハウスミュージックなどのダンサンブルなビートを得意としているが、抜群の作編曲センスと長年の経験によって培われてきたノウハウによって、どのような要望にも応え、そこに自身のスタイルを取り込んで昇華させる能力には定評がある。その楽曲はドラマチックかつ繊細で、美しいメロディーは聞く人を惹きつける。その仕事ぶりにはクライアントからの評価と信頼も厚い。

▼みすみ ゆり

 小学生よりクラシックピアノを何となく始める。12歳で社団法人全日本ピアノ指導者協会(PTNA)ピアノコンクールにて金賞を受賞。西ドイツ(当時)ミュンヘン~ザルツブルク(オーストリア)への演奏旅行を行う。当時はソ連の国際情勢が芳しくなく、日本からアラスカ経由で24時間以上かけて渡欧。親元を離れた初の海外旅行に羽根を伸ばしまくり、異邦人との出会いの数々に感銘を受け、その頃から夢は「世界の冒険家」(小学校の卒業文集より引用)となる。そして世界を冒険すべく、高校からジャズをかじりはじめる。大学では”KMPニューサウンドオーケストラ”に所属し、ビッグバンドでの演奏活動を開始。数々のライブ活動のほか、六大学ピックアップバンドでは村田陽一氏(tb)と共演。山野楽器主催「山野ビッグバンドコンテスト」では、92年特別賞を受賞。一方、コンボでの営業活動も幅広く行い、結婚式場やライブハウスでの演奏を多数こなす他、近海郵船東京~釧路間フェリーでの演奏旅行にレギュラー出演。北は北海道から南はバリ島まで演奏旅行を経験したが、世界はまだまだ広かった…さらなる冒険をするべく、94年に株式会社ナムコ(当時)へサウンドクリエイターとして入社。業務用・家庭用作品の効果音・音楽を多数手がけ、「太鼓の達人」シリーズでは立ち上げ時よりサウンドディレクターとして参加。「塊魂」全シリーズにも携わり、PSP版では松崎しげる曲にて、Benny Diggs率いるゴスペルグループを”塊ソウルトレインズ”と称しNYレコーディングを敢行、世界の広さを思い知る。その他、ニンテンドーDS用ソフト「みずいろブラッド」「フコウモリ」等のサウンド開発、Flashアニメ「奥のデス道」等WEBでのサウンド制作など、愉快痛快系の作品に携わる。15年在籍したのち、世界の冒険家に飽き足らず、宇宙をめざすべく有限会社モナカに入社。豊富な音楽経験に基づく鋭い審美眼とその明朗快活な性格を活かし、現在は制作進行役としても、かげに日向にモナカを支えて邁進中。


▼神前暁

 幼少の頃からヤマハ音楽教室に通い、エレクトーンとピアノを習う。中学・高校時代は吹奏楽部の活動に没頭する。担当楽器はトランペット。京都大学工学部情報工学科に入学。大学では総合作曲サークル「吉田音楽製作所」に所属。ジャズ、ファンク、ロック、ポップス、テクノ、ノイズ、民族音楽など幅広いジャンルのバンド/ユニットに参加して作曲・演奏活動を行い、様々なスタイルの音楽に触れる。この頃に現在の音楽活動の基礎を形作る。株式会社ナムコ(当時)にサウンドクリエイターとして入社。「もじぴったん」シリーズ、「鉄拳」シリーズ、「アイドルマスター」シリーズなど、家庭用から業務用まで幅広いタイトルの音楽を担当する。また、社内トランペッターとして数々のタイトルで演奏する。有限会社モナカに入社。初めて担当したTVアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」が記録的大ヒットとなる。その後「らき☆すた」では主題歌「もってけ!セーラーふく」がオリコンチャート週間2位という快挙を成し遂げ、アニメ界に衝撃を与える。作曲活動の傍ら、TVやラジオ、雑誌、イベントなどにも出演する。長年の心の師である田中公平氏とTV共演を果たし、「アニメ界に新風を巻き起こす新世代を代表する作曲家」と賞賛される。その音楽は、親しみやすくキャッチーでいながら不思議と耳に残る独特のメロディーセンスを最大の武器とし、主題歌から劇伴まで、ファンクからオーケストラまで、ジャンルを飛び越えた縦横無尽のサウンドメイクで聴く者を魅了する。


▼高田龍一


 スティービー・ワンダー、ビリー・ジョエル、ダリル・ホール&ジョン・オーツなど80年代洋楽チャートの影響を受けながら育つ。5歳よりヴァイオリンを、7歳からピアノを習い始め、クラシック音楽を学ぶ。また同じく5歳のとき、ビリー・ジョエルのような心地でピアノ曲を作曲し、以後12歳の頃(指揮者になりたかった)にラジカセ2台の多重録音、13歳(エンヤの影響を受けていた)にカセットMTRで多重録音を重ね、16歳のとき、01/wで念願の打ち込み環境を手に入れ、のめり込む。17歳まで独学だった作曲に関して基礎を身につけるために東京藝術大学を目指す。また、並行して続けていた弦楽アンサンブルではヴァイオリン、ヴィオラを担当する。東京藝術大学音楽学部作曲科作曲専攻に入学。デュリュフレ、デュティユーやメシアンなどフランス近現代の作曲家に私淑。主に現代芸術としての音楽を学ぶ。大学3年の夏にアメリカ・カルバーシティの映画制作スタジオでスコアリングを見学し、自分が映画やゲームなど映像に付随する演出音楽を作ることに憧れていたことを思い出す。株式会社ナムコ(当時)に入社。「ソウルキャリバー2、3」「鉄拳5、6」「リッジレーサー7」「太鼓の達人」シリーズ、「アイドルマスター」などで楽曲制作を積み重ねる一方で、社内ヴァイオリン奏者として演奏提供を行う。また、技術的な好奇心も高く、ロンドンで行われたAESのカンファレンスでは、日本のゲームオーディオに関する講演チームの一員として参加し、翻訳・講演を行う。その後、「スカイクロラ イノセン・テイセス」でのサウンドディレクターとしての経験や、「エースコンバット6」「鉄拳6」のカット・シーン用楽曲制作を通じて、より幅広い音楽制作へ挑戦することに惹かれ、有限会社モナカへ。アカデミズムに裏打ちされた緻密なオーケストレーションを得意とする一方で、テクノやジャズにも精通する。好きなアーティストは、ティアーズ・フォー・フィアーズ、ポリス、ニティン・ソーニー、スティーリー・ダンなど。

▼石濱翔

 父がバンドのベーシスト、母はフルート奏者という家庭にて、幼少の頃から自然と音に慣れ親しみ育ち、16歳の頃ビートルズのジョン・レノンに憧れギターと同時に作曲活動を始める。愛知県甲陽音楽学院に進学。在学中に観たキーラとカルロス・ヌニエスのライブをきっかけに、UKロックやケルト音楽に興味を抱く。主にヨーロッパ方面の音楽に傾倒し、60年代70年代のUKロック、ケルト音楽に加えて、ケニー・ドリューの影響からジャズ、ファンク、そしてクラシックのフランス印象派などへと音楽の幅を広げ、より作曲活動に没頭していく。有限会社モナカにサウンドクリエイターとして入社。自身が影響を受けた世界各国の民族的な音を織り込みつつ、幼少期から刷り込まれたセンスによって生み出される繊細でモダンなオーケストレーションを得意とし、聴く者を独自の世界へと惹き込む。吸収力と柔軟性もあり、今後より一層の成長と活躍が期待される若手のホープ。


▼帆足圭吾

 ピアニストである母親の影響で、3歳よりクラッシックピアノを始める。4歳から桐朋学園「子供のための音楽教室」に入学し、ソルフェージュ、和声、ピアノ演奏を学ぶ。15歳で同中等課程を卒業。17歳の時に初めてシンセサイザーを購入。ジャズやロック等、他の音楽ジャンルの興味を持ち始める。高校卒業後、かねてより興味のあった映画音楽やプログレッシブロックの世界へ。プログレッシブ・ロックバンドDREAM THEATERのキーボーディストJordan Rudessの演奏に惚れ込み20歳で渡米。アメリカ・ボストンのバークリー音楽院へ入学、映画音楽学科へと進む。在学中よりプレグレッシブ・ロックを中心としたバンド活動を開始。活動中、憧れのキーボーディストであるJordan Rudess主宰のフェスタでのキーボーディスト募集をきっかけにオーディションに合格。NY州White Plainsにて即興ピアノを演奏する。バークリー音楽院を卒業後も、アメリカ東海岸を中心にバンドでライブ活動を続ける。帰国後、有限会社モナカにサウンドクリエイターとして入社。作編曲・オーケストレーションはもちろんのこと、幼少期から培ってきたピアノに関しての技術、センスは社内で高く評価されている。作り出す音楽は、気品がありつつも誰もが親しみやすい心地よさを兼ね揃えている。ピアノという才能を武器に、今後の本格的な活躍が期待される若手。


▼田中秀和

 5歳よりピアノをはじめる。同時期より、電子ピアノの録音機能で遊びながら作曲を始める。13歳よりアコースティックギターをはじめる。吹奏楽部でパーカッションを担当していたこの頃、小遣いを貯め購入したシーケンスソフトで打ち込みをはじめる傍ら、独学で音楽理論を学ぶ。高校では軽音楽部に入部、ロックバンドを組む。担当はエレキギター。2004年の近畿地区軽音部コンテスト”We are Sneaker Ages”において、決勝大会に出場。メンバーと共作した楽曲を大阪厚生年金会館ホールで演奏、好評を博す。神戸大学発達科学部人間表現学科に入学。民族音楽や芸術音楽の基礎を学ぶ一方、音が美術や身体表現と組み合わされることによって生まれる新たな魅力に惹かれ、展示とパフォーマンスのコラボレーションイベントの企画、写真展や舞台の音響・音楽制作、サウンド・インスタレーションの制作などを積極的に行う。その結果、自身のバンド活動の場においても、「大勢の人が目にし、耳にするものの中に、どのように新たな魅力を作り出せるか」という、商業音楽にとっても重要な課題について、自然と考えるようになる。就職活動中、神前暁のアシスタント募集を知り自作曲のデモを送付。より幅広く活動できるようにとモナカを紹介され、入社の運びとなる。現在は、岡部、神前の厳しい指導のもと、歌もの、劇伴などの楽曲制作のみならず、録音・編集作業などのスタジオワークまで精力的にこなす期待の新人として、昼夜を問わず活躍中。親しみやすいメロディーと、豊かな感性に基づいたハーモニー感覚が最大の武器である。


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 余談ですが、帆足氏のプロフィールの「憧れのキーボーディストであるJordan Rudess主宰のフェスタでのキーボーディスト募集をきっかけにオーディションに合格。NY州White Plainsにて即興ピアノを演奏する」のくだり、これはおそらく2004年7月25日に行われた「Key Fest」のことではないかと思われます。ホワイトプレインズのパフォーミングアートセンターで行われた同フェスは、ルーデスの指導によるマスタークラスや、キーボードセッション、そしてルーデスのソロコンサートなどがプログラムに盛り込まれていました。

「DREAM THEATER Keyboardist To Present KEY FEST」
(from BLABBERMOUTH|2004.07.06)

 また、驚くべきことに、帆足氏のバークリー在籍時代の映像がYouTubeにいくつかありました。2003年にバークリーのカフェやセンターで行われた、とあるDREAM THEATERのカヴァーバンドのパフォーマンス映像。キーボードを弾いているのが帆足氏です。








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