野獣王国ならぬ淫獣王国。"デッドボールP"こと槙タケポン氏と、"馬鹿の極み"こと上松翔一氏の5/4TAKEPODのメンバー二人も在籍するスーパーモテ系バンド エロティック・ビースト・キングダムのデビューアルバム。ボーカロイドに数多くのキワドイ曲を歌わせまくっているデPですが、こちらではそれ以上に遠慮なく全てを曝け出しております。ロハスはロハスでも"L(ロリコン)、O(おっさん)、H(変態)、A(アナル)、S(セックス)"の略という1曲目の疾走チューン「LOHAS」からしていきなり全壊度高し。Yes Lolita,No Touch. ……かと思えば、「インフィニティマタニティ」は、アダルティーなR&B調の曲調でもって"セックスなしで孕ませる方法"を説く、月とスッポンなギャップが凄まじい1曲。しかしこれがあんまり下世話に聴こえないあたり、実にマジカル。
隣のマンションに住んでる神様がパンティやらブラジャーやらを干したり真夜中にセックスをキメまくっているというただそれだけの内容を、ヴォーカルのキング柳氏がやたら気合の入ったシャウトで歌い上げるアツいハード・ロック・チューン「ゴッドパンティ」。DRAGONFORCEばりにテンションの高いイントロが炸裂する「森ガール」は、もりのくまさんが森ガールとガンガンガンガンセックスするサビは一度聴いたら耳から離れないのは必至。ギターのカッティングも爽やかなシティ・ポップ/AOR風味の曲調で、高らかにオナニーライフを歌い上げる「Shadow View Tail」は、曲調に反比例して最低なサビの空耳が秀逸。「Shadow view tail.Have a time to nice day」をルーズに10回以上口ずさめば自ずと答えは見えてくると言うもの。個人的には聴いていて思わず米米CLUBの名(迷)曲「DEEP IN YOUR NICE BODY」を彷彿とさせた次第です。
「栗とリス」はもうこのタイトルの時点で全てを物語っている1曲。ひたすら朗々と「栗」と「リス」を連呼し続ける上に、サビではゴージャスなコーラスで壮大に盛り上がるのも微笑ましい、エンディングに相応しい趣向の1曲。後半6曲は前半収録曲のリミックス・ヴァージョン(2曲)やライヴ・ヴァージョン(4曲)を収録。"マキシマムどぴゅどぴゅremix"と銘打たれた、ハウス調のアレンジの「Shadow View Tale」。しっとりしたハウス調アレンジのどこがどぴゅどぴゅなのかしらんと思っていたが、Shadow View Taleの「Sha」のヴォーカル部分だけぶった切ってひたすら「射」「射」と連呼させているので、なるほどこれがどぴゅどぴゅなのか! と勝手に推測を立ててみる次第。歯は立てないで。
そして"せめて週3remix"と銘打たれた「ゴッドパンティ」は、非常にテンションの高いキーボードプログレアレンジになっていたりするあたり流石としか言いようがありません。いやはや、全力でバカをやるクオリティの高いコミックバンドであります。米米CLUBや爆風スランプ、巨乳まんだら王国と同じニオイがするというか、これらのバンドが好きなら間違いなく琴線に触れるものがあるんじゃないでしょうか。曲調は幅広く、歌詞は下ネタという芸風もガッツリと確立されてますし、なるほど聴くと妊娠するというのもあながち間違ってないなーという感慨を得るに至るのでした。良い意味で頭の悪いアルバム、素晴らしい。しかしながら、当ブログの2011年最初のレビューがこんなんでいいのかと。いや、これでいいのだ。
●Erotic Beast Kingdom:公式
●「受胎告知」:試聴