2006年12月6日水曜日

APOGEE『APOGEE』(2006)

FantasticFantastic
(2006/11/22)
APOGEE

商品詳細を見る


 永野亮(Vo.Gr)、間野航(Dr.)、大城嘉彦(Syn)、内垣洋祐(Ba)によるポップ・ロック・バンド「アポジー」のデビュー1stアルバム。夢と現実を狭間を行き来するようなマイルドなヴォーカル、軽めのギターサウンドに対して、くるまったグルーヴを弾き出すベースやドラムのコントラストも面白いのですが、変幻自在なトーンで煌びやかに空間を引き伸ばしたり鮮やかに彩色してゆくシンセの思い切った使い方には凄く惹かれるものを感じます。捻くれながらもポップなメロディがドパンドパンと弾けていく作りの楽曲展開と相まってこのバンドのポップ・プログレらしさを滑らかに引き出してるようで好奇心がくすぐられることしきり。ニューウェーヴやファンク、R&B、ポスト・ロックやプログレなど、メンバー各々の嗜好は明らかに異なっているということはわかるのに、持ちネタの引き出しがどこか霞がかっているような印象を受けるのが何とも不思議。蜃気楼のようにたたずみながら、澄み切った空気や懐かしい匂いをポンポンと飛ばしてくるというこの妙なカラフルさの前に聴き手の思惑は良い意味で裏切られていきます。レトロな響きの中でメロディのキャッチ&リリースが目の醒めるほどハッキリした「Let It Show」。カラリと乾いたファンク風味のフレーズにドキリとさせられるかと思えば、囁き掛けるようなサビ、歌詞の語感の浮遊感が病み付きになりそうな「ゴースト・ソング」。夕暮れ時の情景を一気に星の輝く夜景へと塗り替える「夜間飛行」。方や煙の立つかのようなシンセワークで2分間のトリップへと誘い込み、方やテープノイズがある種のノスタルジーを喚起させる実験性のある曲「Mother,I Love You」「ロードムービー」。聴けば聴くほどに、バンドが生み出すイマジネーションのまどろみの中へと誘われてしまいます。



APOGEE:Wikipedia
APOGEE:公式
HOTEXPRESSインタビュー