2018年10月28日日曜日

BOLT THROWERとウォーハンマー40,000 ――その蜜月と終焉

Realm Of Chaos ? Slaves To Darkness
Bolt Thrower
Earache

Realm of Chaos
Realm of Chaos
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Bolt Thrower
Earache (2013-01-28)
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 1986年に結成され、ドラマーのマーティン・カーンズの死により2016年に解散を発表した、ブリティッシュ・デスメタルの重戦車バンド BOLT THROWER。彼らが1989年に発表した傑作2ndアルバム『Realm of Chaos』のジャケットアートは、ウォーハンマー40,000の旧パッケージヴィジュアルと同じものを使用しており、2004年以降の再発盤では版権絡みの事情で変更されています。その経緯についてはEarache Recordsの公式サブブログ「ASK EARACHE」の2009年の記事で語られており、面白い話、といってはやや語弊があるのですが、ちょっとしたドラマともいえる内容になっています。





「Bolt Thrower- why new Realm of Chaos art?」
http://askearache.blogspot.jp/2009/09/bolt-thrower-why-new-realm-of-chaos-art.html





 当時のゲームズワークショップ(GW社)の事務所は、イヤーエイクの事務所から歩いてすぐのところにあったそうです。どちらも当時急成長中だったとはいえ会社の規模はそこまで大きくなかったので、両社のコラボレーションの話はトントン拍子に進み、ボルト・スロワーのアルバムにウォーハンマー40,000のヴィジュアルを使用する契約を締結。また、アルバムタイトルの『Realm of Chaos ‐Slaves to Darkness』は、GW社が1988年に出版したウォーハンマーのルールブックと同一でもあります。ちなみにGW社は90年代初頭に自社ヘヴィメタルレーベル「Warhammer Records」を立ち上げており、1991年から1993年という短期間でしたが、D-ROK、WRAITH、RICH RAGS、SAXON(!)のカタログをリリースしていました。いずれもアルバムジャケットにはやはりウォーハンマー40,000のヴィジュアルがあしらわれています。




 その後、GW社はイヤーエイク以上に世界的な企業として成長。会社の路線も変わり、かつてのローカルカンパニーの面影はすっかり過去のものになります。両社の関係の決定的な転機となったのは2002年ごろ、ボルト・スロワーのカタログの再発を考えていたイヤーエイクが契約の更新の話をGW社に持ち掛けたところ、逆に著作権侵害の申し立てを喰らうというヤブヘビになってしまい、アルバムの再発をやめるか、ジャケットイラストを変更する以外になくなってしまいました。ここで幸いだったのは、かつてウォーハンマー40,000の旧パッケージ=『Realm of Chaos』のジャケットヴィジュアルを描いたジョン・シビックに再びヴィジュアルを描いてもらったことでしょう。ジョンはウォーゲームのアーティストを離れ、学術分野のイラストレーターとして活動しており、イヤーエイクは彼を探し出して新しく(ウォーハンマーに絡むヴィジュアルは一切なしのものを)描き直してもらい、晴れて、新版『Realm of Chaos』としてお目見えすることになるのです。





「INTERVIEWS Barry Thomson interview」
(boltthrower com)
http://www.boltthrower.com/interviews/bazCoS95.php


 こちらは1995年にアメリカのヘヴィメタルファンジン〈Chamber of Sorrow〉の第6号に掲載された、バリー・トムソンのインタビュー(マーティン・カーンズが若干17歳でバンドに加入して間もない頃)でも、ゲームズワークショップとのコラボとその終わりが少し語られていました。バンドが懇意にしていたブライアン・アンセルが1991年にGW社を売却したことで会社の路線が変わり、それで縁が切れてしまったとのこと。もともとカール・ウィレッツ、ギャビン・ワード、アンドリュー・ホエールの3人はウォーハンマー40,000の熱心なプレイヤーであったので、「Plague Bearer」「World Eater」などは同作をモチーフにして書いた曲なのだそうな。