2016年1月24日日曜日

溌剌たる再始動。ビター/スウィート噛み分けた、踊れるインダストリアル・ロック ― SCHAFT『ULTRA』(2016)

ULTRA
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SCHAFT
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 BUCK-TICKの今井寿と、SOFT BALLET(当時)の藤井麻輝。共にアイコン的存在であり、異端者でもある二人がタッグを組んだインダストリアル・ロック・ユニット「シャフト」が結成されたのは今から四半世紀前の1991年。オムニバスアルバムへの参加を経て、PIGのレイモンド・ワッツ、THE MAD CAPSULE MARKETSやMeat Beat Manifestoのメンバーらを迎えて1994年に1stアルバム『Switchblade』、リミックスアルバム『Switch』を立て続けにリリースし、シーンに強烈な楔を打ち付けました。1999年にzilchのリミックスアルバムに参加後、活動を休止。その後、今井氏はBUCK-TICKの活動の傍ら、2001年にレイモンド、サシャ・コニエツコ(KMFDM)、櫻井敦司氏らと共に派生的なユニット SCHWEINを結成。アルバムのリリーウとライヴを行うものの、ごく短期間で解散。一方の藤井氏はソロ/プロデュースのほか、SOFT BALLETの再始動/解散、ユニット 睡蓮の結成、数年間の音楽活動休止を経ての森岡賢氏とのminus(-)の結成と、紆余曲折ありながらもトピカルな活動を展開。もはや、SCHAFTは過去の存在としてファンの記憶に留められるものかと思いきや、2015年10月にユニットの再始動が発表。そして2016年、アルバムのリリースとツアーを引っさげて、第二のモノリスが衝撃とともに再びその姿を現しました。




 本作『ULTRA』は、約21年数ヶ月ぶりとなる新作オリジナルアルバム。『Switchblade』では楽曲ごとに適宜ミュージシャンを迎えて制作されておりましたが、本作ではヴォーカル&作詞にYOW-ROW (GARI)、ベース&コーラスにUEDA TAKESHI/上田剛士(AA=)、ドラムにyukihiro(acid android、L'Arc~en~Ciel)を迎えてのバンドスタイルで首尾一貫しています。UEDA氏は『Switchblade』のレコーディングメンバーでもあり、YOW-ROW氏、yukihiro氏は過去にライヴやユニットで藤井氏と顔を合わせているので、いずれも顔なじみの面々。また、SCHAFT再始動ライヴの数日前にアップされたUEDA氏のブログ記事によると、今回の再始動では「ユニット」としてではなく、「バンド」として展開したいという想いが今井、藤井両氏にあるようです。




 全13曲78分というヴォリュームでノイズ/インダストリアルを基調に各種エッセンスを散りばめ、濃厚で無骨な印象に終始していた『Switchblade』と比べると、『ULTRA』は全体的にとっつきやすさが増しています。作曲面でも関わっていたレイモンド・ワッツがいないというのもいくらかあるのでしょうが、二十数年の歳月を経たというのもやはりあるのでしょう。楽曲の構成・バランスもすこぶるよいです。ツアータイトルにも冠された"The Loud Engine""Leidenschaft"のような圧殺ヘヴィ・ロック・チューン、EDM的ごん太エレクトロニクスも流し込まれた"Drift" "ReVive"(ヒトラーの演説のコラージュも!)などの藤井曲が歪み軋みで空間をアッチコッチ蹂躙したかと思えば、今井曲は"Vice""SAKASHIMA"のような「踊れる」チューンや、エッジを効かせた"Anti-Hedonist" "Swan Dive"でキャッチーに間隙を攻めていく。ビターな面とスウィートな面がクッキリと鮮やかに存在しています。YOW-ROW氏のヴォーカル/シャウトも、アジテイターとしてガンガンに煽りつけてくるパフォーマンスで、バンド「SCHAFT」の一体感に存分に寄与しており、血行良好、溌剌とした再始動を印象付けるに申し分のない仕上がりです。やはり「日和る」などという言葉は、「異端者」イマイ/フジマキにとって無縁の存在なのであります。心の底より寿ぎたい。


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SCHAFT『SWITCHBLADE』(1994)

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