2010年7月29日木曜日

FROST*『Experiments in Mass Appeal』(2008)

Experiments in Mass Appeal (Bonus Dvd) (Dig)
Frost
Inside Out U.S. (2009-01-13)
売り上げランキング: 113,657


 06年の1stアルバム『Milliontown』でプログレファンに強烈かつ鮮烈な印象を残したフロスト*。各メンバー(特にジェム・ゴドフリー氏)の活動が忙しく、1st発表後まもなくして活動を休止してしまいましたが、IQの現キーボーディスト:マーク・ウェストワースが在籍するプログレッシヴ・ロック・バンド Darwin's Radioのヴォーカリストでもあるデック・バークを新たにメンバーに迎え再始動。半年間のレコーディングを経て、2008年の暮れに2ndアルバムである本作がリリースされました。

 アルバムタイトル通りの実験的な匂いを感じさせるつくりになっている本作は、前作のゲームミュージック的とも言える底抜けた爽快感を引っ込ませ、内省的なUKロック色を強めてきているほか、楽曲に静謐な空間が多くなり、ぼんやりとした余韻を味わわせるような方向性にシフト。サウンドのニュアンス的にもヴォリューム的にも気持ちあっさり目に仕上げられているといった印象を持ちました。しかしながら、巧みに練り込まれた楽曲と、ここぞといったところでのサウンドの爆発力は依然として眩し過ぎるほどの輝きを放っていますし、エモーショナルな情感をタメ込んでは吐き出し、タメ込んでは吐き出す様を聴いていると、彼らのサウンドはますます狂おしく扇情的にパワーアップしていると言ってもいいです。

 前面にも後方にも押し出された分厚いコーラス、じわりじわりと琴線に触れてくる音作りが、雪の降る真夜中の情景を聴き手にこれでもかと鮮明に見せ付けてくれる「Experiments in Mass Appeal」は非常に身に染みこんできますし、吸い込まれるようなソリッドな流線型サウンドを展開する「Pocket Sun」「Dear Dead Days」は、螺旋を描いて突っ込んでくるコシの太いシンセの奔流がこのバンドの強力な武器の一つなんだよなあと改めて実感させられます。コンパクトながらも爆発力を十分に備えた「Toys」は、ダイナミックで伸びやかサビの開放感が強烈な爽快感を与えてくれる。「Saline」やラストの「Wonderland」のようなバラードも、線や色のほどよく滲んだ絵画のような素朴な美しさ。プログレという枠抜きで楽しませてくれるのはもはや言わずもがなだし、ベクトルは変わってもやはり彼らのサウンドは否応無く世界観に入り込ませてくれます。全力でオススメしたい。


 ファン有志が"LITTLE BIG PLANET"を使って制作/編集したPV。FROST*メンバーをあしらったガジェットの配置やサウンドとの同期も素晴らしい、とてつもない愛に溢れた作品。必見です。

『Experiments in Mass Appeal』:Wikipedia
FROST*:myspace
FROST*:公式

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