Elephant9
Rune Grammofon (2010-03-30)
売り上げランキング: 314,949
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ノルウェーのエクスペリメンタル・エレクトロニック・ジャズ・バンド Supersilentのキーボーディストであるステイル・ストロッケン(Stale Strlokken)率いるオルガン/キーボード・トリオ:エレファント・ナインの2ndアルバム。アルバムデビューは08年、前述のSupersilentや、Motorpsycho、SHININGも所属するRune Grammofonレーベルに在籍しているこのトリオには、SHININGのオリジナル・メンバー/ドラマーであるトルステン・ロフタス(Torstein Lofthus)がドラムスとして参加しております。Supersilentでは実験的で悪意すら感じさせるアヴァンギャルドなサウンドを展開していますが、こちらは演奏こそ即興性重視ながら、ベース、ドラムス、キーボードの編成にて、非常にストレートなサウンドを聴かせてくれます。録音こそ現代的ですが、60~70年代に隆盛したオルガン・アート・ロックやカンタベリー・ジャズ・ロックを現代的に味付けしたようなたたずまいで、キース・エマーソンがEL&P結成前に在籍していたThe Niceや、中期(特に『Third』の頃)のSOFT MACHINEを強く彷彿とさせられます。
反復性・即興性が強い楽曲の数々を、時に軽やかに、時に重々しくハモンド・オルガン弾き倒しを展開するステイルのプレイを軸に、リズム隊が反復の土台を築きつつも手数で埋めていくというスタイルはスタイリッシュでありながらパワフル。タイトル曲の「Walk The Nile」や、「Habanera Rocket」といった10分を越える長尺曲では若干バンドの演奏が垂れ流し気味に感じる部分がありますが、反面、3~4分のコンパクトな楽曲においてのアンサンブルの突進力は抜群。ハモンドがヘヴィに転がり縦横無尽に唸りを上げる、ちょっと御大エマーソンの姿もダブる冒頭曲「Fugl Fonix」、焦燥感を煽る展開がいつの間にかスペイシーな域に突入し収束していく様がまさにハードコアな「Hardcore Orientale」、そして三位一体の疾走感で全部持って行くラストナンバー「John Tinnick」は、トルステンのサクサク突き刺さるドラミングも心地良い、非常にカタルシス溢れる楽曲。トリオ編成の利点を活かしまくった小回りの良さと魅力がギュギュッと濃縮されております。現在進行形バンドながら、オールド・ジャズ・ロック好きにも十分アピールしうる新鋭。現代北欧バンド勢の懐の広さを感じさせられるとともに、今後の活動が楽しみなバンドであります。ハモンドオルガン最高!
●elephant9:myspace
●Rune Grammofon