2006年11月10日金曜日

Astor Piazzolla『Tango: Zero Hour』(1986)

Tango: Zero HourTango: Zero Hour
(1998/09/08)
Astor Piazzolla

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 バンドネオン奏者にしてアルゼンチン前衛タンゴの巨匠 アストル・ピアソラ。タンゴにジャズやクラシックからの影響を取り込むなどの革新的スタイルをとり、タンゴ保守派から命を狙われながらも、一心にアルゼンチン・タンゴを追求していった彼が生み出した集大成的作品が本作。幽鬼のように空間をうねり続けるバンドネオン、シュルシュルと甲高くすすり泣くヴァイオリン、ドス黒いグルーヴと共に躍るピアノやベース、これらが一体となって紡ぎ出される、漆黒の闇と甘美な泣きが表裏一体となったアンサンブルは鳥肌モノであります。緊張感の中にも力強さを孕んだ「Tanguedia III」、切れ味鋭く小気味良い展開の中にハッとさせられる流麗なフレーズを織り込んだ「Milonga Loca」、一転してドスの効いたグルーヴの中でキリキリと締め付けてゆく「Michelangelo 70」、喜怒哀楽の場面展開に放り込まれる「contrabajisumo」など、妖しさも、激しさも、官能的な艶も、胸を締め付ける郷愁も、とめどもない悲しみも、全てこの中に詰めこまれており、この上なく深い余韻を聴き手にもたらしてくれます。あまりにも美しく、そして揺るぎのない大傑作。音楽的に類似点が多いチェンバー・ロック好きにとっても避けては通れないマスト・アイテムでありましょう。


「タンゴの革命児・アストル・ピアソラ」
アストル・ピアソラ:Wikipedia

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