みゆはん
ビクターエンタテインメント (2017-09-29)
売り上げランキング: 13,897
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11月末には1stワンマンライヴを控える「コミュ障シンガーソングライター」、みゆはんのメジャーデビュー二作目にして、今年二枚目となるミニアルバム。「心象・概念」を意味する「スキーマ」をタイトルに冠した前作『自己スキーマ』同様、本作のタイトル「リスキーシフト」もまた心理学用語です。集団極性化。アルバム全曲の作詞・作曲はみゆはんで、彼女の所属事務所「ハイスピードボーイズ」(代表はGReeeeNのプロデューサーでありメンバーの実兄 JIN)が擁しているマネジメント/プロデュース会社 Diosta inc.のクリエイター陣の盤石のサポートを受けて制作されているところも前作と同様。今回はnishi-ken氏や高田翼氏のほか、新たに春日俊亮氏(A.F.R.O)が名を連ねています。
"メッセージ"は、前作のオープニング"ケセランパセラン"と同じく、mikito=みきとPの編曲によるギターロックチューン。歌詞はてらいのないみゆはんの自己紹介であり、前作の"ぼくのフレンド"よろしく「つまりはこれからもどうかよろしくね」というファンへのメッセージでもある清々しいものです。高田氏の編曲による"Never too late"は、一歩を踏み出すために自己を鼓舞するバラード。春日氏の編曲による"balance"は、クレバーなスタンスのポップチューン。対照的ながら、どちらも明快なサビとメロディを持った仕上がり。再び高田氏の編曲による"ユウナ"は、ファイナルファンタジーXの同名のヒロインの視点をイメージした一曲であり、みゆはんのFFX愛をストレートにしたためたスロウバラード。ちなみに、歌詞の最後に出てくる「少し潜れた2分41秒」とは、FFXインターナショナル版の映像特典であったショートストーリー「永遠のナギ節」の内容にちなみます。
Cherieやステレオポニーの楽曲や、"ぼくのフレンド"の編曲を手掛けてきた二人組ユニット R_Men_Soul(ラーメンソウル)と、春日氏の共同編曲によるトボけた味わいの三拍子チューン"化け猫ワルツ"は、ひたすら「にゃーにゃー」と言っている思い切った構成の楽曲。一見すると猫が飼い主への感謝を伝えた一曲なのですが、歌詞カードを見ると、「にゃーにゃー」部分の“翻訳”が載っており、実は飼い主に対する注文と毒吐きであったという、まさに「猫を被った」趣向。招き猫の日(9月29日)にリリースされた本作を象徴する一曲ではないかと思います。nishi-ken氏の編曲によるラストナンバー"蝶よ花よ"は、アコースティックギター(木島靖夫氏)とヴァイオリン(Clacksの門脇大輔氏)をアクセントにした一曲。離れた娘を想う母と、娘の両親への想いを交互にしたためたハートウォーミングなバラードで、かけがえのない友人への想いを綴った"ぼくのフレンド"とオーバーラップするところも多く、ひいては『自己スキーマ』とワンセットで聴きたい。
http://www.mewhan.com/
http://www.jvcmusic.co.jp/mewhan/
▼みゆはん『自己スキーマ』(2017)