ゲーム・ミュージック
Sweep Record (2017-06-30)
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http://sweeprecord.com/srin-1148/
感激のリリースでありました。アーケード版とファミコン版の音源、ナムコミュージアムVOL.4のゲームルームBGM、高橋弘太氏、細江慎治氏、増渕裕二氏による各アレンジヴァージョン、1988年7月27日に聖蹟桜ヶ丘で行われた、TBSのラジオ番組「ラジオはアメリカン」のイベントで演奏された「組曲 源平討魔伝」「ラストテーマ・ニューバージョン」の音源の再収録。そして、再結成を果たした中潟憲雄氏率いるプログレッシヴ・ロック・バンド アクアポリスによる新録アレンジメドレー「真組曲 源平討魔伝」が収録されたCDに、源平プロジェクトが撮影した実写版、雨宮慶太氏の演出によるプロモーション版映像が収録されたDVDがセットになったまさにスペシャルアイテム。(なお、PCエンジン版「源平討魔伝」「源平討魔伝 巻ノ弐」のBGMはクラリスディスクより2014年にリリースされた『HuCARD Disc In BANDAI NAMCO Games Vol.2』に収録されていることもあり、未収録です)。ブックレットも充実しており、先ごろ刊行された《GAMEgene》第三号のインタビューと併せることで永久保存版といえるものになっています。
中潟氏が中期SOFT MACHINE、ジョン・マーシャルがお好きだったというのは初耳でした。1972年のライヴアルバム『Live in Paris』の一曲目"Plain Tiffs"におけるジョン・マーシャルの八分の六拍子のビートがサウンドのイメージにあったとのこと(ところで、ブックレットのインタビューの記載では1971年となっていましたが、同作が録音されたのは1972年5月2日です)。「ようやく本当に自分が思い描くものになった」と語られていた「真組曲 源平討魔伝」は、さまざまなライヴやレコーディングに参加されている竹井誠氏の尺八と、大友良英氏(中潟氏とは高校のJAZZ研の同期だったそうです)のノイズギターもゲストで加わっての、15分以上に渡る圧巻のアレンジ。
Soft Machine
Cuneiform (2004-05-04)
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個人的な妄想をいささか広げる形になりますが、「エンディング」はKING CRIMSONも意識されているのではないかとずっと思っています。「混乱こそ我が墓碑銘となるだろう(Confusion will be My Epitaph)」「星ひとつなき聖なる暗黒(Starless and Bible Black)」といった詞が、ゲームのエンディングにおける「神様は死んだ 悪魔は去った 太古より巣食いし 狂える地虫の嬌声も 今は、はるか 郷愁の彼向へと消え去り 盛衰の於母影を ただ君の 切々たる胸中深くに 残すのみ 神も悪魔も降立たぬ荒野に我々はいる」のメッセージと共鳴しているような気がしてならないのです。「Epitaph」を歌ったグレッグ・レイクも、「Starless」を歌ったジョン・ウェットンもこの世を去り、諸行無常を痛感する次第ですが、復活を果たしたアクアポリスのこれからの活動にさらなる期待をしたいと思います。
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最後に、アクアポリスのプロフィールについて、三年半前に書いたこちらの内容を改訂する形で以下に記しておきたいと思います。
【参考文献】
ヌメロ・ウエノ『ヒストリー・オブ・ジャップス・プログレッシヴ・ロック』(1994年/マーキー・ムーン刊)
剛田武『地下音楽への招待』(2016年/ロフトブックス刊)
1980年の夏、早稲田大学のプログレッシヴ・ロック・サークル「イオロス」内で結成されたブリティッシュ・プログレ系のコピーバンドが母体となり誕生したアクアポリスは、同年12月に越谷のイベントでライヴデビューを果たし、1981年からは吉祥寺シルバーエレファントを拠点にライヴ活動を行うようになります。当時はアウターリミッツやKENSOとも共演していたとのこと。
《1980年》
中潟憲雄(keyboard)
桑原聡(bass)
渡辺幸一(guitar)
竹迫一郎(drums)
当初はYESやKING CRIMSON、BRUFORDのレパートリーを演奏していたそうですが、次第にオリジナル曲の演奏も行うようになり、1981年8月にはバンドの代表曲であり、16分を超える大曲「アクアポリス組曲」がスタジオ録音されます。同曲は1994年にマーキー/ベル・アンティークからリリースされたオムニバスアルバム『伝説の彼方~東京シンフォニック・シンドローム』に収録(ちなみに、本CDには菅野詩朗氏が80年代に在籍していたバンド「GREEN」の楽曲も収録されています)。シンフォニックな広がりを持ったシンセサイザー・アレンジの上を、軽やかなバンドアンサンブルがテクニカルに押していく力作です。1982年からはラインナップが不安定になり、特にドラムスの入れ替わりが頻繁にあったもよう。
《1982年》
中潟憲雄(keyboard)
伴田宏(bass)from KALEIDOSCOPE
浜田龍美(guitar)
川上達朗(drums)
高橋直哉(drums)from 新月
《1982年7月~1983年4月》
中潟憲雄(keyboard)
桜井良行(bass)from HAL
浜田龍美(guitar)
竹迫一郎(drums)
そして、1983年4月に発行された《マーキームーン》誌第12号の付録ソノシート(MM-0008)に、プログレッシヴ・フュージョン寄りの楽曲「El Dorado」が収録され、1985年8月には、モノリスコミュニケーションからリリースされた三枚組オムニバス『Progressives' Battle From East/West』(MN-14001~14003)に、よりシンセサイザーを前面に押し出した、三部構成の情緒的なシンフォニック曲「ノルウェーの印象 (夜明け・オスロの午後・白夜)」が収録されます。ちなみに1985年は、中潟氏がナムコで『モトス』『バラデューク』の楽曲を手がけられた年でもあります。
《1987年》
中潟憲雄(keyboard)
桜井良行(bass)
三苫裕文(guitar)
竹迫一郎(drums)
1987年7月には、アラン・ホールズワースからの強い影響下にある三苫裕文氏にギターがチェンジするものの、中潟氏の仕事が忙しくなったため、その後しばらくしてバンドは活動を休止することになります。メンバーの竹迫氏と三苫氏はこの後、ジャズ・ロック・バンド「NOA」を結成して活動を展開(三苫氏はさらにその後プログレッシヴ・ロック・バンド「MONGOL」にも参加されています)。NOAは1996年以降、活動が途絶えていましたが(2007年に亡くなられたメンバーの飯嶋氏の追悼ライヴのため、2008年4月に一時的に再編)、2016年8月に本格的に再始動しています。現在のラインナップには桜井良行氏と、作編曲家であり、PRISMの現キーボーディストでもある渡部チェル氏が加わっております。
http://www.pjr-noa.com/
《2017年『源平討魔伝~三拾周年記念音盤~』》
中潟憲雄(keyboard)
桜井良行(bass)
三苫裕文(guitar)
菅野詩郎(drums)from KBB
2017年2月25日に行われた「東京ゲーム音楽ショー2017」において、アクアポリスの約30年ぶりのライヴが行われ、歴代メンバー+αによる、新曲も交えたパフォーマンスが展開されました。そして8月19日には「VGM SPARK -STAGE1-【源平討魔伝・激奏禄】」にて、二度目のライヴが行われます。
▼東京ゲーム音楽ショー2017: 中潟憲雄氏LIVE、菊田裕樹氏LIVE 覚え書き