リットーミュージック (2017-06-09)
https://www.rittor-music.co.jp/magazine/detail/3117122001/
キーボードマガジンの2017年夏号のゲームミュージック特集、とても充実しています。著名コンポーザー各氏のインタビューはもちろん、杉山圭一氏とhally氏によるゲーム・ミュージック史の数十年を俯瞰した対談も濃ゆいものがあります。
植松伸夫氏のインタビューはFFを中心にスクウェア入社前から現在までを語られていたのだけど「初めて書いたオーケストラのスコアはボロボロで~」のくだりは、やはりあのアレンジアルバムでしょうね。オーケストラ音楽を「あえてそれ以上やらなくなった」ということで、これもまた一つの大きな転機ともいえるのだけど。
伊藤賢治氏のインタビューでは、フォークやポップス少年だった氏がハードロック要素を取り入れたきっかけに「メリーアン」以降のTHE ALFEEがあったというのはめちゃくちゃ腑に落ちるものがありましたね。フォークにもポップスにもハードロックもやれるバンドがアルフィーですから。「どちらかと言うと邦楽ロックのノリ」だとおっしゃられていたのもなるほどですし、"決戦!サルーイン"の制作時期はX JAPANが大ヒットしていた時期で、YOSHIKIがクラシック出身だったので、勝手にシンパシーを覚えて伊藤氏が独自に楽曲を研究していたという話も出てきます。
そして一番の注目ではないかと思うのが、HAL研の石川淳氏と安藤浩和氏のインタビュー。お二人のインタビューが活字になった機会はこれ以前だと任天堂公式サイトの2010年の記事しかないのです。音楽歴から始まっていて、まさに永久保存版といえます。石川氏のHAL研入社直後(「宇宙警備隊」開発末期のころ)の話、なかなかすごかったのでぜひ読んでみてほしいですね。それと、「ジャンボ尾崎のホールインワン」の開発時期とHAL研の山梨開発センターの建設がほぼ同時期の進行だったのかということも知りました。星のカービィ周りの話では、スーパーデラックスの"VSマルク"は、「そもそも何拍子か分からない曲を作ろう」「16分音符を1つ減らして、4拍子を15/16にするというような実験をよくやっていた」と石川氏がコメントされていたりも。