2015年1月27日火曜日

ノルウェーから水揚げされた、クトゥルー meets ヴィンテージ・プログレッシヴ・ロック ― Annot Rhül『Leviathan』(2014)

LeviathanLeviathan
(2014/10/28)
Annot Rhul

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暗黒怪奇に染めあげるヘヴィなプログレッシヴ・ロック系のカタログのリリースに暗躍するイタリアのレーベル Black Widowより、またも怪奇なバンドが出て来ました。ノルウェーから釣り上げられてきたこのAnnot Rhülは、H.P.ラヴクラフトとクトゥルー神話に心酔するマルチ・ミュージシャンのSigurd Lühr Tonnaを中心としたプログレッシヴ/スペース・ロック・バンドであります。プロジェクトが蠢動を開始したのは2000年代半ばごろで、これまでに60年代ガレージ・ロック/サーフ・ミュージックなEP『The Annot Rhül Surf Experience』を2004年に、自主制作時代の音源と新録音源をカップリングしたEP『Lost in the Woods』を2007年にそれぞれリリースしております。7年ぶりの新作となる本作は、それぞれ10分を越える"Leviathan Suite" "R'Lyeh"の二曲の冒涜的なストーナー・ロック組曲を擁した野心作。今回も、Sigurdと交友のある同国のバンドのメンバーを楽曲ごとに適宜迎えるスタイルをとっており、過去作でも名を連ねていたサイケデリック・ロック・バンド SEIDや、オルタナティヴ・ロック・バンド The Love Revolt、プログレッシヴ・ロック・バンドWOBBLERのメンバーが参加しています。サウンドはいわゆる60~70年代ブリティッシュ・ロックからの影響の強い、意識を外宇宙に飛ばすがごときサイケデリック・フィーリングを帯びたもの。シタールのユルい響きとオルガンが渦巻く"Distant Star"や、モサっとした魅力のある"Surya"などでの、ハモンドオルガンやメロトロンの積極的使用による退廃的なムードの演出も、いかにもといった具合です。「1975年以降に製造された機材を使わない」という強いこだわりを持つバンドとして知られるWOBBLERのフロントマンであり、本作にメロトロンで参加しているLars Fredrik Frøslieの存在も、本作のヴィンテージな方向性に強く寄与しております。ズルズルと愉しめるイカソーメンな一枚。



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Progstreaming - Annot Rhül『Leviathan』
全曲フルストリーミングで視聴可能(※期間限定)