2014年7月7日月曜日

ビリー・シャーウッド プロデュースによる、カーク艦長のプログレアルバム ― William Shatner『Ponder the Mystery』(2013)

Ponder the MysteryPonder the Mystery
(2013/10/08)
William Shatner

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スター・トレックの「カーク艦長」ことウィリアム・シャトナーの、ソロ名義では6枚目となる2013年作品。2004年の『Has Been to present day』ではベン・フォールズをプロデューサーに迎えてロック/ポップスを、2007年の『Exodus: An Oratorio in Three Parts』では、アーカンソーの交響楽団と共に録音したオラトリオ曲を、2011年の『Seeking Major Tom』(こちらはHYDRANT MUSICから国内盤も出ていました)は、ブライアン・メイ、リッチー・ブラックモア、ピーター・フランプトン、スティーヴ・ハウ、ザック・ワイルド、ジョン・ウェットン、ブーツィー・コリンズといった豪華なゲストプレイヤーを迎え、宇宙に関する楽曲をカヴァーしたハードロック寄りの内容を展開しておりましたが、今回はプロデューサーに元YES~CIRCAのビリー・シャーウッドを迎え、豪華なゲスト・ミュージシャンのサポートの元に制作されたプログレッシヴ・ロック・アルバムとなっています。リリース元は、『Seeking Major Tom』と同じCleopatra Records。ハードロック/プログレッシヴ・ロック系カタログを再発含め多数リリースしている米国のレーベルです。中はこんな感じ。三面見開きデジパックであります。



とはいえ、シャトナー氏は歌っていません。ヴォーカル/コーラスパートは殆どビリー・シャーウッドで、バッキングトラックもほぼ全て彼によるもの。80~90年代のYES(またはAnderson Bruford Wakeman Howe)を彷彿とさせるヘヴンリーなコーラスハーモニーや明快なギターワークはこの人の十八番です。そこに、シャトナー氏のゆったりとした渋いモノローグが間あいだに挟まれ、豪華なゲストの面々が「らしい」ソロを弾いていくというのが基本形式です。ゲストを楽曲順に紹介すると、ミック・ジョーンズ(FOREIGNER)、サイモン・ハウス(HIGHTIDE、HAWKWIND)、スティーヴ・ヴァイアル・ディ・メオラリック・ウェイクマンジョエル・ヴァンドルーゲンブローク(BRAINTICKET)、エドガー・ウィンター、ニック・ターナー(HAWKWIND)、ヴィンス・ギルエドガー・フローゼ(TANGERINE DREAM)、デイヴ・コーズジョージ・デュークズート・ホーン・ロロ(MAGIC BAND)といった具合。様々なバンドの再発を手がけているレーベルのコネと、「プログレッシヴ・ロック界の企画屋」ことシャーウッドの人脈の成せる業だなあと思います。でも、せっかくなら「スポック」繋がりでSPOCK'S BEARDのメンバーも呼べばよかったんじゃないかなあ、とも。



シャトナー氏は存在感を示しておりますが、それでも「ビリー・シャーウッド featuring. ウィリアムシャトナー 他」という印象がどうしても否めません。自分はそこそこ楽しみましたが、シャトナー氏のファンには本作はどう受け入れられたのかなあと、少なからず感じるものがありました。ちなみに、Cleopatra Recordsの公式YouTubeアカウントでアルバムのほとんどの楽曲がアップロードされております。話の種に聴いてみてはいかがでしょうか。





また、本作リリース直後に、ビリー・シャーウッド率いるCIRCAをバックバンドに従えてシャトナー氏はライヴを行っております。映像も上がっているのですが、シャトナーの方がはるかに年上なのに、後ろでキーボードを弾いているトニー・ケイの方が老けて見えます。シャトナー氏は今年で83歳を迎えたそうですが、とてもそうは思えないなあと、改めて彼の若々しさに感服してしまった次第。また、あちらのプログレ系雑誌では特集を組まれたほか、表紙も飾っておりました。




William Shatner - Wikipedia
William Shatner's musical career - Wikipedia
スタートレック - Wikipedia
Cleopatra Records