回覧盤 (2013/07/26) 三回転とひとひねり 商品詳細を見る |
この夏、本当によく聴いた1枚でありました。
2008年に結成された長崎出身の男女4人組バンド「三回転とひとひねり」の1stアルバム。ひねりがあるのにひねりがないバンド名の程好い可笑味、『オタクじゃないよ。ふつうだもん』というアルバムの帯のキャッチフレーズも示しているように、彼らのサウンドは軽やかで小粋なインディー・ポップ。日々の戦いに明け暮れヤケクソまがいのファンネルを飛ばす本職軍人のメイド("稲荷~三回転とひとひねりのテーマ")。日々に忙殺され部屋のガンプラにホコリが被り、かつての情熱は憂いへと変わってしまった男のポエトリー("魚の延長コード")。子供の頃食べ切れずに残してしまったママのラーメンがフラッシュバックする雪山遭難者("雪山でラーメン")、ヱヴァンゲリヲン新劇場版の真希波嬢の心境("仮設五号機")など、ナードなワードも自然に散りばめられた楽曲群は、ユニークであり切なくもあり。みさき嬢の漂うようなヴォーカルが生み出す浮遊感がたまらない"レビ"、男のモノローグからバンドサウンドへと開ける趣向がドラマティックな"魚の延長コード"、印象的な詞がリフレインする"きりかえガールズ" "渇水"など、楽曲に流れる柔らかでゆるやかなエモーションは、マイペースなバンド活動で育まれてきたものなのでしょうか。ふとした瞬間に奥底に入り込んでくるような魅力があり、聴き返すほどに愛着が沸いてきます。今後の動向にもゆるやかに注目していきたいバンドです。
彼らと親交のあるノッツさんが手がけられた"稲荷~三回転とひとひねりのテーマ"ミュージックビデオも、可愛らしくて良いのです。オススメ。
●三回転とひとひねり - 公式サイト
●三回転とひとひねり | 術ノ穴 -Fragment-