2019年1月15日火曜日

西暦2000年のブギーポップ・メディアミックス~3枚の企画CDについて

 2019年1月より19年ぶり2度目のアニメ化が放送中の「ブギーポップは笑わない」。前回のアニメ版「ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom」は2000年1月から3月にかけて放送され、こちらはオリジナルストーリー(後日談)によるアニメ化でした。同年2月には小説『ブギーポップ・ウィキッド エンブリオ炎生』が刊行、同年3月には小説第1作の映画化「ブギーポップは笑わない Boogiepop and Others」が公開、さらに時期を同じくしてサウンドトラックやイメージアルバムが2か月連続で3タイトルリリースされるなど、ガッチリとしたメディアミックスが展開されていました。リリースから19年が経とうとしている今、この3枚の企画盤を改めて振り返ってみたいと思います。



『ワーグナー/ニュルンベルクのマイスタージンガー 第1幕への前奏曲
~ブギーポップ・ヴァージョン~』

MNCM-2001(2000年2月25日発売)

『ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom
オリジナル・サウンドトラック』

MNCA-3001[TGCS-836~837](2000年2月25日発売)

『Music Album Inspired by Boogiepop and Others
ブギーポップ 君に伝えたいこと』
MNCA-3003[TGCS-838](2000年3月25日発売)


※メディアワークス(現:アスキー・メディアワークス)の規格品番で「MNCM」が使用されたのはMNCM-2001のみ。また、「MNCA」のナンバリング3000番台が使用されたのはMNCA-3001とMNCA-3003のみで、以降のリリースでは9000番台が使用されており、「キノの旅」の初ゲーム化作(PS2用ソフト)のサントラ『キノの旅 -the Beautiful World- サウンドコレクション』(MNCA-9004/2003年3月)が最初のものとなっています。



ブギーポップは笑わない ― Boogiepop Phantom  /  ワーグナー,ニュルンベルクのマイスタージンガー第1幕への前奏曲(ブギーポップ・ヴァージョン)
TVサントラ 平野義久 梶浦由記 上遠野浩平
KADOKAWA メディアファクトリー (2000-02-25)
売り上げランキング: 79,394


『ワーグナー/ニュルンベルクのマイスタージンガー 第1幕への前奏曲~ブギーポップ・ヴァージョン』は、表題曲と「口笛ヴァージョン」の2曲を収録したシングル。前曲は鈴木織衛氏が指揮、平野義久氏が編曲、後曲は浜田理恵氏が口笛、梶浦由記氏が編曲をそれぞれ担当しています。デジパック仕様パッケージのブックレットにはユージンとフォルテッシモが登場する20ページの短編「ブギートーク・ポップライフ」を収録。こちらは現在も文庫未収録であり、本CDでしか読めません。



『ワーグナー/ニュルンベルクのマイスタージンガー 第1幕への前奏曲~ブギーポップ・ヴァージョン~』

《収録曲》

01. ワーグナー/ニュルンベルクのマイスタージンガー 第1幕への前奏曲
~ブギーポップ・ヴァージョン~

02. ワーグナー/ニュルンベルクのマイスタージンガー 第1幕への前奏曲
~口笛ヴァージョン~



ブギーポップは笑わない ~Boogiepop Phantom ― オリジナル・サウンドトラック
TVサントラ
KADOKAWA メディアファクトリー (2000-02-25)
売り上げランキング: 31,753


『ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom オリジナル・サウンドトラック』は、クラブミュージックに特化したCD2枚組のコンピレーション。Flare(ケン・イシイ)、SiLC(元M-AGEのMIYO-KEN[三代堅]のユニット)、Audio Activeススム・ヨコタAOA(ボアダムスのHILAHとE-DA Kazuhisaによるユニット)、Ming & FS(アーロン・アルバーノ & フレッド・サルゴリーニ)、Sugar PlantSadesper Record(WATCHMAN & Goro Watari[NARASAKI])、サワサキヨシヒロヒデノブ・イトウレイ・ハラカミM.Y.K.N.(MIYO-KEN)が楽曲を提供しています。方向性的には「serial experiments lain」の『cyberia mix』(1998)や、「サムライチャンプルー」の一連のサントラ(2004)と同列に位置するアルバムではないかと思います。





『ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom オリジナル・サウンドトラック』

《Disc 1 収録曲》

01. Happy End(Flare)
02. In Heaven(SiLC)
03. Penalty Taker(Audio Active)
04. Gataway(Sususmu Yokota)
05. Delirious(SiLC feat 2k+D's of RED LINE)
06. Stormy Soup(AOA)

《Disc 2 収録曲》

01. Boogiepop Me Up(Ming & FS)
02. A Furrow Dub(Sugar Plant)
03. Torso(Sadesper Record)
04. Snow Coast(Yoshihiro Sawasaki)
05. Unstability(Hidenobu Ito)
06. Pone(Rei Harakami)
07. Angel in the Dark(M.Y.K.N.)



ブギーポップ 君に伝えたいこと
ワーグナー 梶浦由記 平野義久
メディアファクトリー (2000-03-25)
売り上げランキング: 149,924


『ブギーポップ 君に伝えたいこと』梶浦由記氏が全作編曲(ボーナストラックを除く)を手がけたイメージアルバム。山木秀夫(drums)、八ッ橋義幸(guiter)、Mecken・中村キタロー(bass)、難波弘之・冨樫春生(piano, keyboards)、梯郁夫(percussion)、矢口博康(sax)といった強力なレコーディングメンバーのセッションで制作されたピアノ主体のジャズ・ロック/ポスト・ロック インストゥルメンタルは、梶浦氏が劇伴を担当した映画版でもアレンジされて流れることになります。ピアノソロを力強いバンドアンサンブルが支える「daphne」「boogie-pop」、矢口氏の熱演をフィーチャーした「nepenthe #1」「nepenthe #2」、リリカルなメロディが優しく胸を打つ「sad bird」「forget-me-not」、カタルシスの爆発が訪れるスリリングなブレイクビーツ・ロックの傑作「criss-cross」など、珠玉の楽曲ぞろい。梶浦作品の中でも間違いなく上位に入る傑作です。なお、2010年にリリースされた梶浦氏の3枚組サントラワークスベスト『The Works for Soundtrack』のDISC 2には、本イメージアルバムの「porcelain」「nepenthe #2」「embrace」とボーナストラック以外の7曲が収録されており、そちらでほぼフォローが可能です。ボーナストラックとして収録されている「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲(ブギーポップ・ヴァージョン・クラシカル・ミックス)は、シングルリリースされたもののミックス違い。本盤もデジパック仕様パッケージであり、ブックレットには原作の名台詞を抜粋してメッセージ詩集として収録しています。


The Works for Soundtrack
The Works for Soundtrack
posted with amazlet at 19.01.14
梶浦由記
BMG JAPAN Inc. (2010-12-08)
売り上げランキング: 115,609


『Music Album Inspired by Boogiepop and Others ブギーポップ 君に伝えたいこと』

《収録曲》

01. daphne
霧間凪(and 末真和子)

02. sad bird
エコーズ(and 紙木城直子)

03. nepenthe 1
ワーグナー/ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲

04. porcelain
末真和子(and 霧間凪)

05. egotism
マンティコア(and 早乙女正美)

06. forget-me-not
紙木城直子(and 木村明雄)

07. nepenthe 2
ワーグナー/ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲

08. criss-cross
VS

09. embrace
新刻敬

10. boogie-pop
ブギーポップ

〈Bonus Track〉
11. 「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
(ブギーポップ・ヴァージョン・クラシカル・ミックス)





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2度アニメ化した電撃文庫作品つながり。