2018年3月16日金曜日

初期~中期HAL研サウンドの軌跡――「ガルフォース」から「星のカービィ スーパーデラックス」まで

 HAL研究所の公式サイトには、「ガルフォース」(1986)から現在に至るまでの自社ソフト年表と、各ソフトの発売情報と概要のページがあります。これが非常にありがたい。本ページを参考にしつつ、初期から「星のカービィ スーパーデラックス」(1996)にかけてのHAL研サウンドを追っていきます。ただ、確たるスタッフクレジットのないゲームも多く、一部タイトルに関しては類推によるものであることを始めにおことわりしておきます。
http://www.hallab.co.jp/works/history/


「F1レース」(1984年11月2日)
「マッハライダー」(1985年11月21日)
「オセロ」(1986年11月13日)



 初期のHAL研サウンドの要となった人物は、菅浩秋氏と金指英樹氏のお二人。菅氏は90年代以降、〈星のカービィ〉シリーズのプロデューサーやコーディネーターの一人としてご活躍されています。任天堂から1984年または1985年に発売された「ピンボール」「ゴルフ」「F1レース」「バルーンファイト」「マッハライダー」、1986年に河田から発売された「オセロ」はいずれもHAL研が開発を担当しており、うち「オセロ」のスタッフロールではMUSICAL COMPOSITIONのクレジットにRODEO KANAGUSHI(金指英樹)の名前が確認できます。また、「F1レース」「マッハライダー」はゲーム中にスタッフクレジットはないのですが、どちらもコンポーザーを金指英樹氏が、サウンドプログラマを菅浩秋氏が担当されたのだろうと推測されています。「マッハライダー」のデフォルトのスコアリザルト画面「BEST 10 RIDERS」には「GSX」というネームがある(菅氏の別名義に「GSX SUGA」)。mobygamesによって下記のように推理されています(「CSE」と「K.M」はなんだろう)。


HAL→HAL研
CSE
HNV→羽生昭夫
GSX→菅浩秋(GSX Suga)
EGG→「エッガーランド」
FLZ→金井誠(FLZ Kanai)
K・M
NAV→西田泰也
YOK→横井軍平
MIK→MIKIO IKEDA



「ガルフォース」 (1986年11月19日)
ハル研のファミコン(ディスクシステム)ソフト第一弾。OVA「ガルフォース ETERNAL STORY」のシューティングゲーム。サウンドコンポーザーにHIDEKI KANAZASHI(金指英樹)とHIROAKI SUGA(菅浩秋)の両名のクレジットがあり、菅氏はプロデューサーとアシスタントプログラマーも兼任。また、サウンドプログラマーの「KAKOYO LOVE」氏がクレジットされているのは本作のみのようです。






「エッガーランド」(1987年1月29日)
MSXで発売された「エッガーランド ミステリー」(1985)、「迷宮神話」(1986)に次ぐエッガーランドシリーズ第三作。ロロとララは、のちに星のカービィシリーズのロロロとラララへと造型が継承されます。ディレクターとプログラマーを「GSX.SUGA」=菅浩秋氏が兼任され、コンポーザーを「ZAP AJISAI」=金指英樹氏が担当されています。






「所さんのまもるもせめるも」
(1987年6月27日)
発売:エピックソニー/開発:エスコ、HAL研(プログラム)によるタレントゲーム。mobygamesの「所さんのまもるもせめるも」のページでは「Composer (uncredited): Kazuo Sawa」とあるのだけど、おそらくは後述の「ビバ・ラスベガス」のクレジットからの推測ではないかと思われます(澤和雄氏は〈くにおくん〉シリーズのコンポーザー)。



「エアー・フォートレス/AIR FORTRESS」
 (1987年8月17日)
ディレクター、ゲームデザイナー、プログラマーを「GSX SUGA」=菅浩秋氏が兼任。コンポーザーを金指英樹氏が担当。金指氏のクレジットは、ファミコン版では「JUMPER KANAGUSHI」であり、NES版では「ESCAPER KANAGUSHI」であるという細かい違いがあるのですが、どちらにしても【逃げのカナグシ】となるのがミソ(?)。







「スター・ゲイト」(1987年9月24日)
「ミリピード」(1987年10月1日)
「ジャウスト」(1987年10月30日)

1987年後半に3本のタイトルがHAL研より出ていますが、いずれも海外タイトルの移植作品です。

「殺意の階層」(1988年1月07日)
ハイパーウェアとの共同制作によるミステリアドベンチャーゲーム。コンポーザーは井上亨氏。音楽データの編曲を金指英樹氏が担当。






「ファイヤーバム」(1988年2月1日)
「エッガーランド」でキャラクターデザインを担当されたPIKIO MIDORIKAWA氏がディレクションとキャラクター&ゲームデザインを担当され、☆よしみる氏がアニメーターで参加されたディスクシステム用タイトル。サウンドコンポーザーで「H.KANAZASI」=金指英樹氏のクレジットあり。1988年8月に徳間ジャパンからリリースされたアルバム『HAL ゲームミュージック』には、「ファイヤー・バム組曲」としてオリジナルヴァージョンのBGMメドレーが収録されています。



ハル・ゲームミュージック

株式会社徳間ジャパンコミュニケーションズ (1988-08-25)
売り上げランキング: 1,369,562



「ジャンボ尾崎のホールインワン・プロフェッショナル」
(1988年2月1日)
1985年にMSX用ソフトとして発売された「ホール・イン・ワン」「ホールインワンプロフェッショナル」をタレントゲームとしてのバリューをつけたうえで大幅なリニューアルを図った一作。サウンドは菅浩秋氏と金指英樹氏(『HAL ゲームミュージック』のクレジットより)。

http://camelletgo.blogspot.jp/2018/02/jumbo-ozaki-hole-in-one-30th.html



「ファミコングランプリII 3Dホットラリー」
 (1988年4月14日)
発売:任天堂/開発:HAL研によるディスクシステム用タイトル。3つのマシンで3つのコース全てを制覇してセーブするとエンディングスタッフロールが表示され、サウンドは「NIGE NO KANAZASHI」=金指英樹氏、「GSX SUGA」=菅浩秋氏(プログラマーと兼任)、「JUMP SOYO」=岡素世さんの三名。1988年7月に徳間ジャパンからサントラCD『3Dホットラリー』がリリースされてもいます。



3Dホットラリー
3Dホットラリー
posted with amazlet at 18.03.15

株式会社徳間ジャパンコミュニケーションズ (1988-07-25)
売り上げランキング: 1,001,673



「エッガーランド 迷宮の復活/ADVENTURES OF LOLO」
 (1988年8月9日)
「エッガーランド 創造への旅立ち」
 (1988年8月20日)
サウンドコンポーザーで「NIGE NO KANAZASHI」=金指英樹氏(パズルクリエイターと兼任)。サウンドディレクターで「GSX.SUGA」=菅浩秋氏(ディレクター、プログラマー、パズルクリエイターと兼任)。「創造への旅立ち」はディスクシステム書き換え専用ソフト。こちらはスタッフクレジットはないのですが、ほぼ同時期に発売となった「エッガーランド 迷宮の復活」のクレジットから推測して、サウンドは菅浩秋氏と金指英樹氏なのではないかと思われます。




「ビバ・ラスベガス」 (1988年9月30日)
発売:エピックソニー/開発:HAL研(プログラム)によるファミコン用カジノソフト。PRODUCERS:北島肇 島武実 山元哲治/MUSIC COMPOSER:クニ河内/SOUND EFFECTS:K.SAWA=澤和雄?




「ローラーボール/ROLLERBALL」
(1988年12月20日)
ピンボールゲーム。スコアで100万点以上をたたき出すとスタッフクレジットが表示される。コンポーザーは「NIGETA ZAP」=金指英樹氏と「GSX SUGA」=菅浩秋氏。




「上海」(1989年07月28日)
ゲームボーイ用上海。コンポーザーは「RODEO KANAGUSHI」=金指英樹氏と「GSX SUGA」=菅浩秋氏。



「ピンボール 66匹のワニ大行進/Revenge of the 'Gator」
 (1989年10月18日)
ゲームボーイ用ピンボール。同ソフトのWikipedia記事では「音楽:菅浩秋」となっているのだけど、いったいどこ情報なのか不明。一方で、ROMを解析すると「TOSHIO SENGOKU」「MAKI SENGOKU」の二人の名前が表示されるそうな。メトロイドのメインプログラマーの一人だったGPZ SENGOKU=仙石敏男氏?



「御存知 弥次喜多珍道中」
 (1989年11月7日)
「殺意の階層」に引き続き、ハイパーウェアとの共同制作によるアドベンチャーゲーム。音楽・音色で「かなざし ひでき」=金指英樹、「すが ひろあき」=菅浩秋(ほか、音楽には「いのうえ とおる」=井上亨、「なす かずみ」、「なぞいち ケンケン」の三名のクレジットあり)






「アドベンチャーズ オブ ロロ/ADVENTURES OF LOLO 2」
(1990年1月6日)
「エッガーランド 迷宮の復活」の海外タイトルが「ADVENTURES OF LOLO」だったので、海外だと「ADVENTURES OF LOLO 2」になる(ややこしい)。クレジットはないのだけど、「エッガーランド 迷宮の復活」のクレジットからコンポーザーは金指英樹氏ではないかという推測がmobygamesではされている。



「宇宙警備隊」(1990年9月7日)
コンポーザーは金指英樹氏と、HAL研入社まもない頃の石川淳氏であり、同作が氏のデビュー作となりました。キーボードマガジン2017年夏号の石川淳氏&安藤浩和氏のインタビューでは、「宇宙警備隊」のサウンド制作時の話が石川氏から語られていましたが、開発途中で金指氏が会社から突然いなくなってしまったため、石川氏が苦心してサウンドの残りを引き継いで切り抜けたというなかなか凄い話でした。前々から失踪癖がある人だったということで、それが「NIGETA ZAP」「JUMPER KANAGUSHI」という金指氏の変名クレジットになったのでしょう。







「ゴーストバスターズ2/GHOSTBUSTERS II」
 (1990年10月16日)
ゲームボーイ版。コンポーザークレジットはないのだけど、「キングオブキングス」「えりかとさとるの夢冒険」〈PC原人〉シリーズなどのBGMを手がけられた高山博彦氏だと判明しています(下記は海外サイトによるインタビュー)。

「Hirohiko Takayama (Game Composer) Interview」
(from NINTENDO PLAYER)



「アドベンチャーズ オブ ロロⅡ/ADVENTURES OF LOLO 3」
 (1990年12月26日)
海外だと「ADVENTURES OF LOLO 3」になる(やはりややこしい)。これもクレジットはなし。「エッガーランド 迷宮の復活」のクレジットからコンポーザーは金指英樹氏ではないかという推測がmobygamesではされているのだけど、金指氏が「宇宙警備隊」の途中でフェードアウトしてしまったことを考えると、全てのBGMを担当されたのか怪しくなります(石川淳氏が引き継いだ可能性も?)。



「NEWゴーストバスターズ2/NEW GHOSTBUSTERS II」
(1990年12月26日)
ゲームボーイ版をさらにブラッシュアップしたファミコン版。コンポーザーは石川淳氏。ディレクター&プログラマ―は菅浩秋氏。とりわけステージ3BGMはブリリアントな一曲。







「突撃!ポンコツタンク/TRAX」
 (1991年1月8日)
星のカービィシリーズに「モトシャッツォ」として登場するあのタンクの元ネタであるゲームボーイ用シューティングゲーム。スタッフクレジットはなく、mobygamesなどではコンポーザーは高山博彦氏とあったりするのだけど、確たるソースが見当たらないので果たして本当にそうなのかは不明。



「ジャンボ尾崎のホールインワン/HAL'S HOLE IN ONE GOLF」
(1991年2月23日)
スタッフクレジットはありませんが、サウンドの雰囲気からみて、石川淳氏による仕事の可能性が高いです。また、本作はHAL研の山梨開発センターの建設とほぼ同時期に開発が進行していたとのこと(キーボードマガジン2017年夏号インタビューより)。「ジャンボ尾崎のホールインワン・プロフェッショナル」と「ジャンボ尾崎のホールインワン」の二作をまたぐ三年間がHAL研の音楽面の転換期でもあるということを考えると興味深くもあります。金指氏、菅氏から、石川氏と安藤浩和氏へ。






「メタルスレイダーグローリー」
(1991年8月30日)
HAL研とライブプランニング(カゼ・ネット)の共同開発によるコマンド選択式アドベンチャーゲーム。「ファイヤーバム」にアニメーターとして参加された☆よしみる氏がキャラクターデザイン、シナリオ、ディレクターを、「ガルフォース」でディレクターとゲームデザインを務められた向井忠氏がプログラミングのディレクションを担当。コンポーザーは京田誠一氏。



「ハイパーゾーン/HYPERZONE」
(1991年8月31日)
菅浩秋氏、倉岡龍樹氏、若山強氏、下村真一氏といった星のカービィシリーズのメインスタッフが手がけているというのもあるけど、石川淳氏のトリッキーな作風が強く出ているという点でも興味深いタイトル。最終エリアBGMは珠玉の一曲です。


【Team HYPER ZONE】
GSX SUGA(菅浩秋)
MIYA AOKI
RYU KURAOKA(倉岡龍樹)
GCN WAKAYAMA(若山強)
JUN ISHIKAWA(石川淳)
EEE H A
PCB SHIMOMURA(下村真一)






「カードマスター リムサリアの封印/ARCANA」
(1992年3月27日)
スーパーファミコン用ファンタジーRPG。コンポーザーは石川淳氏と安藤浩和氏。両人の初タッグ作(石川氏はミュージックディレクターと兼任)。







「星のカービィ/Kirby's Dream Land」
(1992年4月27日)
記念すべきシリーズ第一作。コンポーザーは石川淳氏。

★HAL研究所の和議申請(1992年6月22日)

 HAL研は1992年に和議申請をしたといわれているのだけど、では何月何日にされたのかというところまではインターネット上で調べる限りではわかりません。そこで国会図書館で業界記事を調べたところ、《Credit & Law》の1992年8月号(第35号)と《Asahiパソコン》の1992年8月号(第85号)に和議申請についての記述がありました。「1992年6月22日」です。つまり「星のカービィ」を発売した直後に申請していることになります。岩田聡氏がHAL研の社長に就任されたのが1993年3月。その後の快進撃はご存知の通り。






「スーパーダンクショット/NCAA BASKETBALL」
(1992年6月26日)
和議申請の直後に発売されていますが、こちらは海外で開発されたタイトルを国内に輸入したもの。


「星のカービィ 夢の泉の物語/Kirby's Adventure」
(1993年3月23日)
シリーズ第二作。コンポーザーは石川淳氏と安藤浩和氏。94年にソニーレコーズよりリリースされたサウンドトラック&ヴォーカルアレンジ(歌:宮田まこ/作詞:柳川真寿美/編曲:高生隆嗣)CD『星のカービィ ~夢の泉の物語~』(SRCL-2959)は、今なお超が3つはつくほどのプレミアアイテムとなっています。


星のカービィ 〜夢の泉の物語〜
宮田まこ
ソニー・ミュージックレコーズ (1994-07-21)
売り上げランキング: 815,377



「カービィのピンボール/Kirby's Pinball Land」
(1993年11月27日)
スタッフクレジットはないのですが、コンポーザーは池上正氏であることが近年明かされました(本作が氏のデビュー作)。2017年4月に開催された「星のカービィ25周年記念オーケストラコンサート」にも氏は登壇されています。

「「星のカービィ25周年記念オーケストラコンサート」東京公演が開催」
(from GAMEwatch|2017.04.17)



「アルカエスト」(1993年12月17日)
当初HAL研が「ガーディアンブレイド」のタイトルで開発していたものの、1992年6月のHAL研の和議申請によりスクウェアが開発を引き継ぎ、最終的に同社からリリースされたのが本作。そういう経緯もあって、両社のHPにソフト情報が載っています。コンポーザーは石川淳氏。良曲の宝庫であり、「General of the Empire」「Sky Fortress」「Alcahest~God of Death」は、本作の3年後にリリースされる「星のカービィ スーパーデラックス」の楽曲の原点といえます。
http://www.hallab.co.jp/works/detail/000752/
http://www.jp.square-enix.com/archive/alcahest/




▼「General of the Empire」


▼「Sky Fortress」


▼「Alcahest~God of Death」




「ロロの大冒険」(1994年3月25日)
〈エッガーランド〉シリーズであり、発売:イマジニア/開発:HAL研によるゲームボーイ用パズルゲーム。コンポーザーは松前真奈美さん。



「MOTHER2 ギーグの逆襲/EarthBound」
(1994年8月27日)
発売:任天堂/開発:HAL研。ミュージック・コンポーザーに鈴木慶一氏、田中宏和氏。「アディショナル・ミュージック・コンポーズ」で金津宏氏、上野利幸氏。



「カービィボウル/Kirby's Dream Course」
(1994年9月21日)
コンポーザーは安藤浩和氏。




「星のカービィ2/Kirby's Dream Land 2」
(1995年3月21日)
コンポーザーは安藤浩和氏と池上正氏。





「シムシティ2000」(1995年5月26日)
発売:イマジニア/開発:HAL研。コンポーザー不明。

「カービィのブロックボール」
(1995年12月14日)
発売:任天堂/開発:HAL研 & トーセ。コンポーザーは大山助三氏と高木了恵(了慧)さん。



「星のカービィ スーパーデラックス」
 (1996年3月21日)
コンポーザーは石川淳氏と宮川弾氏(現マニュアル・オブ・エラーズ所属)。1996年は宮川氏がプロデューサーのキャリアをスタートさせた年でもあるので、その点でも興味深い。キーボードマガジン2017年夏号のインタビューで石川淳氏は、「何拍子かわからない曲を作るっていうのも、奇をてらうというよりは、自分の中にあるものを出していいかなと思って出したという感じなんです」と述べられていた。本作の「VSマルク」も、変拍子の試行錯誤の結果といえます。「そもそも何拍子か分からない曲を作ろう」「16分音符を1つ減らして、4拍子を15/16にするというような実験をよくやっていた」とのこと。





 『星のカービィ』シリーズを手がけた石川淳&安藤浩和(HAL研究所)に話を聞く!|キーボード・マガジン 2017年7月号 SUMMERより【PICK UP】
(from リットーミュージック)

0 件のコメント:

コメントを投稿