2018年11月9日金曜日

少女☆歌劇 レヴュースタァライト『ラ レヴュー ド マチネ』『ラ レヴュー ド ソワレ』(2018)




 2018年7月から9月にかけて放送されたアニメ「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」(原作:ブシロード、ネルケプランニング、キネマシトラス/監督:古川知宏)、誠に凄まじい作品でありました。舞台とアニメの二層展開による相互補完/複数の解釈、さらにアニメ自体のエピソードの練られた演出(観返すたびに発見がある各キャラクターの感情の機微)や重層的なつくりに胸躍らされ、ある種の極北を観たという感慨があります。監督の古川氏は幾原邦彦氏の弟子筋にあたり、あちこちで指摘されているように幾原オマージュな趣向は随所にあります。第12話には思わず少女革命ウテナの最終話「いつか一緒に輝いて」が去来したのだけれども、「いつか」ではなく「いま」の一緒の輝き(スタァライト)を目指し、本作のキーワードの一つである「アタシ再生産」をふたたび力強く掲げて文字通りブチ抜いていったので、焼き直しではなく、まさに“再生産”。「少女☆歌劇レヴュースタァライト」という一つの作品を見事に確立させたと断言したいです。

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 アニメ第1話を観るといきなり情報量過多のフルスロットルで飛ばしているような印象がありますが、舞台少女たちによる「トップスタァを目指して、歌って、踊って、奪い合う」世界観の説明は舞台「少女☆歌劇 レヴュースタァライト -The LIVE- #1 revival」である程度されているので、なにはなくとも舞台を観ましょう(ダイレクトマーケティング)。舞台版の重要なキャラクターである聖翔音楽学園学年主任、走駝紗羽の存在感。また、アニメ第5話の「嫉妬のレヴュー」における露崎まひる 対 愛城華恋の対決の構図は、舞台では露崎まひる 対 神楽ひかりの対決の構図であったことや、華恋、ひかりの二人が幼いころに感銘を受けた「スタァライト」の舞台でクレール役を演じていたのは誰か、など、色々と発見があることでしょう。そして10月に上演された「-The LIVE-#2 Transition」では、アニメの先の新たなストーリーが展開されているので、なにはなくともアニメを観ましょう(ダイレクトマーケティング)。

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 レヴュー曲(劇中歌)は事前に作曲されたものではなく、映像に合わせて/映像からのインスピレーションも加味しながら曲をつけてゆく「フィルムスコアリング」の手法がとられており、シーンと音楽のより一層の相乗効果が得られています。それは作詞においても同様で、劇中でのキャラクターの台詞や心情を時に補完し、時にブーストをかける働きを見事に果たしています。これもまた「二層展開」といえるでしょう。レヴュー曲の全作詞を手がける中村彼方氏はプロジェクトに2017年春より参加されたとのこと。作中の重要なキーであり、いくつかのレヴュー曲のベースにもなっている戯曲「スタァライト」の脚本も、サウンドトラックの各楽曲のネーミングも彼女の手によるもの。確固たる世界観の構築をより揺るぎないものにしています。



野島鉄平
「監督から言葉でいただいたアイデアをもとに僕から山田さんに楽曲を発注して、出来上がったところで僕がまた監督に確認をして、決定したところで彼方さんが作詞に入るというのが大体の流れとしてありました。」

(エンタメステーション『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』TVアニメ史上に類を見ない試み“レヴュー曲”とは何だったのか? 制作陣が明かす「歌とセリフと映像の一体化」の秘密


中村彼方
「――だから曲の流れとしてセリフが入るところには歌詞を入れませんし、口パクでキャラが歌っている感じにするところにはキメのことばをもってきます。映像に合わせた曲づくりをフィルムスコアリングというんですが、私はシーンに合わせた作詞をフィルムマッチングと自分で呼んでいます(笑)。」

《月刊ニュータイプ》2018年10月号 樋口達人×中村彼方インタビュー)


中村彼方
「――曲ができあがってから、絵コンテに合わせて動画に曲を貼って、歌のメロディをシンセでいただいて、そこから私の作詞作業が始まるんです。その時点で、舞台少女たちの台詞入りのものと、台詞なしのものをもらって、脚本と照らし合わせながら、台詞と台詞の隙間の感情を埋めながら歌詞を制作していきます。」

(アキバ総研「語り部の女神と九九組の魔王が語る!? 「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」レヴュー曲はいかにして作られるのか。中村彼方×小泉萌香インタビュー」



「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」劇中歌アルバムVol.1「ラ レヴュー ド マチネ」
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『ラ レヴュー ド マチネ』には第1~3、5・6話のレヴュー曲を、『ラ レヴュー ド ソワレ』には第8~12話のレビュー曲と、戯曲「スタァライト」劇中歌「星摘みの歌」を収録。そして第3~11話の各エンディングに使用された「Fly Me to the Star」の8つのヴォーカル編成違いヴァージョン(&インストゥルメンタル版)が2枚に分かれて収録されています。サウンドトラックと一部レヴュー曲の作編曲は、「ラブライブ!」「宝石の国」の藤澤慶昌氏と、「Free!」「ラブライブ!サンシャイン!!」の加藤達也氏の二人が担当。共にクラシカルな編曲に定評があり、卓越した手腕の持ち主であります(加藤氏の作編曲の師は三枝成彰、服部克久、小六禮次郎、羽田健太郎の四氏)。また、サントラ・劇中歌ともに、全てのストリングスパートを真部裕ストリングスが担当しています。


 第1話レヴュー曲「世界を灰にするまで」(作編曲:石井健太郎/オーケストラアレンジ:藤澤慶昌)は、二段構えの一曲。星見純那(CV:佐藤日向)と神楽ひかり(CV:三森すずこ)のデュオによる前半パートは、オーボエとクラリネットをフィーチャーした、しっとりとしたアンサンブル。転じて、愛城華恋(CV:小山百代)のソロによる後半パートは、ギター/ベース/ドラムスをフィーチャーし、激しさを露わにしたシンフォニック・ロック。前半/後半パートともに同じテーマ/メロディですが、全く異なるアプローチで展開することにより、別々の感情を表現しています。


 11名のホーンセクションによる低音の響きがストリングスと重厚に絡む第2話レヴュー曲「The Star Knows」(作曲:中村康隆/編曲:小高光太郎・藤井亮太・谷ナオキ)は、舞台「-The LIVE- #1 revival」のレヴュー曲「私たちの居る理由」のリ・アレンジという興味深いポイントがあります。方や純那&華恋のデュオ曲、方やスタァライト九九組メンバー全員の歌唱曲。シーンや詞、そしてアレンジは全く異なれど、これまた「複数の解釈」の一例といえるものでしょう。作曲は、管弦楽隊やDJを擁する大編成のロック・オーケストラ 「夜長オーケストラ」のリーダーであり、舞台版のミュージカルパートの劇伴も手がける中村康隆氏。ここに小高光太郎、藤井亮太、谷ナオキの三氏による手厚い編曲が加わり、めまぐるしく怒濤にして、きわめて華麗なシンフォニック・チューンに生まれ変わりました。


 間違いなく序盤のハイライトといえる第3話。華恋と天堂真矢(CV:富田麻帆)によるレヴュー曲「誇りと驕り」(作編曲:藤澤慶昌)は、はかり知れない昂ぶりをおぼえました。舞台経験に豊む富田氏の抜群にして朗々たる歌唱力が、高みを目指す天堂真矢の強さ、そして圧倒的存在感を示したシーンとダイナミックにシンクロしており、ヴィヴァルディ 四季「冬」を思わせるフレーズから迎える「より高く より輝く」クライマックスパートは圧巻の一言。This is 天堂真矢、彼女は天堂真矢、これぞ天堂真矢……。レコーディングメンバーのクレジットは20名を超え、編成も最大級です。ちなみに、第3話レヴューシーンの少し前に流れた劇伴は、四季「夏」を思わせる「ブリッジの上で」(※サントラ33曲目/作曲:藤澤慶昌)であったことにもハッとさせられました。






 露崎まひる(CV:岩田陽葵)と華恋のデュオによる第5話レビュー曲「恋の魔球」(作曲:小高光太郎・UiNA/編曲:藤井亮太・小高光太郎・谷ナオキ)は、アルト/テナー/バス・サックスを贅沢にフィーチャーした華やかなスウィングジャズチューン。〈敬遠〉〈空振り〉〈ストレート〉などのワードを散りばめ、恋のゲームが野球のゲームと同化する。そして〈まわるまわるステージ〉とは舞台でありグラウンドであり、スウィングするのはジャズでありバットであります。イントロは2分半に及び、本作のレヴュー曲の中でも最長。一応、2分ごろに「ちょっと待って」という まひるの一言が入るのですが、これは楽曲単体で聴くリスナーに向けた配慮、あるいは遊び心なのかなと、ちょっとメタなことを考えてしまいました。


 石動双葉(CV:生田輝)、花柳香子(CV:伊藤彩沙)のデュオによる第6話レビュー曲「花咲か唄」(作曲:大川茂伸/編曲:伊藤賢)はシンフォニック演歌EDMロックとでもいうような、和風でミクスチャーな印象のアップテンポチューン。ギターは山本陽介氏、尺八は和楽器バンドの神永大輔氏によるもので、両人とも、こってりとした響きを聴かせてくれます。腐れ縁な二人が それぞれの切なる心情を歌い上げた曲であり、終盤の詞「背を早み 岩にせかるる川 割れても末に逢はむ」は、崇徳院の和歌「瀬を早み 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ」(百人一首77番)の本歌取り。なお余談ですが、大川氏と伊藤氏の両人が名を連ねた楽曲は、堀江由衣「Stay with Me」(2015)以来です(伊藤氏が作曲、大川氏が編曲)。






「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」劇中歌アルバムVol.2「ラ レヴュー ド ソワレ」
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 第7話で判明する、大場なな(CV:小泉萌香)が秘めていた永遠にも近い想い、そしてストーリーの×××展開には、第1話から既に仕掛けられていたのか! と脱帽したのですが、ななとひかりのデュオによる第8話レヴュー曲「RE:CREATE」(作編曲:三好啓太/オーケストラアレンジ:藤澤慶昌)もまた、端的に言って「強すぎる」。目眩く変拍子が、華麗なる上昇を続ける楽曲展開が、ひかりの劇的なる「再生産」を描くシンフォニック・ロック。楽曲の8分の7拍子が大場ななにも引っかかっているのではないか、とレコーディング時にハッと気づいた制作サイドといい、色々と神がかったものがあります。


 そして、ななと華恋のデュオによる第9話レヴュー曲「星々の絆」(作編曲:藤澤慶昌)。ななの多重コーラスが織りなす強迫的でサスペンスフルな展開から、華恋のヴォーカルが徐々に変化と浄化をもたらしていく展開を3分ちょっとで収めた構成も中々とんでもないのですが、制作時に古川監督が音楽プロデューサーに「サスペリア」の名を挙げてきたという話を聞いて腑に落ちました。あのウィスパーボイスのコーラスは、GOBLINのサスペリア メインテーマのオマージュでもあったのだなと。また、「RE:CREATE」「星々の絆」ともに、THE ALFEEのサポートメンバーなどで知られるパワー&テクニカルドラマーの吉田太郎氏がプレイされているところもトピックと言えましょう。


山田公平
「この曲、すごいです!作り的にもポップスっぽく聴こえるんですけど、実は変拍子の嵐で、これで普通にポップスっぽく聴かせるのはすごいなと思って。」

野島鉄平
「テクニックがすごいですね。8分の7拍子で始まって……そう、これは偶然なんですけど「8分の7」が「8話のなな」にもかかっているんです。レコーディングしているときに、そんな話になって。」

(リスアニ!WEB「TVアニメ『少女☆歌劇レヴュースタァライト』音楽スタッフ座談会 後編」






 第10話レヴュー曲「-Star Divine- フィナーレ」、第11話劇中曲「舞台少女心得 幕間」は、2017年9月にリリースされたスタァライト九九組の1stシングル「プロローグ -Star Divine-」に収録された「Star Divine」(作編曲:本多友紀[Arte Refact])、「舞台少女心得」(作曲:本多友紀(Arte Refact)/編曲:酒井拓也(Arte Refact))のリ・アレンジ。「-Star Divine- フィナーレ」は華恋、ひかり、真矢、西條クロディーヌ(CV:相羽あいな)の四者によるめくるめく歌唱で、2番はオリジナル版とは別の詞が新たに書き下ろされ、クロディーヌのソロパートにもなっています。そして、しっとりとバラードで想いが紡がれる「舞台少女心得 幕間」の編曲は加藤達也氏が手がけられています。


どこへ通じるかは 舞台のみぞ知ること
約束結んだ糸が 今に千切れそう
乙女の煌きが この歴史を動かす
たぎった情熱 ほとばしるまま進め

苦い風が吹いたのは 心揺らいだせいね
私たち 試されてるの

「Star Divine」2番


それぞれの心に それぞれ秘めた想い
凛々しい横顔 激しく火花散らす
まばたきもできない この瞳をそらせない
ぶつかり合っても 貴女のこと信じてる

舞台の真ん中には たった一人の場所
だけどもう 孤独じゃないよ

「-Star Divine- フィナーレ」2番


 華恋と ひかりによる第12話レヴュー曲「スタァライト」(作編曲:藤澤慶昌・加藤達也)は、フィナーレを飾るにふさわしい8分を超える大曲であるとともに、サウンドトラックのアレンジで構成されたレヴュー曲でもあるというのが大きな特徴。「ブリッジの上で」「歯車」(※サントラ33曲目・11曲目/作曲:藤澤慶昌)、「Elle est belle: 美しい人」(※サントラ21曲目/作曲:加藤達也)、「星摘みの塔」(※サントラ31曲目/作曲:藤澤慶昌)が“再生産”され、メドレーとして再構築されています。レコーディングメンバーは「誇りと驕り」と同様、20名を超える大編成。真部裕ストリングスの真骨頂、ここにありといったところでしょう。


 アルバムの最後を飾るのは、真矢、クロディーヌが歌う第9話劇中曲「星摘みの歌」(作編曲:加藤達也)。本作のさまざまなシーンに響き合った楽曲であるということに、改めてしみじみとした感慨をおぼえます。なお、サウンドトラックの1曲目は、「星摘みの歌」のインストゥルメンタル版「星摘みのメロディ」が配されています。少女☆歌劇 レヴュースタァライト『ラ レヴュー ド マチネ』『ラ レヴュー ド ソワレ』『オリジナル・サウンドトラック』、そのすべてを聴いたなら、あなたは永遠の願いを手に入れることでしょう。





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少女☆歌劇 レヴュースタァライト『ラ レヴュー ド マチネ』
[PCCG-01706|PONY CANYON|2018.08.22]

中村彼方、山田公平(Sound direction)


●01. 世界を灰にするまで
(作詞:中村彼方/作編曲:石井健太郎/オーケストラアレンジ:藤澤慶昌)
星見純那(CV:佐藤日向)
神楽ひかり(CV:三森すずこ)
愛城華恋(CV:小山百代)

田中竜夫(guitar)
二家本亮介(bass)
髭白健(drums)
最上峰行(oboe)
中秀仁(clarinet)
真部裕ストリングス(strings)


●02. The Star Knows
(作詞:中村彼方/作曲:中村康隆/編曲:小高光太郎・藤井亮太・谷ナオキ)
星見純那(CV:佐藤日向)
愛城華恋(CV:小山百代)

中野勇介、工藤正和、菅家隆介(trumpet)
鹿討奏、鳥塚心輔、山口隼士(trombone)
渡辺功(tuba)
藤田乙比古、和田博史、田島花林、野見山和子(horn)
真部裕ストリングス(strings)


●03. 誇りと驕り
(作詞:中村彼方/作編曲:藤澤慶昌)
愛城華恋(CV:小山百代)
天堂真矢(CV:富田麻帆)

岩村乃菜(chorus)
藤澤慶昌(guitar)
二家本亮介(bass)
髭白健(drums)
高桑英世(flute)
最上峰行(oboe)
中秀仁(clarinet)
笹崎雅通(bassoon)
中野勇介、工藤正和、菅家隆介(trumpet)
鹿討奏、鳥塚心輔、山口隼士(trombone)
渡辺功(tuba)
藤田乙比古、和田博史、田島花林、野見山和子(horn)
真部裕ストリングス(strings)


●04. 恋の魔球
(作詞:中村彼方/作曲:小高光太郎・UiNA/編曲:藤井亮太・小高光太郎・谷ナオキ)
露崎まひる(CV:岩田陽葵)
愛城華恋(CV:小山百代)

藤井健太郎(guitar)
吉田治、萱生昌樹(alto sax)
竹野昌邦、庵原良司(tenor sax)
鈴木圭(bass sax)
中野勇介、工藤正和、菅家隆介(trumpet)
鹿討奏、鳥塚心輔、山口隼士(trombone)
真部裕ストリングス(strings)


●05. 花咲か唄
(作詞:中村彼方/作曲:大川茂伸/編曲:伊藤賢)
石動双葉(CV:生田輝)
花柳香子(CV:伊藤彩沙)

山本陽介(guitar)
神永大輔(尺八 from 和楽器バンド)
真部裕ストリングス(strings)


●06. Fly Me to the Star #3(神楽ひかり)
●07. Fly Me to the Star #4(愛城華恋、神楽ひかり)
●08. Fly Me to the Star #5(露崎まひる)
●09. Fly Me to the Star #6(石動双葉、花柳香子)
●10. Fly Me to the Star #7(Instrumental)
(作編曲:尋木ヒロ/編曲:小高光太郎)

藤井健太郎(guitar)
真部裕ストリングス(strings)


※『ラ レヴュー ド マチネ』ブックレットでは「Guitar:―― Kentaro Fujii[M5]、Yohske Yamamoto[M6]」となっていますが、M5「花咲か唄」のギターが山本陽介氏で、M4「恋の魔球」とM6~10「Fly Me to the Star」のギターが藤井健太郎氏です。






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少女☆歌劇 レヴュースタァライト『ラ レヴュー ド ソワレ』
[PCCG-01707|PONY CANYON|2018.10.17]

中村彼方、山田公平(Sound direction)


●01. RE:CREATE
(作詞:中村彼方/作編曲:三好啓太/オーケストラアレンジ:藤澤慶昌)
神楽ひかり(CV:三森すずこ)
大場なな(CV:小泉萌香)

板垣祐介(guitar, bass)
吉田太郎(drums)
吉田治、萱生昌樹(alto sax)
竹野昌邦、庵原良司(tenor sax)
鈴木圭(bass sax)
中野勇介(trumpet)
半田信英、辻姫子、藤井良太(trombone)
真部裕ストリングス(strings)


●02. 星々の絆
(作詞:中村彼方/:作編曲:藤澤慶昌)
大場なな(CV:小泉萌香)
愛城華恋(CV:小山百代)

小泉萌香(chorus)
藤澤慶昌(guitar, bass)
吉田太郎(drums)
吉田治、萱生昌樹(alto sax)
竹野昌邦、庵原良司(tenor sax)
鈴木圭(bass sax)
中野勇介(trumpet)
半田信英、辻姫子、藤井良太(trombone)
真部裕ストリングス(strings)


●03. -Star Divine- フィナーレ
(作詞:中村彼方/作編曲:本多友紀[Arte Refact])
愛城華恋(CV:小山百代)
神楽ひかり(CV:三森すずこ)
天堂真矢(CV:富田麻帆)
西條クロディーヌ(CV:相羽あいな)

藤井健太郎(guitar)
小林修己(bass)
中村賢(piano)
真部裕ストリングス(strings)


●04. 舞台少女心得 幕間
(作詞:中村彼方/作曲:本多友紀[Arte Refact]/編曲:加藤達也)
愛城華恋(CV:小山百代)
星見純那(CV:佐藤日向)
露崎まひる(CV:岩田陽葵)
石動双葉(CV:生田輝)
花柳香子(CV:伊藤彩沙)
大場なな(CV:小泉萌香)
西條クロディーヌ(CV:相羽あいな)
天堂真矢(CV:富田麻帆)

加藤達也(piano)
真部裕ストリングス(strings)


●05. スタァライト
(作詞:中村彼方/作編曲:藤澤慶昌・加藤達也)
愛城華恋(CV:小山百代)
神楽ひかり(CV:三森すずこ)

遠山哲朗(guitar)
二家本亮介(bass)
髭白健(drums)
若松純子(flute)
最上峰行(oboe)
中秀仁(clarinet)
井上俊次(basoon)
エリック宮城、菅家隆介、小澤篤士(trumpet)
半田信英、辻姫子、藤井良太(trombone)
次田心平(tuba)
藤田乙比古、田島花林、勝俣泰、熊井優(horn)
真部裕ストリングス(strings)


●06. Fly Me to the Star #8(愛城華恋)
●07. Fly Me to the Star #9(星見純那、大場なな)
●08. Fly Me to the Star #10(天堂真矢、西條クロディーヌ)
●09. Fly Me to the Star #11(except 愛城華恋、神楽ひかり)
(作編曲:尋木ヒロ/編曲:小高光太郎)

藤井健太郎(guitar)
真部裕ストリングス(strings)


●10. 星摘みの歌
(作詞:中村彼方/作編曲:加藤達也)
天堂真矢(CV:富田麻帆)
西條クロディーヌ(CV:相羽あいな)

真部裕ストリングス(strings)

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『少女☆歌劇 レヴュースタァライト オリジナルサウンドトラック』
[PCCG-01716|PONY CANYON|2018.10.17]

藤澤慶昌&加藤達也(作曲)
葛西竜之介、鈴木恵、関根佑樹、谷ナオキ、宝野聡史、増谷浩揮、坂東邑真、小川ハル、影山雪奈(Scoring assistant)

山田公平(Sound direction)
中村彼方(Track title naming)

01. 星摘みのメロディ (加藤達也)
02. 星のおどり場 (藤澤慶昌)
03. ふたりのセレナーデ (加藤達也)
04. halation (藤澤慶昌)
05. pied a pied:一歩ずつ (加藤達也)
06. 小鳥のアラベスク (加藤達也)
07. 少女たちのプレリュード (藤澤慶昌)
08. プロムナード (藤澤慶昌)
09. starhood (加藤達也)
10. dot to dot (藤澤慶昌)
11. 歯車 (藤澤慶昌)
12. daydream (藤澤慶昌)
13. anti daydream (藤澤慶昌)
14. starlight curtain (藤澤慶昌)
15. 華恋とひかり (藤澤慶昌)
16. 深遠 (藤澤慶昌)
17. キリンのためのワルツ (藤澤慶昌)
18. キリンのためのアダージョ (藤澤慶昌)
19. 暗転 (加藤達也)
20. カタストロフ (藤澤慶昌)
21. Elle est belle:美しい人 (加藤達也)
22. rendez-vous:遥かなる約束 (加藤達也)
23. クイックステップダンス (加藤達也)
24. 夢を振りまいて (藤澤慶昌)
25. 子猫のカーニバル (加藤達也)
26. ランチボックス (加藤達也)
27. ハッピーインターリュード (加藤達也)
28. バナナの叩き売り(加藤達也)
29. ギニョール (藤澤慶昌)
30. ロンド・ロンド・ロンド (加藤達也)
31. 星摘みの塔 (藤澤慶昌)
32. 星罪 (藤澤慶昌)
33. ブリッジの上で (藤澤慶昌)
34. dawn of the star (加藤達也)
35. ki-ringtone (藤澤慶昌)
36. 再生産 (加藤達也)


佐々木貴之(guitar)
藤澤慶昌(guitar)
二家本亮介(bass)
髭白健(drums)
真部裕ストリングス(strings)
高桑英世(flute)
最上峰行(oboe)
中秀仁(clarinet)
笹崎雅通(bassoon)
吉田治、萱生昌樹(alto sax)
竹野昌邦、庵原良司(tenor sax)
鈴木圭(bass sax)
中野勇介、工藤正和、菅家隆介(trumpet)
鹿討奏、鳥塚心輔、山口隼士(trombone)
渡辺功(tuba)
藤田乙比古、和田博史、田島花林、野見山和子(horn)

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語り部の女神と九九組の魔王が語る!? 「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」レヴュー曲はいかにして作られるのか。中村彼方×小泉萌香インタビュー
(from アキバ総研|2018.09.25)


▼TVアニメ『少女☆歌劇レヴュースタァライト』音楽スタッフ座談会 前編後編
(リスアニ!WEB|2018.09.26/10.12)


『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』TVアニメ史上に類を見ない試み“レヴュー曲”とは何だったのか? 制作陣が明かす「歌とセリフと映像の一体化」の秘密
(エンタメステーション|2018.10.17)


アニメ全話を終えて…古川知宏監督が振り返る『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』 時間のループ、東京タワー、そして“アタシ再生産”が意味したもの
(from エンタメステーション|2018.11.06)


第23回・まぼろしの舞台少女『少女☆歌劇 レヴュースタァライト -The LIVE- #2 Transition』|2・5次元通信(上田 麻由子)
(webちくま)

2018年10月31日水曜日

リリース情報・備忘録 2018年10月



































































































2018年10月28日日曜日

BOLT THROWERとウォーハンマー40,000 ――その蜜月と終焉

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 1986年に結成され、ドラマーのマーティン・カーンズの死により2016年に解散を発表した、ブリティッシュ・デスメタルの重戦車バンド BOLT THROWER。彼らが1989年に発表した傑作2ndアルバム『Realm of Chaos』のジャケットアートは、ウォーハンマー40,000の旧パッケージヴィジュアルと同じものを使用しており、2004年以降の再発盤では版権絡みの事情で変更されています。その経緯についてはEarache Recordsの公式サブブログ「ASK EARACHE」の2009年の記事で語られており、面白い話、といってはやや語弊があるのですが、ちょっとしたドラマともいえる内容になっています。





「Bolt Thrower- why new Realm of Chaos art?」
http://askearache.blogspot.jp/2009/09/bolt-thrower-why-new-realm-of-chaos-art.html





 当時のゲームズワークショップ(GW社)の事務所は、イヤーエイクの事務所から歩いてすぐのところにあったそうです。どちらも当時急成長中だったとはいえ会社の規模はそこまで大きくなかったので、両社のコラボレーションの話はトントン拍子に進み、ボルト・スロワーのアルバムにウォーハンマー40,000のヴィジュアルを使用する契約を締結。また、アルバムタイトルの『Realm of Chaos ‐Slaves to Darkness』は、GW社が1988年に出版したウォーハンマーのルールブックと同一でもあります。ちなみにGW社は90年代初頭に自社ヘヴィメタルレーベル「Warhammer Records」を立ち上げており、1991年から1993年という短期間でしたが、D-ROK、WRAITH、RICH RAGS、SAXON(!)のカタログをリリースしていました。いずれもアルバムジャケットにはやはりウォーハンマー40,000のヴィジュアルがあしらわれています。




 その後、GW社はイヤーエイク以上に世界的な企業として成長。会社の路線も変わり、かつてのローカルカンパニーの面影はすっかり過去のものになります。両社の関係の決定的な転機となったのは2002年ごろ、ボルト・スロワーのカタログの再発を考えていたイヤーエイクが契約の更新の話をGW社に持ち掛けたところ、逆に著作権侵害の申し立てを喰らうというヤブヘビになってしまい、アルバムの再発をやめるか、ジャケットイラストを変更する以外になくなってしまいました。ここで幸いだったのは、かつてウォーハンマー40,000の旧パッケージ=『Realm of Chaos』のジャケットヴィジュアルを描いたジョン・シビックに再びヴィジュアルを描いてもらったことでしょう。ジョンはウォーゲームのアーティストを離れ、学術分野のイラストレーターとして活動しており、イヤーエイクは彼を探し出して新しく(ウォーハンマーに絡むヴィジュアルは一切なしのものを)描き直してもらい、晴れて、新版『Realm of Chaos』としてお目見えすることになるのです。





「INTERVIEWS Barry Thomson interview」
(boltthrower com)
http://www.boltthrower.com/interviews/bazCoS95.php


 こちらは1995年にアメリカのヘヴィメタルファンジン〈Chamber of Sorrow〉の第6号に掲載された、バリー・トムソンのインタビュー(マーティン・カーンズが若干17歳でバンドに加入して間もない頃)でも、ゲームズワークショップとのコラボとその終わりが少し語られていました。バンドが懇意にしていたブライアン・アンセルが1991年にGW社を売却したことで会社の路線が変わり、それで縁が切れてしまったとのこと。もともとカール・ウィレッツ、ギャビン・ワード、アンドリュー・ホエールの3人はウォーハンマー40,000の熱心なプレイヤーであったので、「Plague Bearer」「World Eater」などは同作をモチーフにして書いた曲なのだそうな。


2018年10月21日日曜日

リック・ウェイクマンがライヴ中にカレーを食べた日



「元イエスのキーボード奏者、リック・ウェイクマン誕生(1949~)片手にキーボード、片手にカレーのスプーン?!」
(ヤマハ株式会社「おんがく日めくり」|2001.05.18)
http://www.yamaha.co.jp/himekuri/view.php?ymd=20010518

 ウェイクマンの超絶的なテクニックと、性格のわがままさを物語るエピソードに、“カレー事件”があります。最初の脱退直前、ウェイクマンは全くやる気を失いながらツアーをこなしていました。ある晩のライブの演奏中、ステージになぜかカレーの匂いが漂ってきたのです。異変に気付いたメンバーが辺りを見回すと、そこには片手で複雑なパートを弾きながら、もう片手で悠々とカレーを食べるウェイクマンの姿が。しかもキーボードの上には空のビール瓶が1ダースも並んでいたとか……。いくらやる気がないからといって、本番中にカレーを食べる神経もすごいですが、難しいので有名なイエスの曲なのに、匂いさえしなければバレなかったテクニックもまた恐ろしいものがありますね。


 リック・ウェイクマンが『海洋地形学の物語』ツアーのライヴ中にカレーとビールを飲食したエピソードは、上記のように有名な「伝説」として語り継がれているわけですが、2008年に初版が刊行されたウェイクマンの自伝本『Grumpy Old Rockstar』に当時の詳しい経緯が記述されていました(kindle版は550円で買えます)。また、Dailymail Onlineの2008年8月16日付の記事に、“ライヴ中カレー事件”への言及を含む『Grumpy Old Rockstar』の当該部分の抜粋が掲載されています。


Grumpy Old Rock Star: and Other Wondrous Stories
Preface Digital (2009-08-28)


「Yes, we were the original Spinal Tap, says Rick Wakeman of Seventies prog-rock supergroup」
(Dailymail Online|2008.08.16)
http://www.dailymail.co.uk/tvshowbiz/article-1045969/Yes-original-Spinal-Tap-says-Rick-Wakeman-Seventies-prog-rock-supergroup.html

In those days, I used to have my roadie actually lying underneath the Hammond organ throughout the set. If anything went wrong he could try to fix it. Also, he could continually hand me my alcoholic drinks.

We'd often have a little chat and on this particular evening in Manchester, I thought he said: 'What are you doing after the show?'

'I'm going to have a curry,' I replied. 'What would you order?' It seemed a strangely specific question but I didn't have much else to do so I told him. 'Chicken vindaloo, pilau rice, half a dozen poppadums, bhindi bhaji, Bombay aloo and a stuffed paratha.'

About 30 minutes later, I started to get this distinct waft of curry. I looked down and my roadie was lying there holding up an Indian takeaway. 'What's that?' I asked.

'You said you wanted a curry.' 'No. I said I wanted a curry after the show...' However, it smelled really good so he passed up the little foil trays and I laid this lovely spread out on top of the keyboard and ate it.

The rest of the band weren't best pleased - after all, there was a certain mystique surrounding Yes.


 ウェイクマンが「“ライヴ後に”カレーを食うつもりだよ」とローディーに言ったところ、“ライヴ中に”だと勘違いされ、気がつけばステージにテイクアウトのカレーセットが用意されていた。ライヴ後って言ったのに……と戸惑ったが、せっかくのカレーを無駄にするのも惜しいし、いい香りもしていたのでキーボードの上に置いて食べた。ということになります。ちなみにウェイクマンが食べるつもりでいたのは

chicken vindaloo(チキンビンダルー)
pilau rice(ピラフ)
half a dozen poppadums(パパド半ダース)
bhindi bhaji(オクラ)
Bombay aloo and a stuffed paratha(アル・プラタ)

……とのことなので、バンドにうんざりしていてライヴ中にカレーを食べたいと思っているミュージシャンは参考にしてください。そして、こちらはクリス・ウェルチが2003年に刊行(初版は1999年)したYESの評伝本『Close to the Edge: The Story of YES』『ザ・ストーリー・オブ・イエス』として邦訳版が2004年11月にストレンジ・デイズから刊行、小林薫/吉田結希子訳)での記述です。



ザ・ストーリー・オブ・イエス―解散と前進の歴史
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 リックのキーボードのための技術者、ジョン・クリアリーが助けにきた。故障に備えて、演奏中を通してステージに積まれた機材の下にいるのが彼の仕事だった。リックはこの忠実な協力者を見下ろしていった。「ジョン、これが終わったらカレーを食いに行こうぜ」だが、『海洋地形学~』の騒音が浴びせられるなかで、ジョンは"カレー"という一言だけしか聞き取れなかった。
 リックは続ける。「気がつけばジョンが俺にチキン・カレーとパパダムをいくつか、それにオニオン・バジを手渡してきたんだ。ホントに正直なとこ、カレーを買いに行かせるなんて考えたこともないよ。コンサートの後に行こうって言ったんだ。そしたら彼は消え失せてニ十分後に戻ってきた。実にすてきな匂いがするじゃないか。ジョンはキーボード群の下から全部、俺に手渡してくれた。それでオルガンの上に置いて……食べたってわけさ。ジョン・アンダーソンがやって来て……ヤツもパパダムを食べたんだぜ。けど、スティーヴ・ハウはまったく面白くもなんともなかったと思うよ。無害な余興ってとこさ、ホントに」

(『ザ・ストーリー・オブ・イエス』P228-229)


 また、以下はマーティン・ポポフが2016年に刊行したYESの評伝本『Time and a Word: The Yes Story』『イエス全史』として邦訳版が2017年8月にDU BOOKSから刊行、川村まゆみ訳)の1973年11月28日・29日の記述の引用です。さらに、マンチェスターの音楽シーンに関係する資料をアーカイヴしているサイト「Manchester Digital Music Archive」の情報も併せると、ウェイクマンがライヴ中にカレーを食べたのは1973年11月28日ではないかと考えられます。



Time And A Word: The Yes Story (English Edition)
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イエス全史 天上のプログレッシヴ・ロックバンド、その構造と時空
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1973年
▼11月28、29日
 イエス、英マンチェスターのフリー・トレード・ホール公演。あるショウでは、ビールを数杯引っかけていたリック・ウェイクマンが、トラブルに備えてキーボードの下に待機していたテックのジョン・クリアリーに向かい、ショウが終わったらカレーを食べに行こうと怒鳴った。ジョンはその言葉を聞き間違え、20分後にサイド・ディッシュつきのチキン・カレーを持って現れる。リックはキーボードの上に皿を置き、料理を平らげた。この有名なエピソードから、当時のイエスに関してふたつのことがわかる。第一に、バンドの他のメンバーはベジタリアンだが、リックは肉食である。第二に、リックはすでにクビを申し渡され、ツアーが終わればバンドを脱退することになっていた。そのためこの日、仕事に対してやる気のない態度を見せたのだ。
(『イエス全史』P99)


Artefact|Ticket Free Trade Hall 28th November 1973
(mdmarchive)
https://www.mdmarchive.co.uk/artefact/16904/t
https://www.mdmarchive.co.uk/artefact/4438/t

Yes were promoting the then unreleased double album, 'Tales Form Topographic Oceans' which I now love but must have been a challenging 80 minute listen back then. This was said to be the gig where Rick Wakeman is alleged to have been bored enough to dispatch a roadie to buy him a curry - which understandably irritated other members of the band,

2018年10月9日火曜日

末廣健一郎・MAYUKO『「はたらく細胞」オリジナル・サウンドトラック』(2018)




 2018年7月から9月にかけて放送されたアニメ「はたらく細胞」のサウンドトラック。手堅く、楽しいアニメ化でした。血小板の可愛さと白血球4989番のすっとぼけたキャラクター性は原作以上にフィーチャーされていたと思います。二期もお願いしたいところですが、「はたらく細胞BLACK」の方もぜひともアニメ化してほしいところ(無茶振り)。CDジャケットイラストは本編のさわりに登場する体内インフラストラクチャーの全景図ですが、よく見ると白血球と赤血球の姿が表と裏で確認できます。
https://hataraku-saibou.com/


 本作のコンポーザーは末廣健一郎MAYUKOの両氏。末廣氏はバンドマンからコンポーザーの道に入ったという経歴の持ち主で、音楽的な影響をヘンリー・マンシーニ、エンニオ・モリコーネ、アラン・シルヴェストリ、久石譲から受けたようです。また、岩代太郎と大澤徹訓の両氏から作曲技法/オーケストレーションを学んでおり、編曲の巧さに定評があります。「ダ・カーポII」「みなみけ」「true tears」などのキャラソンや主題歌の作編曲などを経て、劇伴作品ではこれまでにアニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」「少女終末旅行」「ゴールデンカムイ」、ドラマ「貴族探偵」、映画「ミックス。」などを担当。今年10月からは「ゴブリンスレイヤー」「ゴールデンカムイ(第二期)」の劇伴を担当されています。
http://one-music.jp/suehiro.html


「『逃げ恥』『リゼロ』手掛けた音楽作家・末廣健一郎が明かす『少女終末旅行』劇伴に込めた工夫」
(Realsound|2017.12.09)


 MAYUKO(ゆうまお)氏はシンガーソングライター「MAYUKO」とコンポーザー「ゆうまお」の二つの顔を持つ、“歌えるコンポーザー”。「少女終末旅行」ではゆったりと静かで、そして聖なる空気感にあふれる劇伴のヴォーカル/コーラスを担当されておりました。作詞・楽曲提供も多く、「はたらく細胞」では劇伴のほか、ゆうまお名義で主題歌「ミッション! 健・康・第・イチ」の作詞・作曲も担当されています。末廣氏とはこれまでに「闇金ウシジマくん」「逃げるは恥だが役に立つ」、近時ではアニメ「ミイラの飼い方」、ドラマ「海月姫」「チア☆ダン」の劇伴などで共作されています。
http://www.mayuko-yumao.jp/index.html


ミッション! 健・康・第・イチ
はたらく細胞
アニプレックス (2018-08-22)
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「はたらく細胞」と同時期に放送された「深夜!天才バカボン」(末廣氏と眞鍋昭大氏の共作)ではビッグバンド、ロカビリー、ブルース、ボッサ、エレポップも交えた多彩な劇伴でしたが、「はたらく細胞」では優雅なオーケストラ/軽快な小編成室内楽サウンドを主体にしつつ、ホーンセクションなども迎えてコミカルで「わちゃわちゃ」した感じが楽しめる内容になっています。ビッグバンド風の「迷子でも一生懸命」、オルガンやエレクトリック・ギターをフィーチャーした「動員要請」「仲間と共に」「みんな命がけ」、どこかビバリーヒルズ・コップのテーマ感ある「迫る危機」あたりがまず耳を引きます。


はたらく細胞 Original Soundtrack
はたらく細胞
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 ライナーノーツのコンポーザーインタビューによると、初期の段階で監督から「運動会」のイメージで説明を受けたということで、メインテーマはまさにヘルマン・ネッケの「クシコス・ポスト」(運動会の定番曲)のような楽曲になっています。また、ルロイ・アンダーソンの「タイプライター」をずばりオマージュした「今日も大忙し」は、仕事に追われる作品テーマにもドンピシャにフィット。トイピアノをさりげなくフィーチャーした「運んで、運んで」のメロディーは「抗原発見!」「仲間と共に」などにも織り込まれており、ちょっとしたフックになっております。





 血小板のテーマである「ちっちゃくてがんばりやさん」は、コーラスや「1・2・1・2・3」の号令が入る賑やかでキュートな一曲。マクロファージのテーマである「華麗に舞うフリル」「うふふ抹殺」は「白鳥の湖」などのバレエ音楽をイメージしてつくられたとのこと。白血球(好中球)のテーマはクールなキャラクターに合わせて、オーケストラではなく打ち込みで制作しているというのも興味深いポイントでした。EDMな味付けの「果たすべき使命」「まっすぐ、仕事を」などがそれにあたると思われます。

「それでも、戦う」は、悲壮感あふれるヴァイオリンソロが印象な一曲。「Re:ゼロから始める異世界生活」「少女終末旅行」のサントラ同様、篠崎正嗣氏がソロを担当されています。ワクワク感と大団円ムードの「お仕事完了という名の勝利」はアラン・シルヴェストリに、勇壮な躍動感あふれる「一進一退の戦い」はハンス・ジマーにそれぞれ通じるものを感じます。シリアスな混声コーラスがサスペンスを煽る「恐るべきもの」「この世界は、終わらせない」のスケール感の大きさはエピックミュージックに近い印象です。


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『はたらく細胞Original Soundtrack』
[Aniplex|2018.08.22|SVWC-70357~70358]
https://hataraku-saibou.com/music/


《DISC1》

01. はたらく細胞 -MainTheme-
02. 運んで、運んで
03. 迷子でも一生懸命
04. おだやか世界
05. 華麗に舞うフリル
06. ちっちゃくてがんばりやさん
07. ゆるやか、ほんわか
08. 大切なゆったり
09. 今日も大忙し
10. さて、どうしよう
11. 迷った時は
12. みんなそれぞれ
13. 侵入者
14. Yes Sir !!
15. 動員要請
16. 迫る危機
17. 何かがいる
18. 静寂に潜む危険
19. 世界への襲来
20. 抗原発見!
21. 恐るべきもの
22. 奴ら


《DISC2》

01. それでも、戦う
02. 立ち向かう勇気
03. 悲しみの在処
04. 生きる。たとえ切なくても
05. 優しさとありがとう
06. それぞれの、はたらく
07. お疲れ様でした
08. お仕事完了という名の勝利
09. 突然の恐怖
10. 一進一退の戦い
11. 世界の敵
12. 戦う、この世界のために
13. 果たすべき使命
14. まっすぐ、仕事を
15. 仲間と共に
16. うふふ抹殺
17. この世界は、終わらせない
18. みんな命がけ
19. 今日も元気にはたらいています


Music Composed & Arranged by 末廣健一郎
DISC 1:1~4、10~14、16、19~21
DISC 2:2、8~15、17~19

Music Composed & Arranged by MAYUKO
DISC 1:5~9、15、17、18、22
DISC 2:1、3~7、16


《MUSIC STAFF》

Sound Producer: 末廣健一郎・MAYUKO
Director: Lucy☆Diamonds
Recording & Mixing Engineer: 葛島洋一
Assistant Engineer: 房野哲士
Studio: Sony Music Studios Tokyo, 1 MUSiC STUDiO

Keyboards & Other Instrumental Programming:末廣健一郎
Chorus, Andes, Keyboards & Other Instrumental Programming: MAYUKO
Drums: 岡島俊治
Guitars: 吉本潮・本間大健 from LaiD Back Gorilla
Acoustic Guitar: 杉山つよし
Strings: 篠崎正嗣グループ
Flute & Piccolo: 高桑英世(管鍵”樂団!?)
Oboe: 庄司さとし(管鍵”樂団!?)
Clarinet: 山根公男(管鍵”樂団!?)
Fagotto: 大澤昌生
Horn: 日橋辰朗・矢野健太・豊田万紀・熊井優
Trumpet: 辻本健一・伊藤駿
Trombone: 古賀光・中西和泉
Bass Trombone: 石原左近
Alto Sax & Tenor Sax: 福井健太
Soprano Chorus: 佐藤亜理沙・瀧本真己・日野祐希
Alto Chorus: 佐藤涼香・寺嶋あゆみ・藤田彩歌
Tenor Chorus: 市原泰明・星野文緑・官下大器
Bass Chorus: 河野陽介・大津康平・高田慧一
Violin Solo: 篠崎正嗣

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2018年10月6日土曜日

PROG FLIGHT@HANEDA(Acoustic Asturias、Lu7、新●月Project feat 北山真、KBB)2018年10月6日(土)@羽田 ティアットスカイホール

 昨年に続き、行ってきました。Acoustic Asturias、Lu7、新●月Project feat 北山真、KBBの4バンドが一堂に会したフェス。会場は昨年同様、羽田空港の4階レストラン街と同じフロアにあるティアットスカイホール。
http://crysta.jp/progflight






《Acoustic Asturias》
https://msmtr2.wixsite.com/ac-as

WATARIDORI
Adolescencia
Corridoio Molle
深夜廻~テーマ~
〈「深夜廻」より〉
黄源の舞
Waterfall
氷雨
紅蓮菩薩
〈「装甲悪鬼村正」より〉
Distance


川越好博 (piano)
筒井香織 (clarinet, recorder)
テイセナ (violin)
西村健 (guitar)

《Lu7》 
http://www.lu7.biz/

ミドル・ロングサーキット 〈「チョロQ2」より〉
L'esprit de l'exli
Flying Seed(Landscape37)
砂の階段
【with 筒井香織】
トキヲコエテソラニカエリ
新曲2曲


梅垣ルナ(keyboards)
栗原務(guitar)
岡田治郎(bass)
嶋村一徳(drums)


 15分ほど押しての開演。1バンド目は、先月9月1日に南青山MANDARAで昼夜2回公演を行ったばかりのアコースティック・アストゥーリアス。大山曜氏が手がけられた「深夜廻」(日本一ソフトウェア)のテーマもやはり今回のセットリストにふくまれておりました。静かに、そして様々な情感たっぷりに世界観を物語る、白眉な一曲だと改めて思います。Lu7は昨年同様、2バンド目として登場。定番の「ミドル・ロングサーキット(チョロQ2)」「L'esprit de l'exil」「Flying Seed(Landscape37)」、そして大曲にして難曲「トキヲコエテソラニカエリ」も、すっかり馴染んだ印象があります。今回はゲストで筒井さんを迎えての「砂の階段」、さらに今冬リリース予定の5thアルバムに収録される新曲を2曲初披露。爽やかなドライヴ感でグイグイ行くタイプの楽曲でした。



《新●月Project feat 北山真》
http://blog.livedoor.jp/shingetsutv/

殺意への船出 PART2
白唇
銀の船
テピラの里
手段


津田治彦(guitar)
花本彰(keyboard)
荻原和音(keyboard)
直江実樹(radio)
石畠弘(bass)
小澤亜子(percussion)
谷本朋翼(drums)
北山真(guest vocal, tambourine)


 1979年に新月の1stアルバム『新月』がリリースされて、来年で40周年。2006年に新●月が復活し、2007年に北山氏が脱退されてから10年とちょっと。北山氏は2008年に「北山真 with 真○日」でデビューライヴを行い、2015年にアルバム『冷凍睡眠』を発表。新●月Projectは2013年のライヴ活動再始動後、これまでに五十嵐勝久氏、A.m.u.氏、上野洋子氏、ワタナベカズヒロ氏らをゲストヴォーカルに迎えてライヴを行ってきました。そんな新●月Projectと北山氏が再びステージで合流を果たし、「ほぼ新月」となった今宵。感慨もさることながら、息をのみました。銀のマントを羽織った北山氏が客席中央からステージ入りするとともに、大曲「殺意への船出 PART2」で開幕。静かなる叙情も顔をのぞかせる鬼気迫るパフォーマンス、一瞬で場を支配する北山氏のオーラ。手に汗を握る緊張感込みでゾクリとさせられました。続いての「白唇(しろくちびる)」にも感激の至り。北山氏と花本彰氏による新ユニット《静かの海》の楽曲「銀の船」「テピラの里」は、詩情あふれるダイナミックな歌もの、12月26日に発売が予定されているアルバムが楽しみであります。北山&花本 両氏の共作曲であり、アルバム『冷凍睡眠』のラストも飾った「手段」の後、ふたたび新●月のレパートリー「鬼」へ。白装束をまとっての往年のパフォーマンスが再び蘇るとともに、北山氏のたたずまいは間違いなく何かが憑依していました。あれは、やはり鬼だったのでしょうか。



《KBB》
http://tsuboy.internet.ne.jp/kbb/

Kernel
白虹
この世の約9個の秘密
Age of Pain
Inner Flames
《スペシャルセッション》
Watcher of the Skies
【with 栗原務&梅垣ルナ&筒井香織&北山真&花本彰】

壷井彰久(violin)
高橋利光(keyboard)
Dani(bass)
菅野詩郎(drums)


 今回のトリは肉厚・骨太・灼熱のヴァイオリン・プログレッシヴ・ロックバンド KBB。壷井氏は客席中央からステージ入り。幾度となくライヴを目にしていますが、鉄板の安定感、高密度のパフォーマンス。そして壷井氏と高橋氏のボケとツッコミ的MCのユルさには毎度ニンマリとさせられます。アルバム『Age of Pain』が出てからもう5年が経つということに気づかされたわけですが、全編にわたって9拍子で貫かれた「この世の約9個の秘密」ともども、次のアルバムが待たれます。マハヴィシュヌ・オーケストラもかくやのウルトラパワーチューン「Inner Flames」のあとは、KBB with 栗原務&梅垣ルナ&筒井香織&北山真&花本彰によるGENESIS「Watcher of the Skies」のカヴァーセッション。全バンド終了後、Watcher of the Skiesのバッキングのリズムに倣った、一本締めならぬ「ウォッチャー締め」で閉幕しました。終演は21時20分。最終的に予定終了時刻より50分押しという豪快なタイムスケジュールとなりましたが、今年も素晴らしい内容でした。次回/第3回が行われるかは現時点ではまったくの未定ですが、これ以上ない好条件の会場と、破格のチケット代をみても採算度外視のフェスだと改めて感じます。2年連続で本フェスの開催を陣頭指揮された栗原氏に深く感謝いたします。スタッフ、関係者、出演者のみなさん、お疲れさまでした。

2018年10月1日月曜日

リリース情報・備忘録 2018年9月