2016年8月5日金曜日

映画『日本で一番悪い奴ら』雑感

 上映がそろそろ終わりそうだったので、映画『日本で一番悪い奴ら』を観てきた。実話を元にした実録モノの作品に「面白い」と言ってしまうのは語弊があるかもしれないのだけれども、めちゃくちゃ面白かった。稲葉圭昭氏の告白の書『恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白』はガッチリと基盤になっていたし、適度な痛快さのあるエンターテインメントとして脚色しつつ、腹に鈍痛を見舞う悪徳&破滅のジェットコースターだった。しかもそのレールはあちこち破損した状態。タガの外れた個人の行動すらも呑み込む組織ののっぴきならなさが徐々に出てくる。ゆえに「悪い奴」ではなく「悪い奴ら」。拳銃200丁と覚醒剤20キロ(実は130キロ)の密輸手引きを画策し、県警関係者一同と税関の役人が逡巡するシーンで「シャブとチャカ、一体どっちが大事なんですか!」と吠えるくだり、強烈だった。関東のヤクザとの取引のときに「ギョウザ耳」で警察だとバレそうになって拳銃を突きつけられるという危機的状況を「アマレスやってたんだ」というエスのとっさの機転で事なきを得たというエピソードは『恥さらし』ではサラっと触れられた感じだったのだけど、スリリングに映像化していた。堕ちてゆく三十数年間をあふれる顔面力で演じた綾野剛氏の役への入り込みっぷりはもちろん凄まじいのだけど、未成年淫行で途中退場した面倒見のよい先輩警 官役のピエール瀧、「頼むよォ~」と言いながらガッツリ利用していく上司役のみのすけ、二人目のエス役のYOUNG DAISも忘れがたい。とにかくコワモテ顔面揃い。



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『恥さらし』はもちろん必読なのだけど、元北海道警察釧路方面本部長の原田宏二氏の『たたかう警官(警察内部告発者 ホイッスルブロワー)』も併せて読むとさらに補完できる。北海道県警の一連の不祥事をベースに、悪徳警官とヤクザの「はみだし者」同士という面に焦点を当てて、惹かれあう人間模様を身をギリギリ削るようなセックス&ヴァイオレンスノワールとして描き切った梶本レイカさんの『コオリオニ』もぜひ推したいですね。


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たたかう警官 (ハルキ文庫)
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