2015年8月31日月曜日

難波弘之、兼崎順一、三田超人 他『桃太郎伝説「夢・しゃりばり」』(1990)

桃太郎伝説「夢・しゃりばり」しゃかりき桃太郎と愉快な仲間たち桃太郎伝説「夢・しゃりばり」しゃかりき桃太郎と愉快な仲間たち
(1990/02/05)


商品詳細を見る


 今は亡きハドソンの名作RPGシリーズである「桃太郎伝説」は、『桃太郎伝説 PEACHBOY LEGEND』『PEACH COMMAND 新桃太郎伝説』というタイトルでアニメ版も製作されており、1989年から1991年にかけてテレビ東京系列で放送されていました。各キャラクターたちが変身してアーマーを身に纏うという、変身ヒーロー的要素がフィーチャーされ(「鎧伝サムライトルーパー」からの影響があったとか何とか)るというアニメオリジナルの設定が盛り込まれ、ゲームとは趣を異にした内容で大胆に展開されていたようです。アニメのコンセプト・プランナーが、この頃『魔神英雄伝ワタル』を手がけたばかりの広井王子氏であるのも大きいのでしょうね。



 本CDは、1990年の2月にリリースされた『桃太郎伝説 PEACHBOY LEGEND』のドラマCDです。アルバムの半分はコント・パート(スネークマンショー風のコントがあったり、ジェイソンが柱の傷をつけていたり、山瀬まみの物真似や、「あのビオランテで忙しいゴジラを!?」というセリフが飛び出すあたりにも、何とも80年代を感じます。ちなみに「ゴジラVSビオランテ」は、このドラマCDがリリースされる少し前(1989年末)に公開されたばかり。)で、残り半分にアニメ本編で使用されたBGMと、各キャラクターのイメージソングが収められております。ドラマCDでありサントラでありキャラソン集である、というわけです。

 本編の楽曲はプログレッシヴ・ロック・バンドSENSE OF WONDERの難波弘之氏と、ブラス・ロック/フュージョン・バンドSPECTRUM(HORN SPECTRUM)の兼崎順一氏のお二人による共作、何とも贅沢な組み合わせです(ちなみに、このドラマCDの前年にリリースされた、ファルコムの"ワンダラース・フロム・イース"のアレンジ・アルバムには、お二人がアレンジャーとして参加されています。また、押井守氏が監督で関わった1983~84年のOVA作品"ダロス(DALLOS)"では、難波氏が作曲/演奏で、兼崎氏がホーン・スペクトラムのメンバーとして演奏に参加されていることを記しておきます)。艶やかなブラス・サウンドを堪能できる「勇者はいずこ」や、タイトでスリリングな演奏が聴ける「桃変化、桃太郎見参!」「鬼来行」は、流石の仕上がり。

 また、本作の編曲は、アニメ『赤い光弾ジリオン』の劇伴作曲者であり、90年代にリリースされたコナミやトレジャー関連のゲームサントラに常連アレンジャーとして参加されていた入江純氏が担当されています。アニメの主要キャスト全員が参加した、前期オープニングテーマである「桃変化でいこう!」(難波氏作曲/入江氏編曲)は素晴らしい内容。ひたすら「も」を連呼する歌詞ゆえ、さくまあきら氏は5分でこの詞をこしらえたんじゃないかと言われた楽曲ですが、この上なくキャッチー。



 一方、キャラクター・イメージソングですが、こちらはなんと、ヒカシューの三田超人氏が殆どの楽曲を担当されています。80年代アイドル・ポップスな「ムーン・チャイルド」(歌.小森まなみ)や、ダジャレまみれの歌詞に呼応したゆる~いアレンジが気持ち良い「Let's四天王鬼!」(歌.中村大樹/草尾毅/竹村拓/西村智博)も良いのですが、「ONINOMIKO」(歌.竹村拓)、「夢・しゃりばり」(後期オープニングテーマ)の2曲がとにかく耳に染み付いて離れませんでした。特に前者はヒカシューのアルバムに紛れ込んでいても違和感がないくらいに、ほのかにストレンジな味わいのある歌謡ポップスに仕上がっております。竹村さんのヴォーカルがちょっと巻上公一さんっぽく感じるのがまた何とも。




---------------------------------------------------------

『桃太郎伝説「夢・しゃりばり」』
[KICA-4|1990.02.05|キングレコード/Star Child]

01. オープニングコント(日本むつかし話)
(出演:西村智博、中村大樹、草尾毅、佐々木望、小森まなみ、横山智佐)

02. S1「アニマル・ドゥ・ワップ」

(作詩:上田彩夏/作曲:馬場孝幸/編曲:入江純)
(歌:西村智博、横山智佐、羽村京子、折笠愛)

03. BGM1「勇者はいずこ」

(作編曲:難波弘之、兼崎順一)

04. コントその2(夢)

(出演:中村大樹、佐々木望、竹村拓、小森まなみ、草尾毅)

05. BGM2「桃変化、桃太郎見参!」
(作編曲:難波弘之、兼崎順一)

06. S2「桃変化でいこう!」

(作詩:さくまあきら/作曲:難波弘之/編曲:入江純)
(歌:ピーチボーイズ)

07. コントその3(こどもの日)
(出演:横山智佐、西村智博)

08. BGM3「いとしのかぐや姫」
(作編曲:難波弘之、兼崎順一)

09. S3「ムーンチャイルド」
(作詩:加納眞士/作編曲:三田超人/歌:小森まなみ)

10. BGM4「鬼来行」

(作編曲:難波弘之、兼崎順一)

11. S4「ONINOMIKO」
(作詩:広井王子/作曲:三田超人/編曲:入江純)
(歌:竹村拓/コーラス:小森まなみ、横山智佐)

12. S5「Let's 四天王鬼!」
(作詩:中山佐知子/作曲:三田超人/編曲:入江純)
(歌:中村大樹、草尾毅、竹村拓、西村智博)

13. コントその4(五大怪獣、地上最大の決戦!)
(出演:佐々木望、西村智博、竹村拓、小森まなみ、横山智佐)

14. S6「夢・しゃりばり」
(作詩:加納眞士/作曲:三田超人/編曲:入江純/歌:ピーチボーイズ)

15. おまけ!コントその5(ラスト・テンプラー)
(出演:小森まなみ、竹村拓)


歌:ピーチボーイズ
小森まなみ、佐々木望、西村智博、中村大樹、草尾毅、
竹村拓、渡辺久美子、横山智佐、羽村京子、折笠愛




---------------------------------------------------------

 1991年には『夢しゃりばりII、桃王』というタイトルで第二弾がリリースされております。こちらでは三田氏に代わり、藤原いくろう氏が作編曲で参加されております。アニメ本編のサウンドトラックは単体で出ていないので、楽曲を聴くにはこの2枚を入手するほかありません。特別プレミアがついているというわけでもなく、今でも気軽に中古で入手出来るものなので、参加者の名前にピンときた人は是非。なかなかの掘り出し物です。

桃太郎伝説(アニメ) - Wikipedia
難波弘之 - Wikipedia
スペクトラム(バンド) - Wikipedia
ヒカシュー - Wikipedia

2015年8月30日日曜日

上野洋子、吉野裕司『イメージアルバム 四龍島シリーズ「龍は微睡む」』(1998)

四龍島(スーロントウ)シリーズ~「龍はまどろむ」
ドラマCD 佐々木望 上野洋子 安井邦彦 真殿光昭 結城比呂 小野坂昌也 飛田展男 池田秀一 沼田祐介 西村知道
マリン・エンタテインメント (2000-01-26)
売り上げランキング: 313,157



 1995年から2001年にかけて集英社のコバルト文庫より刊行された真堂樹原作の中華風アクション・ロマンス小説〈四龍島(スーロントウ)〉シリーズ(本編全25巻。1997年から2007年にかけて8巻の番外編が刊行)。本CDは同シリーズの第一作目となる『龍は微睡む』を下敷きにしたイメージアルバム。ライナーノーツには書き下ろしの短編を収録。CDではドラマパートにくわえて、メインキャストの佐々木望氏、安井邦彦氏のヴォーカル曲"淋しい龍よ" "汚れなき瞳へ"を収録。前者は若々しく躍動的なイメージ、後者はしっとりとジェントリーなイメージと、対照的な仕上がりになっています。作曲は元ZABADAK、Vita Novaの上野洋子さん。ラストに収められた"真白き花の島"では、ヴォーカルもとられています。清らかなコーラスも健在。また、楽曲の一部プログラミングでVita Novaの吉野裕司氏も参加されているほか、作詞を工藤順子さんが提供されております。ジャンルを越えた活動で知られる二胡奏者 賈鵬芳(ジャー・パンファン)氏と、福原流笛方の福原寛氏、ふたりのトッププレイヤーによる演奏が作品世界を反映したオリエンタルなムードにより本格的な色合いをくわえているところも大きなポイントです。

---------------------------------------------------------

『イメージアルバム 四龍島シリーズ 龍は微睡む』
[MMCM-4001|1998.03.21|マリン・エンタテインメント]
[MMCC-4701|2000.01.26|マリン・エンタテインメント] ※再発盤

01. 「四龍春景」(インストゥルメンタル)
02. 半龍
03. 飛、花路
04. 「飛とマクシミリアン」(インストゥルメンタル)
05. 出逢い
06. 「淋しい龍よ」(作詞:工藤順子/作曲:上野洋子/歌:佐々木望)
07. 青龍の刺客
08. 波濤
09. 「汚れなき瞳へ」(作詞:工藤順子/作曲:上野洋子/歌:安井邦彦)
10. 目醒めの春
11. 「真白き花の島」 (作詞:工藤順子/作曲・歌:上野洋子)


Sound Produced by 上野洋子

〈MUSICIANS〉
賈鵬芳〔Jia Pengfang〕(二胡)
福原寛(篠笛)
吉野裕司(programming)
上野洋子(vocal, percussions)

〈STAFF〉
原作:真堂樹
イラスト:浅見侑
脚本:久保田雅史
音響監督:松浦典良
録音:丸山光義

〈CAST〉
飛:佐々木望
マクシミリアン:安井邦彦
クレイ・ハーパー:小野坂昌也
羅漢:真殿光昭
万里:池田秀一
孫:沼田祐介
小虎:結城比呂
老蕭:西村知道
翼人:飛田展男
大男:古田信幸
弟分A:石野竜三
弟分B:鈴村健一






---------------------------------------------------------

イメージアルバム四龍島シリーズ「龍は微睡む」 - MARINE ent. Online Shop
既に廃盤なので入手はできません。

 上野さんと吉野さんのお二人が楽曲を担当、ないしは編曲で参加された作品ではほかに「幻想水滸伝II」(1998)、「BRIGADOON まりんとメラン」(2000)、「.hack//黄昏の腕輪伝説」(2003)があります。

2015年8月28日金曜日

本田恭之 他『ハイスクール・オーラバスター オリジナルアルバム2 END OF SILENCE』(1994)

ハイスクール・オーラバスター 2
イメージ・アルバム 桐生千弘 本田恭之 山本寛太郎
パイオニアLDC (1994-07-27)
売り上げランキング: 553,245



 前作イメージアルバムから約一年後の1994年にリリースされた、若木未生原作〈ハイスクール・オーラバスター〉のイメージアルバム第二弾。この年はちょうど〈ハイスクール・オーラバスター〉本編の刊行がなかった年でもあります。前作ではGRASS VALLEYの本田恭之(現.本田海月)氏と、FENCE OF DEFENSEの西村麻聡氏が分け合う形で楽曲を担当しておりましたが、本作からプロデュース/作編曲ともに本田氏が全面的に主導していくこととなります。統一感はグッと増しており、ゴリっとしたベースが小気味良い軽やかなニューウェイヴ・ポップ感と、和のテイストを織り込んだ仕上がり。コンセプト面ではK.INOJO氏が、レコーディングメンバーでは、KENSOの村石雅行氏と元JUSTY-NASTYの辻剛氏が前作に引き続き参加。ベースの小宮信人氏は、谷村有美さんのツアーサポートメンバーでもあった人です。"SAVE YOUR HARDBLADE" "END OF SILENCE"の二曲でヴォーカルをとる山本寛太郎氏は、70年代後半から活動を続けるシンガーソングライター。本作の翌年に本田氏とユニット「OPCELL」を結成し、アルバムリリースへと発展していきます。また、"ANGEL COLOUR"でヴォーカルをとる桐生千弘さんは、80年代から90年代初頭にかけて活動したガールズ・プログレッシヴ・ロック・バンド VELVET PAWのドラマー兼リーダーでもあった人で、バンド解散後にはコンポーザー/アレンジャーとしていくつかのアニメ作品に楽曲を提供されておりました。前作の楽曲"ACT ON THE NIGHTFIELD"の断片的フレーズもチラリと顔をのぞかせる"END OF SILENCE"で若木氏と共同作詞者としてクレジットされている藤谷直季氏は、若木氏の別シリーズ作品〈グラスハート〉に登場するバンド「テン・ブランク」のリーダーの名前です。



---------------------------------------------------------

『ハイスクール・オーラバスター オリジナルアルバム2 “END OF SILENCE”』
[PICA-1042|1994.07.27|パイオニアLDC]

01. COUNTER BREAK
(作編曲:本田恭之)

02. 銀の血脈
(作編曲:本田恭之)

03. ANGEL COLOUR
(作詞:若木未生/作編曲:本田恭之/歌:桐生千弘)

04. 3:30の偶然
(作編曲:本田恭之)

05. JUST ANOTHER DAY
(作詞:K.INOJO/作編曲・歌:本田恭之)

06. 反射率
(作編曲:本田恭之)

07. SAVE YOUR HARDBLADE
(作詞:K.INOJO/作編曲:本田恭之/歌:山本寛太郎)

08. HEAVENLY
(作詞:若木未生/作編曲・歌:本田恭之)

09. END OF SILENCE
(作詞:藤谷直季・若木未生/作編曲:本田恭之/歌:山本寛太郎)



原作:若木未生(集英社「コバルト文庫」刊)
企画プロデューサー:高塚俊紀
音楽プロデュース:本田恭之
ディレクター:浅井政明/鈴木誠

本田恭之(synthesizer, vocal)
辻剛(guitar)
小宮信人(bass)
村石雅行(drums)
山本寛太郎(vocal)
桐生千弘(vocal)



---------------------------------------------------------

2015年8月26日水曜日

本田恭之、西村麻聡 他『ハイスクール・オーラバスター オリジナルアルバム』(1993)

ハイスクール・オーラバスター
イメージ・アルバム
パイオニアLDC (1993-07-24)
売り上げランキング: 442,206



 若木未生原作「ハイスクール・オーラバスター」は、1989年から2004年にかけて集英社のコバルト文庫で刊行され、しばらくの休止を経て2011年に徳間書店のトクマノベルズで〈リファインド〉と銘打ち活動を再開。朝日ノベルズからの新装版と併せて現在も継続中の長期シリーズ。本CDは、シリーズ通巻第9巻目『天冥の剣 3』刊行の翌月にリリースされた最初のイメージアルバム。メインコンポーザーは、80年代後半から90年代前半にかけて活動したGRASS VALLEYのフロントマンである本田恭之(現.本田海月)氏と、FENCE OF DEFENSEの西村麻聡氏。本田氏は艶のある楽曲で、西村氏はハードなタッチの楽曲でアルバムのカラーを印象付けております。"ACT ON THE NIGHTFIELD"はプログレ調のトリッキーなインストゥルメンタル。ドラムスは、当時プログレッシヴ・ロック・バンド KENSOにも在籍されていた村石雅行氏。ギターは、元JUSTY-NASTYの辻剛氏。氏は、軽快なロックチューン"SWORD OF LIGHT"でもプレイされております。"SILENT EYES ―遠い約束―"は、ゆったりとした裏打ちのリズムが心地良いレゲエ調のポップスナンバー。





 アルバム三曲目の"STRAWBERRY RAIN"は西村氏の作編曲で、野村義男氏がギターとヴォーカルをとった強力な一曲。FENCE OF DEFENCE『digitaglam FOD VI』(1991)のころを思わせるデジタル・グラム・ロック調で、終盤のサックスソロは山本拓夫氏。"VISIONS FOR DIVINITY ―異空幻徨―"は、西村氏のコンポーザーとしての側面を強調したシリアスなインストゥルメンタル。"STRAWBERRY RAIN" "ENDLESS WONDER"の作詞者であり、後者ではヴォーカルもとるK.INOJO氏は、FENCE OF DEFENSEの楽曲の作詞も数多く手がけられており、本田氏とともに現在に至るまでハイスクール・オーラバスターの一連のアルバムのブレーンとして、コンセプト面で多大な貢献をされております。ストロベリー・ポキノビッチ、イヤン・ハンマー、ギタムゥラ・ベスコラドシといったふざけた名前の面々の正体は不明。覆面ミュージシャンなのかもわかりません。いったい何者なんだ……。


---------------------------------------------------------

『ハイスクール・オーラバスター オリジナルアルバム』
[PICA-1020|1993.07.24|パイオニアLDC]

01. Prologue ―回帰―
(作編曲:本田恭之)

02. ACT ON THE NIGHTFIELD
(作編曲:本田恭之)

03. STRAWBERRY RAIN
(作詞:K.INOJO/作編曲:西村麻聡/歌:野村義男)

04. VISIONS FOR DIVINITY ―異空幻徨―
(作編曲:西村麻聡)

05. SWORD OF LIGHT
(作詞:若木未生/作編曲・歌:本田恭之)

06. FAITH
(作編曲:西村麻聡)

07. ENDLESS WONDER
(作詞・歌:K.INOJO/作編曲:西村麻聡)

08. SILENT EYES ―遠い約束―
(作詞:若木未生/作編曲・歌:本田恭之)



原作:若木未生(集英社「コバルト文庫」刊)
プロデューサー:高塚俊紀
エグゼクティヴ・プロデューサー:小川卓
ディレクター:鈴木誠/宮島孝次/川瀬朗

〈Musicians〉
千代正行(gut guitar / M6)
辻剛(guitar / M2,5)
野村義男(guitar / M3)
ストロング小和田(guitar / M4)
村石雅行(drums / M2)
山本拓夫(saxophone / M3)
ストロベリー・ポキノビッチ(synthesizer / M3,4,6,7)
設楽篤志(synthesizer operator / M3,4,6,7)
イヤン・ハンマー(bass / M6)
ギタムゥラ・ベスコラドシ(chorus / M7)
YURIA[SUPER WING](narration / M4)






---------------------------------------------------------

2015年8月23日日曜日

大貫妙子、かしぶち哲郎、羽毛田丈史 他『三島たけしオリジナルアルバム ツレちゃんのゆううつ』(1992)

ツレちゃんのゆううつ
ツレちゃんのゆううつ
posted with amazlet at 15.08.23
イメージ・アルバム 新居昭乃 羽田恵利香
ポニーキャニオン (1992-09-18)
売り上げランキング: 353,513



 1990年から1994年にかけて、集英社の〈週刊ヤングジャンプ〉で連載された、三島たけし原作のコミックス「ツレちゃんのゆううつ」(全13巻)。本CDは単行本第8巻の刊行とほぼ同時期にリリースされたイメージアルバムです。これが実は大貫妙子関連作品であり、ムーンライダーズ関連作品であり、新居昭乃さん関連作品でもあるという興味深いポップス/イージーリスニング・アルバムなのです。作中で大貫妙子さんの楽曲の詞が引用されているということもあり、大貫さんご本人が楽曲を提供されております。テーマソング"夢からさめないで ―ツレちゃんのゆううつ―"は、少しばかり"メトロポリタン美術館"を彷彿とさせる印象(とはいえこっちはかなり明快ですが)。"色彩都市" "横顔"はそれぞれ大貫さんのアルバム『クリシェ』(1982)と、『ミニヨン』(1978)収録曲のインストゥルメンタル・アレンジです。本作のほとんどの楽曲の編曲を手がけるvivre ensembleは、ムーンライダーズのかしぶち哲郎氏と、当時 フュージョン・バンド EUPHORIAでの活動を終えたばかりの羽毛田丈史氏の連名によるユニットであることもポイント。また、同じくムーンライダーズの武川雅寛氏が演奏に参加されております。


 ヴォーカルで参加されているのは、新居昭乃さんと、1989年から1994年にかけて活動したアイドルグループ「CoCo」のメンバーであった羽田恵理香さんのお二人。ちなみに、本作にも参加されている作詞家の及川眠子さんと編曲者の有賀啓雄氏は、CoCoの楽曲を数多く手がけられております。羽田さんの歌う"With Me"は、アメリカのガールズ・ポップ・グループ「The Rag Dolls」の1964年のヒット曲"Dusty"の日本語カヴァー。原曲は「ウォール・オブ・サウンド」風の厚みのあるアレンジですが、こちらはだいぶライトに抑えたアレンジです。また、新居さんが作曲やヴォーカルで参加された四曲は、彼女のオリジナルアルバムやベストアルバムには(現在のところ)収録されておらず、いずれも本作でしか聴けません。ラストの"ツレちゃんのゆううつ"は原作者の三島氏本人が作詞を手がけられた可愛らしい一曲。


---------------------------------------------------------

『三島たけしオリジナルアルバム ツレちゃんのゆううつ』
[PCCG-00188 |1992.09.18|ポニーキャニオン]

01. 夢からさめないで ―ツレちゃんのゆううつ―
(作詞・作曲:大貫妙子/編曲:有賀啓雄/歌:羽田恵理香)

02. きょうは 晴れ のち 曇り ときどき 雨 ~Morning Song~
(作曲:新居昭乃/編曲:vivre ensemble)

03. With Me
(Bob Crewe, Sandy Linzar, Denny Randell/日本語詞:及川眠子/編曲:有賀啓雄/歌:羽田恵理香)

04. Nocturne
(作詞:森由里子/作曲:羽毛田丈史/編曲:vivre ensemble/歌:新居昭乃)

05.“ぴかぴか”Dancing ~おそうじSong~
(作曲:かしぶち哲郎/編曲:vivre ensemble)

06. 星のHeartache
(作詞:及川眠子/作曲:かしぶち哲郎/編曲:vivre ensemble/歌:羽田恵理香)

07. 月に祈りを
(作詞:及川眠子/作曲:かしぶち哲郎/編曲:vivre ensemble/歌:新居昭乃)

08. 色彩都市
(作曲:大貫妙子/編曲:vivre ensemble)

09. 横顔
(作曲:大貫妙子/編曲:vivre ensemble)

10. ツレちゃんのゆううつ
(作詞:三島たけし/作曲:新居昭乃/編曲:vivre ensemble/歌:新居昭乃)



原作:三島たけし
ディレクター:Masaki Usui、Tomoko Shibuya、Tomonori Terakawa

編曲 : vivre ensemble (かしぶち哲郎/羽毛田丈史)

かしぶち哲郎 (keyboards, synthesizers, drums)
羽毛田丈史 (keyboards, synthesizers, piano)
武川雅寛 (violin)
千代正行 (guitar)
浜田均 (vibraphone)
渡辺等 (woodbass, cello)
鶴来正基 (accordion)

かしぶち哲郎、武川雅寛 by the Courtesy of Toshiba EMI from MOONRIDERS
羽毛田丈史 by the Courtesy of MELDAC from EUPHORIA



---------------------------------------------------------

2015年8月21日金曜日

福岡ユタカ『怪童丸 イメージアルバム』(2001)

怪童丸 イメージアルバム
ビデオ・サントラ
SME・ビジュアルワークス (2001-12-19)
売り上げランキング: 832,100



 2001年に発表されたOVA「怪童丸」(監督:若林漢二/キャラクターデザイン:田島昭宇/制作:IG PLUS、Production I.G)は、平安時代の京都を舞台にした伝奇アニメーション作品。本CDは、同作のDVD/VHS版と同時にリリースされたイメージアルバムです。コンポーザーは、80年代に近田春夫&ビブラトーンズやPINKなどで活躍、90年代からはヴォーカル・パフォーマンスによるソロ活動や、プロデュース、TV/映画などの楽曲制作を中心に行っている福岡ユタカ氏。前年には「ニュース・ステーション」のテーマ曲"NS2000"を手がけられ、また二枚のソロアルバムをリリースされてもおりました。この「怪童丸」イメージアルバムは、福岡氏がOVAの主題歌"怪童丸縁起絵巻"を手がけたことがキッカケとなり制作された一枚で、主題歌と書き下ろしのオリジナル曲からなる全12曲。なお、この翌年の1月には池頼広氏によるOVA本編のスコアを収録したサウンドトラックがリリースされております("怪童丸縁起絵巻"も収録)。



 平安時代にその様式が完成したとされる「神楽」をベースに、エスニック・ミュージックも取り込んだ不思議な肌触りのサウンドに、福岡氏のヴォーカリゼーションが絡んでいくという趣向は、ゆるやかでありながらときに緊張感も孕んだものになっております。イメージスケッチのようでありながら、実験色も強いという印象です。主題歌"怪童丸縁起絵巻"は、厳かで雄大なイメージを喚起させる一曲。この曲で能管を演奏されているのは、一噌流笛方であり、多ジャンルとの積極的なコラボレーションを展開している一噌幸弘氏。氏は"遭遇"にも参加されております。ヴォーカリゼーションとギターのみで構成された"大江山 ~Yen calling“free improvisation”~"では、COILやボンデージ・フルーツなど数多くのバンドで活動するギタリスト 鬼怒無月氏が参加。また、強迫的にたたみかけるような疾走曲"荊木童子"は、福岡氏と鬼怒氏の共作曲になっております。アンビエント・タッチの"雷神道真"、ギラギラとした不穏さを孕んだ"火祭り"の二曲では、ROVOやボンデージ・フルーツなどで活動されている岡部洋一氏がパーカッションで参加されています。余談ですが、一噌氏と鬼怒氏はバンドメイトであり、鬼怒氏と岡部氏は福岡氏のライヴパフォーマンスユニット「YEN calling」のメンバーでもあります。


---------------------------------------------------------

『怪童丸 イメージアルバム』
[SVWC-7115 |2001.12.19|SMEヴィジュアルワークス]

01. 回想
02. 怪童丸縁起絵巻
03. 桜丹姫
04. 大江山 ~Yen calling“free improvisation”~
05. 月夜
06. 遭遇
07. 雨
08. 雷神道真
09. 火祭り
10. 呪、晴明邸
11. 荊木童子
12. 跋詩


M01~10、12 作編曲:福岡ユタカ
M11 作編曲:福岡ユタカ&鬼怒無月

〈参加ミュージシャン〉
福岡ユタカ(voice, keyboards, sampler, computer programming, synthesizer)
一噌幸弘(能管 / M2,6)
鬼怒無月(guitar / M4)
岡部洋一(percussion / M8,9)


---------------------------------------------------------

福岡ユタカ オフィシャル・サイト
福岡ユタカ - SOUND TRACK & PRODUCE WORKS(旧サイト)
怪童丸 KAIDOUMARU - aniplex


 また、近年の福岡氏は岩崎琢氏のサウンドトラック作品へたびたび参加されており、「刀語」(2010)の"bahasa palus"、「ヨルムンンガンド」(2012)の"Jormungand"、「ノラガミ」(2014)の"野良譚"といった挿入歌でいずれも存在感抜群のヴォーカリゼーションを聴かせてくれます。

大河アニメ 刀語 劇中楽曲集 其ノ壱ヨルムンガンド オリジナルサウンドトラックTVアニメ「ノラガミ」オリジナル・サウンドトラック~野良神の音~

2015年8月20日木曜日

大谷幸 他『Bronze Zetsuai Since 1989 オリジナルサウンドトラック』(1996)

BRONZE ZETUAI since 1989 オリジナル・サウンドトラック
ビデオ・サントラ TAKEHIDE 南條晃司
ビクターエンタテインメント (1996-12-18)
売り上げランキング: 308,452



 『絶愛-1989-』(全5巻)の続編として、1991年から2006年にかけて集英社の〈マーガレット〉で連載された、尾崎南によるBLコミックス『Bronze Zetsuai Since 1989』(全14巻)。1994年にはマッドハウス制作によるイメージビデオ集が、1992年にはマッドハウスの、1996年にはProduction I.Gの制作でそれぞれOVA化もされております。本CDは1996年のOVA版のサウンドトラック。メインコンポーザーはこの当時「新世紀GPXサイバーフォーミュラ」「新機動戦記ガンダムW」のスコアなどを手がけてきた大谷幸氏。本作では、暗く妖しいシンセサイザー・インストゥルメンタルを中心に提供されております。オケヒがガンガンに鳴り、とにかくギラギラとした"Overture 1996"や、ハードなギターとブラスの熱い絡みを聴かせる"Debut"はとくに耳を惹く、攻めの(意味深)楽曲。



 また、ヴォーカル曲では、GRAND PRIX(MAKE-UPの後身バンド)のベーシスト 上村功一氏、ジャニーズ関係の編曲を数多く手がけるCHOKKAKU(島田直角)氏、KARAKの保刈久明氏の三名が楽曲を提供されております。本編のメインキャラクターである南条晃司役の速水奨氏が歌う"BRONZE 殉教"は、原作者の尾崎氏の「内臓がぐしゃぐしゃになる感じがほしい」という変態的要望を受けての見良津健雄氏のアレンジが鈍い輝きを放つ名曲。低音ヴォイスと吐息混じりに歌う速水氏のパフォーマンスもろとも、有無を言わさぬものがあります。"SCAPE GOAT"は速水氏による変態的ポエトリー・リーディング(?)。ウィスパーヴォイスと昼田洋二氏のサックスをフィーチャーしたジャジーなインストゥルメンタルの相乗効果が異様な雰囲気を醸しだすアダルティーな怪曲です。"断崖" "BRONZE 最終章"の二曲でヴォーカルをとるTAKEHIDE氏は、「機動武闘伝Gガンダム」の後期エンディングテーマ"君の中の永遠"を歌った井上武英氏その人。ジェントリーな声質でまろやかに歌い上げます。"断崖"の全体的に浮遊感のあるアレンジはさすがの保刈氏といったところです。



---------------------------------------------------------

『Bronze Zetsuai Since 1989 オリジナルサウンドトラック』
[VICL-814|1996.12.18|VICTOR ENTERTAINMENT]

01. OVERTURE 1996
02. RUBY
03. BRONZE 殉教
(作詩:KOJI/作曲:上村功一/編曲:見良津健雄/歌:南条晃司(速水奨))

04. HEAVEN
05. DEBUT
06. EGO
07. EPITAPH
08. SANCTUARY
09. SCAPE GOAT
(作詩:KOJI/作編曲:CHOKKAKU/歌:南条晃司(速水奨))

10. WINGS
11. LIAR
12. EFFUSION
13. PAIN
14. 断崖
(作詩:K.INOJO/作編曲:保刈久明/歌:TAKEHIDE)

15. CHILDHOOD
16. NOTORIETY
17. HOPELESSNESS
18. ETERNAL REST
19. BRONZE 最終章

(作詩:尾崎南・K.INOJO/作曲:上村功一/編曲:見良津健雄/歌:TAKEHIDE)

尾崎南(concept architect)
金子秀昭(exective producer / VICTOR)
井上裕香子(director / VICTOR)

大谷幸(作編曲)①②④~⑧⑩~⑬⑮~⑱
見良津健雄(作編曲)③⑲
CHOKKAKU(作編曲)⑨
保刈久明(作編曲)⑭

昼田洋二(saxophone)
田中邦和(saxophone)
今泉洋(guitar)
柏原利勝(guitar)
内田健(bass)
坂元俊介(synthesizer manupilation)
笹川修宏(synthesizer manupilation assisted)






---------------------------------------------------------

ozaki minami official website ― CD
BRONZE ZETSUAI since 1989 (1996) - aiicinema

2015年8月19日水曜日

勝又隆一、石原慎一 他『絶愛-1989- オリジナル・アルバム』(1990)

絶愛~1989~
絶愛~1989~
posted with amazlet at 15.08.20
イメージ・アルバム 石原慎一
EMIミュージック・ジャパン (1990-07-25)
売り上げランキング: 185,574



 1989年から1991年にかけて集英社の〈マーガレット〉で連載された尾崎南によるBLコミックス『絶愛-1989-』(全5巻)のイメージアルバム。1988年に『彼烈火』というアルバムがリリースされており、本作は尾崎氏の作品のイメージアルバムとしては、1988年にリリースされた『彼烈火(かれっか)』に続く二枚目。作編曲を手がける勝又隆一氏と、ヴォーカルをつとめる石原慎一氏は『彼烈火』から続投しています。ちなみに勝又氏はこの後にジュリアーノ勝又の名前で米米CLUBのサポートキーボーディストやアレンジャーを務めることになります。また、三曲に参加されている見良津健雄氏は石原氏のアレンジャーとしておなじみ。アルバムの半分くらいはアダルト・コンテンポラリー調ですが、シンセアレンジがやたらと派手な冒頭曲"絶愛―1989―"をはじめ、"きずな" "もう届かないかもしれない人へ―"などは、J-POPというよりはむしろ昭和歌謡に近い泥臭い曲調で、石原氏の熱唱もろとも、原作の激しい情念をガッツリ表現しているように思います。"…何度も何度も…"は、本当に何度も何度も同じ詞が歌われる妄執的一曲で、「1人でヘッドホンして、ボリューム大きめの重低音で、音に嬲られる様にして聴くと、より一層効果が出ます!?」などとまでライナーノーツに書かれていることもあいまって、色々とインパクトがあります。



---------------------------------------------------------

『絶愛-1989- オリジナル・アルバム』
[TYCY-5139|1990.07.25|東芝EMI/Futureland]

01. 絶愛―1989―
02. SHAKE IT SHAKE
03. 祈り
04. 野獣よ
05. 鎖
06. どうすればいい
07. ・・・何度も何度も・・・
08. きずな
09. 命
10. もう届かないかもしれない人へ―


原作:尾崎南
プロデューサー:高塚俊紀
ミキサー:小幡幹男
アシスタント・ミキサー:桜井学
構成:白楽かりや

作詩:
實川翔 ①
K.INOJO ②⑥⑦⑧
秋本美姫 ④
横山武 ⑤
尾崎南 ⑩

作編曲:
勝又隆一 ①③~⑤⑧~⑩
見良津健雄 ②⑥⑦

歌:
石原慎一 ①②④~⑧⑩



---------------------------------------------------------

ozaki minami official website ― CD

2015年8月18日火曜日

新居昭乃、西崎憲、梶山織江『サウンドコミックス 月のうまれる夜』(1996)

月のうまれる夜 サウンドコミックス
イメージ・アルバム 新居昭乃 関俊彦 結城比呂 小杉十郎太 関智一 緒方恵美 井上和彦 子安武人 佐久間レイ こおろぎさとみ
メディアレモラス (1996-07-19)
売り上げランキング: 463,624



 1994年から1998年にかけて学習研究社(現.学研ホールディングス)の〈コミックPocke(ぽっけ)〉で連載されていた、かんべあきら原作のコミックス『月のうまれる夜』(全8巻)。本CDは、単行本第三巻と同時期にリリースされたサウンドドラマCDです。今みても豪華な声優陣による六トラックのドラマパートに、新居昭乃さんによる主題歌"月のうまれる夜"と、結城比呂氏&関智一氏のデュエットによるイメージソング"君の瞳だけ映してる"を収録した約50分ほどの構成。新居昭乃さんのオリジナルアルバム/ベストアルバムに収録されていない楽曲は多いのですが、この"月のうまれる夜"もそのひとつ。現在のところ本CDでしか聴くことはできません。"君の瞳だけ映してる"は、ヴァイオリンもフィーチャーした爽やかなポップスアレンジが素晴らしい一曲。同曲と本編BGMの作編曲を手がけられた梶山織江さんと西崎憲氏は後にヴァイオリン入りのロック/ポップス・バンド swiss cameraを結成され、現在も活動されております。



---------------------------------------------------------

『サウンドコミックス 月のうまれる夜』
[MRCA-20095|1996.07.19|メディア・レモラス]

01. 月のうまれる夜~プロローグ
(作詞・作編曲・歌:新居昭乃)

02. 僕のはじまり
03. 星の降る里
04. 忘れゆくものたちへ
05. 真言のハッピーバースデイ
06. 君の瞳だけ映してる

(作詞:かんべあきら/作曲:梶山織江/編曲:西崎憲/歌:結城比呂&関智一)

07. 夏の日
08. 大切なものを守って
09. 月のうまれる夜
(作詞・作編曲・歌:新居昭乃)


原作監修:かんべあきら
プロデューサー:大川正義(メディアレモラス)/金子政路(ソルト)
シナリオ:美咲一貴/髙石さゆり(ソルト)

〈音楽制作〉
新居昭乃(THEME BGM&THEME SONG)
西崎憲(guitar / BGM&DUET SONG)
梶山織江(violin / BGM&DUET SONG)
保刈久明(sound operator / THEME BGM&THEME SONG)
桜井学(engineer)
Julian Wheatley(engineer / THEME BGM&THEME SONG)
根岸嘉文〔CATS studio〕(assistant engineer)
金子政路〔ソルト〕(director)
山本真実子〔ソルト〕(assistant director)

〈キャスト〉
彬津真言……結城比呂
彬津翔……関智一
蒼月……子安武人
榊晃介……井上和彦
篁沙人流……三木眞一郎 
篁沙瞳子……緒方恵美
宮内司……関俊彦
焔……小杉十郎太
童……こおろぎさとみ
佐伯加奈子……佐久間レイ
岡村マキ……村山有里
遠藤高広……熊谷正行
佐野透……鈴木琢麿
おばさん……寺下由紀子
買い物客……東さおり



---------------------------------------------------------

2015年8月17日月曜日

山本はるきち 他『腐った教師の方程式 オリジナルサウンドトラック』(1994)

腐った教師の方程式 ― オリジナル・サウンドトラック
ビデオ・サントラ 小池敏文
徳間ジャパンコミュニケーションズ (1994-11-25)
売り上げランキング: 894,153



 1993年から2002年にかけて青磁ビブロスのビーボーイコミックスで刊行(全10巻)された、こだか和麻原作のボーイズラブコミックス「腐った教師の方程式」。1994年にはOVAがリリースされております。本CDは同OVAのサウンドトラック。コンポーザーは、プログレッシヴ・ロック・バンド KENSOのドラマー(初代)や、ロック/ポップス・グループ「LOOK」「L3C(LOOK LONESOME LANE CLUB)」のキーボーディストであった山本はるきち(山本治彦)氏。演奏では山本氏のほか、同じく元LOOKのサックス奏者 チープ広石氏や、L3Cにギタリストとして参加された百石元氏の名前があります。主題歌"Somebody's Reflation"を歌われた小池敏文氏のプロフィールは、氏が所属しているSTILLがバンドなのか団体なのかというところもふくめて不明です。また、同曲の作詞を手がけられた田島浩二氏は声優の久川綾さんのアルバムの作詞家です(さらに言えば、山本氏、百石氏、元井氏は久川さんのアルバムの常連レコーディングメンバーでもあります)。



 "Junction""Crazy Animals"のようなアダルト・コンテンポラリー調のインストゥルメンタルから、ピアノとヴァイオリンの絡みが美しい"Because~あなたは知らない~"、LOOK時代を思わせる"Rainy Town"のようなポップ・バラード調の楽曲。さらには"Hot Beat""BAD BOYS"のようなキメまくりのフュージョン系楽曲まで見受けられるのはさすがといったところです。

---------------------------------------------------------

『腐った教師の方程式 オリジナルサウンドトラック』
[TKCA-70533|1994.11.25|徳間ジャパンコミュニケーションズ]

01. Somebody's Reflation
(作詞:田島浩二/作編曲:山本はるきち/歌:小池敏文)

02. Transitory Love
03. Begin ~僕の一歩~
04. Comical Bass
05. HOT BEAT
06. INCERTITUDE
07. VOICE ~遠い夏の日~
08. Junction
09. Loss Time
10. Run across
11. Crazy Animals
12. Rainy Town
13. BAD BOYS
14. Because ~あなたは知らない~


Sound Produced by 山本はるきち
Recorded & Mixed by 守屋勝美(SOUND Sky STUDIO)
Concept Planning こだか和麻 島崎奈々子

All Songs Composed & Arranged by 山本はるきち
Words Written by 田島浩二

小池敏文(STILL)(vocal, chorus)
山本はるきち(computer manipulation, keyboards, chorus)
百石元(electric & acoustic guitar)
チープ広石(alto & tenor saxophone)
元井信(violin)

---------------------------------------------------------

【関連】
百石元 『小山荘のきらわれ者 オリジナルアルバム』(1988)
百石元『ねこひきのオルオラネ オリジナルサウンドトラック』(1992)
こちらは百石氏がメインコンポーザーとして担当された作品。『ねこひきのオルオラネ』は山本はるきち氏、元井信氏も参加されています。

Harukichi Yamamoto - piece of works

腐った教師の方程式(1994) - allcinema
腐った教師の方程式 -BLCD Wiki

2015年8月13日木曜日

『「仙界伝封神演義」キャラクターイメージソング集 封神計画「歌宴」/「歌宴II」』(1999/2000)

仙界伝・封神演義 歌宴
仙界伝・封神演義 歌宴
posted with amazlet at 15.08.12
オムニバス 千葉進歩 結城比呂 増川洋一 松本梨香 かかずゆみ 千葉千恵巳 松田佑貴 山岸功 宮田幸季
キングレコード (1999-11-26)
売り上げランキング: 137,476



 安能務訳『封神演義』を原作とする藤崎竜氏の漫画版「封神演義」は、1996年から2000年にかけて週間少年ジャンプで連載され、1999年7月から12月にかけて二クールでアニメ化もされました。本CDは、1999年と2000年にリリースされた二枚のキャラクターソングアルバム。本編の挿入歌であった"風の旅人" "遥かなる道は旅の途中"をそれぞれ収録しているほか、オープニングテーマ"WILL"の本編キャスト三人による歌唱版、また、同曲の作曲者である米倉千尋さんが書き下ろした新曲"陽のあたる場所"を『歌宴II』に収録しています。


仙界伝封神演義 歌宴II
仙界伝封神演義 歌宴II
posted with amazlet at 15.08.12
結城比呂 千葉進歩 山岸功 宮田幸季 松本梨香
キングレコード (2000-07-26)
売り上げランキング: 137,058



 楽曲の方向性はビートパンク、ハードロック、バラード、ポップス、フォーク、懐メロとなんでもアリで、やはり松本梨香さんは頭一つ抜きん出たヴォーカルを聴かせてくれます。山岸功氏はえらくノリノリな印象で、"123"では自ら合いの手まで入れているほか、結城比呂(現:優希比呂)氏と山岸氏による"大丈夫っさ"は、ちょうどこの当時話題を集めていた「ゆず」をかなり意識した一曲と思われます(歌い方もしっかり再現しているのがまた)。一方で、かかずゆみさんと松田佑貴氏の妲己&紂王コンビのデュエットによる"甘い蜜の中で"は、昭和歌謡のパロディ。ダメ押しとばかりにテンプレな中華風メロディ入りです。四不象役の増川洋一氏は本作が声優デビュー作でもあったわけですが、氏のヴォーカルによる"キスキッス"は声質との絶妙なマッチングもあってか、異常な中毒性を誇るエレポップになっています。作曲者は林原めぐみさんの楽曲を多数手がけられている佐藤英敏氏("残酷な天使のテーゼ"の作曲者でもあります)。また、編曲者の添田啓二氏はKANやスターダストレビューなどのサポートキーボーディストであるということを考えると、この爽やかな曲調もなるほどといったところです。また、"世界はジオラマ" "未・来・励・激(激闘編)"の作曲者の坂下正俊氏は、かのmanzo氏の本名です(「萬Z(量産型)」としてブレイクを果たすのは、本作から四年後のお話)。"Love Me パヤパヤッ"の編曲&ギターはレベッカの是永巧一氏。同曲と"A PROOF OF BIRTH ~誕生の証し~"はバンド編成(古川望(guitars)/青木智仁(bass)/大久保敦夫(drums))でレコーディングされております。千葉進歩氏の歌う"終わりのない旅"はZABADAKの小峰公子さんと吉良知彦さんのコンビによる提供曲。メロトロン風サウンドと吉良氏お得意のブ厚いバッキングコーラスもしっかり入った壮大な一曲で、千葉氏の歌い回しが吉良氏のそれに似ていることもあってかなりのハマり具合を感じます。





--------------------------------------

『仙界伝封神演義 封神計画「歌宴」』
[KICA-482|1999.11.26|KING RECORD]

01. Chi-Kou-Go-Itsu(歌:結城比呂〔太公望〕)
(作詞:木本慶子/作編曲:五島翔)

02. キスキッス(歌:増川洋一〔四不象〕)
(作詞:只野菜摘/作曲:佐藤英敏/編曲:添田啓二)

03. BLACK BIRD(歌:松本梨香〔雷震子〕)
(作詞:只野菜摘/作編曲:堀隆)

04. 世界はジオラマ(歌:かかずゆみ〔妲己〕)
(作詞:只野菜摘/作曲:坂下正俊/編曲:岩本正樹)

05. Love Me パヤパヤッ!(歌:千葉千恵巳&柚木涼香〔喜媚&貴人〕)
(作詞:久和カノン/作曲:近藤昭雄/編曲:是永巧一)

06. 甘い蜜の中で(歌:かかずゆみ&松田佑貴〔妲己&紂王〕)
(作詞:松葉美保/作編曲:今泉洋)

07. 風の旅人(歌:山岸功〔黄天化〕)
(作詞:只野菜摘/作編曲:今泉洋)

08. 太公望ここにあり!(歌:結城比呂&増川洋一〔太公望&四不象〕)
(作詞:久和カノン/作編曲:今泉洋)

09. A PROOF OF BIRTH ~誕生の証し~(歌:宮田幸季〔哪吒〕)
(作詞:工藤哲雄/作曲:羽場仁志/編曲:岩本正樹)

10. 夜明けへの扉(歌:千葉進歩〔楊戩〕)
(作詞:木本慶子/作編曲:添田啓二)


今泉洋(all instruments)⑥⑦⑧
Tuffy(synthesizer programming & manipulate)①
添田啓二(synthesizer programming & manipulate, keyboard)②③⑨
岩本正樹(synthesizer programming)④⑨
是永巧一(synthesizer programming & guitars)⑤
斎藤智恵美(synthesizer operation)④⑨
平石晴己(synthesizer operation)⑤
五島翔(keyboards)①
今泉洋(guitars)①
堀隆(guitars)②③⑨
古川望(guitars)④⑨
青木智仁(bass)④⑨
大久保敦夫(drums)④⑨
広谷順子(chorus)⑤
西沢匠司(mix)①②⑥⑧
坂口欣雄(mix)③⑤⑨
増田晋(mix)④⑨
矢野真一(mix)⑦


『仙界伝封神演義 封神計画「歌宴II」』
[KICA-517|2000.07.26|KING RECORD]

01. 鋼魂・大望(歌:結城比呂〔太公望〕)
(作詞:木本慶子/作曲:Daglas Karmit/編曲:五島翔)

02. 123(歌:山岸功〔黄天化〕)
(作詞:奥井雅美/作編曲:佐藤秀樹)

03. 蒼き光へ(静寂の編)(歌:千葉進歩〔楊戩〕)
(作詞:木本慶子/作曲:佐藤英敏/編曲:今泉洋)

04. いつかどこかで(歌:宮田幸季〔哪吒〕)
(作詞:只野菜摘/作曲:太田公一/編曲:堀隆)

05. SOMEDAY(歌:松本梨香〔雷震子〕)
(作詞:奥井雅美/作編曲:佐藤秀樹)

06. WILL(仙界編)(歌:結城比呂&千葉進歩&山岸功〔太公望&楊戩&黄天化〕)
(作詞:鵜島仁文、米倉千尋/作曲:鵜島仁文/編曲:岩本正樹)

07. 大丈夫っさ(歌:結城比呂&山岸功〔太公望&黄天化〕)
(作詞:高山真徳/作編曲:今泉洋)

08. 終わりのない旅(歌:千葉進歩〔楊戩〕)
(作詞:小峰公子/作編曲:吉良知彦)

09. 遥かなる道は旅の途中(歌:山岸功〔黄天化〕)
(作詞:只野菜摘/作曲:Daglas Karmit/編曲:今泉洋)

10. 未・来・励・激(激闘編)(歌:結城比呂〔太公望〕)
(作詞:木本慶子/作曲:坂下正俊/編曲:五島翔)

11. 陽のあたる場所
(歌:結城比呂&千葉進歩&山岸功&宮田幸季&松本梨香〔太公望&楊戩&黄天化&哪吒&雷震子〕)
(作詞・作曲:米倉千尋/編曲:見良津健雄)

12. 陽のあたる場所(サントラバージョン)



※『歌宴』『歌宴II』のブックレットの形式はそれぞれまったく異なっており、『歌宴』は見開き二ページのクレジット+歌詞ペーパー(B4サイズほど)。『歌宴II』のほうは六つ折りの歌詞ブックレットのみ。また、『歌宴』には記載されていたレコーディングメンバーのクレジットは、『歌宴II』のほうにはありません。"陽のあたる場所(サントラバージョン)"はブックレットには記載されておらず、シークレットボーナストラック扱いと思われます。

--------------------------------------

2015年8月8日土曜日

ニンジャが聴いて殺す! ワザマエなコンピレーション ―『ニンジャスレイヤー フロムコンピレイシヨン 忍』(2015)

ニンジャスレイヤー フロムコンピレイシヨン「忍」
大沢伸一 Boris Melt-Banana THE PINBALLS 8otto 6EYES ELECTRIC EEL SHOCK
キングレコード (2015-07-22)
売り上げランキング: 100



 放送直後から戸惑いと衝撃込みでファンやニュービーの注目を集めているアニメイシヨン版「ニンジャスレイヤー」。かくいう自分も当初はニンジャリアリティショックめいた情緒不安定状態に軽く陥りましたが、いまではなんかもう、慣れました。慣れコワイ。エンディングテーマに毎回異なるバンドを起用するという、ヘタするとアニメ本編よりこっちにお金がかかっているのではないかという大胆な趣向も大きく注目されました。本CDは、11のバンド/アーティストによる第一話から第十二話までのタイアップ曲と、MONDO GROSSOの大沢伸一氏による本編BGM 8曲をボーナストラックとして併録したコンピレーションアルバムの第一弾。選曲にはボンド&モーゼズの原作者コンビと、ほんやくチームの音楽的嗜好が遺憾なく発揮されており、BorisMelt-Bananaを筆頭に、刺激と才気ほとばしる気鋭ぞろい。日本以上に海外で高い評価を得ているバンドが多数名を連ねているところもポイントです。バンド側もニンジャスレイヤーの世界観に沿った楽曲を提供しており、見事なハマリ具合をみせています(borisのアツオ氏やTHE PINBALLSの古川氏など、バンド側に重篤なニンジャヘッズがチラホラといるあたりも、良好な化学反応に拍車をかけています)。





 ヘヴィ・ロックにとどまらず多彩な音楽性を呑み込み、ますますの邁進をみせるBorisは二曲提供しており、"キルミスター"は、Motörheadのレミー・キルミスターへのリスペクトも込めた轟音爆走チューン。また、アニメ本編のセリフやSEがガンガンに挿入された"Aurashi No Ken"は、チャドーの奥義であり、処刑必殺技(by ほんやくチーム)である「アラシノケン」をイメージした骨太ストーナー・ロックで、まさに「キラーチューン」です。同じく、海外で圧倒的な支持を得ているMelt-Banana "HALO OF SORROW"は、電子音と爆音とノイズが渾然一体となったトルネードサウンドが襲い来るウルトラファストな一曲。ちなみに同バンドのアニソンタイアップは、10年ほど前にカートゥーンネットワークのAdult Swimで放送されたパロディアニメ「Perfect Hair Forever」のオープニングテーマ"Hair-Cat (Cause the Wolf is a Cat!)"以来となります。「アイエエエエ!!」のシャウトも飛び出すTHE PINBALLS "劇場支配人のテーマ"は、ストレートなガレージ・ロックンロール。寂れた劇場の人々をテーマとした詞から滲み出る「もう後に退けない焦燥感」が素晴らしく、これが忍殺世界との絶妙なマッチングをみせています。8otto "SRKEEN"はダンサブルなギターロック。奇しくもバンド側がシュリケンをテーマにした曲を書いていたところにタイアップの話が来たという実にグッドタイミングな流れがあったとのこと。6EYES "Radio"は既存曲をアニメ用にリ・アレンジしたもので、オリジナルは2011年リリースのアルバム『Flush』に収録されています。虎視眈々と狙いをつけるかのような不穏な前半から最終的にサイケデリック・プログレめいた長尺のソロパートへと突入する、熱に浮かされたかのような曲展開が聴きもの。Electric Eel Shock "NINJA SLAYER"はラフなヴォーカルと轟音ロックンロール。シンプル・イズ・ベストな一曲。依頼を受けたときにはスケジュール的にかなり切羽詰っていたようですが、ケツに火がついてる感が出ててよいと思います。

 大沢伸一氏による"Ninja Prayer"は、YMOの"Firecraker"や坂本龍一の"The End of Asia"も想起させるトロピカルで多幸感あふれるエレクトロ・チューン。一方、BGMは猥雑としたネオサイタマのイメージを投影したテクノ・トラックから、"UNDERGROUND" "Crystal"のようなサスペンスムービー調の張り詰めたトラックまで、淡々としながらも躁鬱の気がある仕上がりです。taffy "SUICIDAL BUNNY"は、グランジ/シューゲイズ色濃厚なバンドサウンドと、フワっとしたキュートな女性ヴォーカル、この不思議なマッチングがクセになります。80kids "HIDE"はサイバーパンク感あふれるヘヴィなエレクトロ・チューンで、バリバリに効いた重低音の抜けのよさも相まって、とんでもなくキャッチー。Sawagi "JAG JAG"は、彼らが2015年初頭にリリースしたアルバム『Starts to think?』の収録曲を別ミックスで提供したもの。手数の多さ、音の厚みに反して聴き心地は非常に爽やかなシューゲイズ・チューン。どこかキーボード/シンセサイザー・プログレめいた感触もあり。skillkills "NEO CYBER MADNESS"は、忍殺原作の符丁を散りばめた上で韻も踏むワザマエな趣向のリリックもさることながら、雑食性の高いヒップホップ・バンドというだけあって、バックのトラックも相当にネジくれたアレンジが施されています。


ほんやくチームによるコンピレイション収録曲解説(「ザ・TVショウ」#15)



 「ニンジャスレイヤー」のアニメイシヨンや原作小説を知らないリスナーにもアピールできる内容になっており、サイケデリック・ロック、ヘヴィ・ロック、オルタナティヴ・ロック、エレクトロ、ヒップホップなどの多種ジャンルを十二分に堪能できるショウケースとしても極上のセレクションです。もちろん、原作やアニメを知っていれば格段に楽しいのは言わずもがな。アニメイシヨンの第十三話以降では、Drop's赤い公園TK from 凛として時雨GEEKS、そして七月末に結成されたばかりのMINE(FRONTIER BACKYARD、band apart、MOP of HEADのメンバーらによるバンド)の楽曲が起用されており、第二弾のコンピレーションアルバムにも強い期待が寄せられます。


http://ninjaslayer-animation.com/


Boris - Official Site
Melt-Banana - Official Site
THE PINBALLS - Official Site
8otto - Official Site
6EYES - Official Site
ELECTRIC EEL SHOCK - Official Site
Shinichi Osawa - Official Site
taffy - Official Site
80KIDZ - Official Site
Sawagi - Official Site
skillkills - Official Site


「ニンジャスレイヤー」サントラへと続く和楽器ハード・ロックの太き血脈

2015年8月7日金曜日

本家GOBLINのリズム隊を迎えて新たに誕生した「第三のゴブリン」 ― GOBLIN REBIRTH『Goblin Rebirth』(2015)

GOBLIN REBIRTH
GOBLIN REBIRTH
posted with amazlet at 15.08.06
GOBLIN REBIRTH
RELAPSE JAPAN (2015-08-26)
売り上げランキング: 30,385



 長い歴史のなかで何度か中断を挟みながらも、現在まで活動を続けるイタリアン・プログレッシヴ・ロック界の重鎮であり、ホラー/サスペンス・ミュージックにこのバンドありと謳われるGOBLIN。近年はキーボーディストのクラウディオ・シモネッティが主導するClaudio Simonetti's GOBLINと、彼以外のメンバー(マッシモ・モランテ(g)/ファビオ・ピニャテッリ(b)/アゴスティノ・マランゴロ(ds)/マウリツィオ・グアリーニ(kbd))からなるGOBLINの二つが同時並行的に存在する状態だったのですが、そこからさらに、ピニャテッリとマランゴロをリズム隊にフィーチャーした新たなるGOBLINが登場いたしました。それがこのGOBLIN REBIRTH。ピニャテッリとマランゴロ以外のメンバーは三人。キーボーディストのAidan Zammitはミュージシャンとして数々のバンドやアーティストを渡り歩き、劇伴音楽のコンポーザーとしてもキャリアのあるヴェテラン、GOBLINとは2009年ごろから関わるようになったとのこと。同じくキーボーディストのDanilo Cherniも、スタジオ・ミュージシャンや劇伴コンポーザーとして活動歴のあるメンバー。そしてGiacomo Anselmiはアメリカで音楽理論を学んだジャズ・フュージョン系ギタリストです。





 クラウドファウンディングを経て3~4月にリリースされたGOBLINの新作アルバム『Four of a Kind』に続けとばかりに、GOBLIN REBIRTHのデビューアルバムがアメリカのデス/ドゥームメタル系レーベル RELAPSE RECORDSより6月末にリリースされました。しかし分家的バンドとはいえ、RELAPSEからGOBLINのアルバムがリリースされるとは。そういう時代なのかという妙な感慨があります。本作は、「悪鬼の誕生を描いた架空のサウンドトラック」という体裁をとったコンセプトアルバム。サウンドの方向性は本家GOBLINが作り上げてきたオリジナルアルバムやサウンドトラックのムードをある程度踏襲した、仰々しくおどろおどろしいテイスト。冒頭を飾る"Requiem For X"こそ「シモネッティ的な」オルガンアレンジが施された様式美的な仕上がりなのですが、続く"Back In 74"ではガラリと趣を変え、フュージョン・タッチの軽快なオルガン・ロックを展開しています。そのほか、デジタル処理したヴォーカルや、エレクトロ・タッチのアレンジなど、本家GOBLINではあまりやらなさそうなことを積極的にやっているところがポイント。"Forest"では女性コーラスとニューエイジ調のシンセサイザー・アレンジで、神秘的でもの侘しいイメージを強めています。また、70年代中期のKING CRIMSONが展開したヘヴィ・プログレを意識したフシもあり、"Evil In The Machine""Rebirth"で顕著にあらわれています。全体的にフットワーク軽めですが、それが逆にサウンドの抜けのよさに繋がっており、プラスに働いています。





 同時に三形態も存在しているとなるとはや何がなんだかというところですが、いずれのバンド形態も手応えのある作品をリリースしているのが面白いところ。本流が太ければ支流も太いといった感じです。そして先ごろ、GOBLINの前身バンドにあたるCHERRY FIVEがなんと四十年ぶりに復活を果たし、オリジナルメンバーのカルロ・ボルディーニとトニー・タルタリーニを擁する編成で約四十年ぶりに新作アルバムをリリースするというアナウンスがされました。いやあ、えらいこっちゃ。


https://www.facebook.com/Goblin.Rebirth
http://www.relapse.com/label/goblin-rebirth.html

2015年8月5日水曜日

水谷薫、平沢進、パール兄弟『AD.POLICE - DRAGON TRIP』(1990)

ADポリス25時,終焉都市
ADポリス25時,終焉都市
posted with amazlet at 15.08.10
ビデオ・サントラ
ポリドール (1990-07-01)
売り上げランキング: 907,030


 1987年~1991年にかけてリリースされたサイバーパンクアクションOVAシリーズ〈バブルガムクライシス〉の外伝作品「AD POLICE」。1990年5月から11月にかけて「幻の女」「ザ・リッパー」「舌を噛む男」の三本のOVAがリリースされました。本CDは「ザ・リッパー」がリリースされる一月前にポリドールよりリリースされたドラマCD(ストーリーのネタは、社会現象となった某ソフトがモチーフでしょう)。音楽は「破邪大星ダンガイオー」(1987)、「ガルフォース 地球章」(1989)、「戦国武将列伝 爆風童子ヒッサツマン」(1990)の劇伴などを手がけられた水谷薫氏。テーマ曲として平沢進氏の"テクノの娘"と、パール兄弟"快楽の季節"が使用されています。両アーティストとも当時はポリドールに所属しており、平沢氏は二作目のソロアルバム『サイエンスの幽霊』を、パール兄弟は五枚目のアルバム『六本木島』をそれぞれリリースしたばかりのころです。



--------------------------------
『AD.POLICE - DRAGON TRIP』
01 .SHINJIKU 2027
02 .テクノの娘〔平沢進〕
(作詞・作曲:平沢進)
03 .DRAGON TRIP II
04 .FAMILY VISION
05 .魔道師の館
06 .CYBER RPG
07 .快楽の季節〔パール兄弟〕
(作詞:サエキけんぞう/作編曲:窪田晴男)
08 .TOKYO 25:00

 [POCH-2008|1990.07.01|POLYDOR]
〈CAST〉
レオン・マクニコル……古川登志夫
ジーナ・マルソ……松岡洋子
トミー・ヤザキ……梅津秀之
ダイオーク(班長)……玄田哲章
ジャッド……中村大樹
マリコ(オカマ)……鈴木清信
ゲーム世界の男……安倍敦
プリンセス/コンピューター(女)……安永沙都子
ノーマルポリス……森川智之
店員……堀川等


〈STAFF〉
脚本:高橋昌也
プロデューサー:小泉聰
音楽:水谷薫
音響プロデュース:中野徹
効果:佐々木純一(アニメサウンドプロダクション)
調整:星野敏昭、中村光宏
録音スタジオ:セントラル録音、神南スタジオ
音響制作:81プロデュース、HALF H・P
制作協力:DARTS、AIC
企画・制作:ARTMIC
イラスト:トニーたけざき


〈STORY〉
 俺の名前は、レオン・マクニコル。狂った都市(まち)TOKYOで、"ブーマ"と戦い続けるADポリスのフロンター。
 TOKYOで、奇妙な事件が続発していた。擬似電子(エレ・トリップ)中毒者による殺人。いずれも、ゲームマシン"ファミリー・ビジョン"を装着していた。そして、発売前の人気ゲームソフト「ドラゴン・トリップII」犯人たちはそれを使ってトリップ……この胡散臭さに、俺はブーマの気配を感じた。
 「ドラゴン・トリップ」のメインスタッフ・リストを手に入れるのは、容易なことだった。その中から浮かびあがってきた男、トミー・ヤザキ。ネットワーク・ゲーム界の有名人。ネットワーク・ゲーム界No.1の座を死守しようと、あくせくしているらしい。自分の体を機械に変えてまで…
 奴こそ、事件の黒幕。そして、"ブーマ"だった。俺は、相棒のジーナ・マルソと共にトミーの自宅へ向かった。そこで、俺たちは……

--------------------------------





水谷薫 - vgmdb

2015年8月4日火曜日

都留教博&中村由利子『人形草紙 あやつり左近 オリジナルサウンドトラック I&II』(1999/2000)

人形(からくり)草紙あやつり左近 (1) (集英社文庫―コミック版)
小畑 健
集英社
売り上げランキング: 408,525



「人形草紙(からくりぞうし)あやつり左近」は、〈週刊少年ジャンプ〉で1995年から1996年にかけて連載された、写楽麿(宮崎まさる)原作/小畑健作画によるコミック。人形遣いと文楽人形のコンビによるサスペンス・ミステリで、既にヒットしていた他社の『名探偵コナン』や『金田一少年の事件簿』への対抗馬として登場したのですが、わずか半年という短い連載期間で打ち切りとなっています。とはいえ、クオリティは高く、当時のジャンプの数巻完結もののタイトルのなかでも印象深い作品でありました。その後、小畑氏が『ヒカルの碁』でカムバックとブレイクを果たしたこともあって再評価の機運も高まり、なんと連載終了から3年後に異例のアニメ化。WOWOW、ビクター、トムスの共同製作により1999年10月から2000年3月末にかけて全26話で放送されました。今回ご紹介するのはそのサウンドトラックであります。


人形草紙あやつり左近 ― オリジナル・サウンドトラック 1
TVサントラ 五木花実 新居昭乃 HUMMING BIRD
ビクターエンタテインメント (1999-12-16)
売り上げランキング: 186,434


人形草紙あやつり左近 ― オリジナル・サウンドトラック II
TVサントラ HUMMING BIRD KOKIA 新居昭乃
ビクターエンタテインメント (2000-03-23)
売り上げランキング: 373,637



 劇伴を手がけた都留教博氏と中村由利子さんはともにヒーリング/ニューエイジ・ミュージック方面でのソロ活動のほか、アニメ、ゲーム作品などでの仕事ですでにキャリアを培っており、90年代に入ってからはチェリストの前田善彦氏との三人で、ユニット「アコースティック・カフェ」としての活動も展開しておりました。サントラリリースの前年にあたる1998年には都留教博+中村由利子の連名で『Beginnings』『Jemini』『Progress』と題した三部作のオリジナルアルバムを立て続けにリリースするという、非常に活発な時期でもありました。「和風」「日本の四季」「キャラに感情移入してくれる曲」という、まついひとゆき監督のリクエストのいずれにも応えた、ほの暗く、サスペンスフルな珠玉のスコアがアルバム二枚分にわたって展開されております。ピアノ/シンセサイザーとフルートを軸としたニューエイジ路線のインストゥルメンタルを踏襲する一方、和楽器、ブズーキ、胡弓などの民族楽器が多用され、雅楽やアジアン・ミュージックのテイストが強く反映されているのも特徴的です。



 レコーディングメンバーのうち、前田善彦(cello)、河合徹三(b)、バカボン鈴木(b)、山本恭久(perc)、相澤政宏(fl)の各氏は、都留氏が劇伴を手がけたOVA版「アルスラーン戦記」(1991~1995)のサウンドトラックにも参加しています。また、元.四人囃子の佐藤満(佐藤ミツル)氏が"逃走" "混迷"の二曲にギターで参加されているのですが、都留氏と佐藤氏はこれ以前に「放課後の職員室」(こいでみえこ原作)のイメージサウンドトラック(1994)の主題歌でともに仕事をされていた縁での参加でしょう。"逃走"はどこか70年代後期四人囃子の面影を感じさせるものがありますし、"混迷"は中期KING CRIMSONを意識したかのような("太陽と戦慄"的な)ヘヴィなテイストのプログレッシヴ・ロック調に仕上がっております。



 また、主題歌にはHUMMING BIRD新居昭乃さん、挿入歌には五木花実さんとKOKIAさんが起用されています。とくに、サントラの二枚目に収録されている"さよならは言わないで"を歌ったKOKIAさんはまだメジャーデビューして間もないころ。都留氏とは、1999年に放送されたテレビ東京開局35周年特別番組「ネシアの旅人」の主題歌に続いて二度目のタッグでもあったりします。そしてどちらの楽曲も、2015年現在でオリジナル、ベスト、コンピレーションのどのKOKIAさんのアルバムにも収録されていないレア曲なのです。また、まつい監督の強い意向でエンディングテーマに起用された新居昭乃さんの"叶えて"は、ニューエイジ和楽ユニット 箏座の木田敦子さんの箏をフィーチャーしたアンビエントで神秘的な一曲。同曲は2002年にリリースされた新居さんの二枚目のベストアルバム『RGB』に収録されています。五木花実さんはソロでの作品リリースはなく、彼女の楽曲は後にも先にもサントラに収録されたこの"声"のみなのですが、しっとりと清らかなヴォーカルが忘れ難い一曲です。HUMMING BIRDは、言わずと知れた福山芳樹氏を擁するバンド。このころは活動末期で、オープニングテーマである"光なき夜をゆけ"が、彼らのラストシングルとなります(2000年5月に解散)。最後を飾るにふさわしい熱唱と熱演を聴かせるメロディック・ハード・ロックの傑作なのですが、TVサイズ版ではこれからというところで終わってしまうため、ぜひフルヴァージョンで聴いてほしいです。



 本作以降、都留&中村コンビでの作品リリースはしばらくなかったのですが、2006年に宮崎駿監督の短編アニメーション作品「星をかった日」のサウンドトラックを制作されております。

----------------------------------------------------------

『人形草紙 あやつり左近 オリジナルサウンドトラック I』
[VICL-60503|1999.12.16|VICTOR]

01. 光なき夜をゆけ
(作詞:石川雅俊/作曲:福山芳樹/編曲:和田春彦、HUMMING BIRD/歌:HUMMING BIRD)
福山芳樹(vo, cho, g)/麻生祥一郎(ds, cho)/古屋敏之(e-b, cho)/和田春彦(kbd)

02. ふゆう
03. 闇に舞う
04. 謎は解けるか
05. 機先
06. 心理の罠
07. 春を思う
08. まんだら
09. あなたが犯人!
10. 左近のテーマ
11. ハイカラ草紙
12. 波紋
13. 声〔挿入歌〕
(作詞:平野肇/作曲:中村由利子/編曲:都留教博&中村由利子/五木花実)
五木花実(vo)/河合徹三(e-b, bouzouki)/山本恭久(perc)/都留教博(bouzouki)/中村由利子(p, kbd)

14. 追跡
15. からまり
16. 迷宮
17. 瞑想

18. 叶えて
(作詞・作編曲・歌:新居昭乃/編曲:松林正志、坂元俊介)
新居昭乃(vo, kbd)/木田敦子(筝)/内田KEN太郎(e-b)/保刈久明(e-g)


作編曲:都留教博&中村由利子(2~12、14~17)


『人形草紙 あやつり左近 オリジナルサウンドトラック II』
[VICL-60504|2000.03.23|VICTOR]

01. 光なき夜をゆけ (TVサイズ)
02. 王家の謎
03. 闇の舞踏
04. 呪術
05. 暗示
06. あの頃なら
07. 獅子の舞
08. 逃走
09. 忘れえぬ思い
10. ふれあい
11. 真実の鍵
12. 蜃気楼
13. さだめ
14. 混迷
15. 戦慄
16. 魂の声
17. 右近のテーマ
18. 回想
19. 幻の行軍
20. さよならは言わないで〔挿入歌〕
(作詞・歌:KOKIA/作曲:中村由利子/編曲:都留教博&中村由利子)
KOKIA(vo)/河合徹三(e-b, bouzouki)/山本恭久(perc)/中村由利子(accordion)/都留教博(cornet, vln, tin whistle, kbd)

21. 呪いの呼出状
22. そのからくり
23. さよならは言わないで - ピアノ・ヴァージョン -
24. 叶えて (TVサイズ)


作編曲:都留教博&中村由利子(2~19、21、22)

〈レコーディングメンバー〉
都留教博(keyboard etc)
中村由利子(keyboard etc)
山本恭久(percussion)
高杉登(drums)
バカボン鈴木(electric bass, stick)
B・ウインター(electric bass)
古川昌義(electric guitar)
S・アンダーソン(electric guitar)
佐藤満(electric guitar)
遠藤義晴(胡弓)
相澤政宏(flute)
前田善彦(cello)


都留教博 - WING ENTERTAIMENT GROUP
中村由利子 オフィシャルホームページ

2015年8月1日土曜日

『爆炎CAMPUSガードレス 徹底攻略公式ガイドCD①』(1994)

爆炎CAMPUSガードレス 徹底攻略公式ガイドCD1キャラクター編
イメージ・アルバム Kei-Tee 山寺宏一 斎藤美和子 松本梨香 石田彰 子安武人
ビクターエンタテインメント (1994-04-21)
売り上げランキング: 622,564



 萩原一至、あかほりさとるの両氏の企画として当初Vジャンプで発表されたアクションラブコメ作品「爆炎CAMPUSガードレス」。本作は'94年に全四巻のOVAと並行してリリースされた全四枚のドラマCDの第一弾。ふたつのドラマパートと、OVAの主題歌"Innocent Heart"(歌:Kei-Tee)、書き下ろし曲"トラブル・ラブ" "No No Blood"を収録。"トラブル・ラブ"(歌:さいとうみわこ)はホーンセクションをフィーチャーしたセクシーな一曲。"No No Blood"(歌:松本梨香)はバンドスタイルによるハードロックチューン。

-------------------------------------------------------
『爆炎CAMPUSガードレス 徹底攻略公式ガイドCD①』
[VICL-2133|1994.4.21|VICTOR]

1. INNOCENT HEART
(作詞・歌:Kei-Tee/作編曲:土橋安騎夫)

2. 扉学園納涼夏祭り前夜祭つれづれ記(其の一)

3. トラブル・ラブ
(作詞・歌:さいとうみわこ/作曲:中村裕介/編曲:外山和彦)

4. 扉学園納涼夏祭り前夜祭つれづれ記(其の二)

5. No No Blood
(歌・セリフ:松本梨香&石田彰/作詞:日々安里/作曲:小路隆/編曲:外山和彦)


「INNOCENT HEART」
是永巧一(guitar)
伊藤浩樹(guitar)
大山曜(programming)

〈Other Music Part〉
山田達也(drums)
関雅夫(bass)
今泉洋(guitar)
田中厚(keyboard)
小林正弘(trumpet)
林研一郎(trumpet)
山本拓夫(sax & flute)
小池修(sax)
スージー・キム(chorus)
外山和彦(chorus)
石田彰(chorus)
木内一雄(chorus)
佐々木史朗 (chorus)
田久保誠一(programming)


「扉学園納涼夏祭り前夜祭つれづれ記(其の一&二)」
あかほり“ポリリン”さとるとその一団
(あみや“アミーゴ”まさはる・野呂“駅員一撃”昌史・植村“ガンマそっくり”須美男)
若林和弘(演出)/安西史孝(音楽)

神野八純(松本梨香)
神野巧(石田彰)
地龍(山寺宏一)
天空(子安武人)
山城数馬(森川智之)
青葉姫(かないみか)
由佳(白鳥由里)



-------------------------------------------------------