2015年6月29日月曜日

グレッグ・イーガン『ゼンデギ (Zendegi)』(2010)

ゼンデギ (ハヤカワ文庫SF)
グレッグ イーガン
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▼グレッグ・イーガンの『ゼンデギ』を読んだ。2010年に刊行されたものの邦訳。第一部は執筆当時の世相をそこそこに反映した描写が続き、第二部からいつものイーガンな感じ。ヴァーチャルを介した父と子の物語。あと、確かにほかのイーガン作品に比べて読みやすい。主人公のマーティンおじさんが、数千枚のLPレコードをどないしたろかと思案するところから物語は始まる(コンポは処分済み)。まあ、LPをデータ化する録音マラソンをするわけです。この第一部の序盤、イーガンの音楽嗜好が多少わかるなと。基本的に80年代なんだな、イーガン。

「自分が二度と、ディーヴォとかザ・レジデンツとかヴァージン・プルーンズに金を出す気にならないのはわかっているが、だからといって、そのページを日記から破りとって、エルヴィス・コステロやザ・スミスといった高尚な一団に青春のすべてを捧げていたふりをするのも嫌だった。」 (P8)

「世に知られていないアルバムほど、いかがわしいアルバムほど、うんざりした気分にしかさせられないアルバムほど、それを自分の過去から削除することで失ってしまうものが大きかった。」 (P8)

 ……いや、なんというかね、このくだり読んでいて非常に身につまされるんですが……。イーガンの音楽嗜好は、この'97年のインタビューでもちょろっとわかる。「自分の音楽的な興味はほとんど80年代から来てるよ。エルヴィス・コステ ロ、ハンターズ&コレクターズ、ポール・ケリー、ザ・スミス、ヴァイオレント・ファムズ」「―よくJJJ (※オーストラリアのオルタナティヴ・ロック系ラジオ http://www.abc.net.au/triplej/ )を聴いてて、だいたい好きだね。――比較的新しいのだとBECKとThey Might Be Giantsのアルバムを持ってるよ」

http://gregegan.customer.netspace.net.au/INTERVIEWS/Interviews.html


 また、作中にはペルシア叙事詩「王書(シャー・ナーメ)」の名称が頻出する。王書の原典は面白のでオススメですよ。悪堕ち聖王ジャムシード、蛇王ザッハーク、英雄ロスタム、霊鳥スィームルグとかキャラ立ち連中ばかりだし、今なお創作作品にパクられるのも納得。


王書―古代ペルシャの神話・伝説 (岩波文庫)
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 あと、マーティンが宗派を聞かれて「聖コルトレーン教会」とのたまうくだりがあるんだけど、ジョン・コルトレーンを祀った聖コルトレーン教会はこういうところです。


http://www.coltranechurch.org

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