2015年6月5日金曜日

「演劇実験室◎万有引力」関連メンバーを擁する、異形の劇場型プログレッシヴ・メタル ― LOSZEAL『Ideal World』(2015)

Ideal World
Ideal World
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Loszeal
Black-listed Records (2015-03-27)
売り上げランキング: 52,186


 実力派国産ヘヴィ・メタル/プログレッシヴ・メタルバンドの発掘に力を入れているBlack-listed recordsからの強力なリリース。2007年に結成され、さかもとえいぞう氏のEIZO Japanへのアレンジャー/サポートでの参加歴のほか、メロディック・スピード・メタル・バンド KNIGHTS OF ROUNDのメンバーでもあるCaesarこと本郷拓馬氏(bass, chapman stick)、Ryusaこと山田龍佐氏(guitars, programming)を中心とするプログレッシヴ・メタル・プロジェクト LOSZEALのデビューフルアルバム。また、本郷氏はJ.A.シーザー氏が主宰する演劇実験室◎万有引力の劇伴演奏バンド AsianCrackBANDにもメンバーとして名を連ねており、そこでの共演がきっかけとなり、舞台役者の蜂谷眞未さん(「身毒丸」撫子役など)とオペラ歌手の竹林加寿子さん(市街劇「人力飛行機ソロモン」、「阿呆船」など)のおふたりをヴォーカル/コーラスに起用することになったそうです。ドラマーやキーボーディストは不在で、山田氏のアレンジ/プログラミングでカヴァーされています。



 90年代以降のプログレッシヴ・メタルをベースに、ラテン、ジャズ/フュージョンなど本郷、山田 両氏の嗜好するエッセンスを投入したサウンドは、キーボード/ドラムスをプログラミングでまかなっているためにやや直線的に感じるところもありますが、技巧とドラマ性を兼ね備えたしっかりとした骨子のあるものです。そして、その魅力をさらに引き出しているのが蜂谷さんのヴォーカル。彼女はメタルタイプの楽曲を歌うのは初めてだったということですが、培ってきた地力の成せる業なのでしょうか、スキャットやソウルフルな節回し、そして演劇のノウハウも込みのヴォーカルパフォーマンスはバンドサウンドにまったく引けをとらない堂々たるものであり、バンドの強烈な個性として申し分のない存在感を示しています。ときにみせる迫力の女傑っぷりは、まさに「君臨する」といった印象すら感じさせます。インストゥルメンタルからの冒頭曲 "懶惰、断絶"は、妖しいフックを搭載した、まさに異形のキラーチューンと呼ぶにふさわしいものです。続く "Repeat Itself"はキャッチーなサビと、ハードなエッジを兼ね備えたメロディック・スピードメタル。"Adaptation:uoitatdapV"はカッティングギターとロングトーンのギターソロをフィーチャーしたフュージョン・タッチのゆったりとした一曲。再びハードエッジな "Freak Outsider"は、加速度的なソロパートと振り絞るようなヴォーカルが聴きものです。 "天長地久"終盤では経文めいたバッキングヴォーカルも飛び出し、ややJ.A.シーザー風。ラストは11分近いタイトル曲で幕を閉じます。インストを含め曲数は七曲と少なめですが、そのぶん見せたいものをハッキリとさせています。なお、アルバムのライナーノーツはJ.A.シーザー氏によるもの。KING CRIMSONやOSANNA、COMUSの名前を挙げられながらのめくるめくイメージとともに、「情熱的、情愛的なロック」と本作を形容されておりました、



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蜂谷眞未 公式サイト

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