2015年6月8日月曜日

グスタボ・マラホビッチ『ブエノスアイレスに消えた (El jardín de bronce)』(2012)

ブエノスアイレスに消えた (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
グスタボ マラホビッチ
早川書房
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▼グスタボ・マラホビッチ『ブエノスアイレスに消えた』を読んだ。2012年に刊行されたものの邦訳。二段組600ページ近い、すんごく長いアルゼンチン・ミステリ。作品の舞台は1999年のブエノスアイレス。誘拐された娘を捜す父親の話だけど、あまりにも気の長い話で、展開がまた○○○○なので、別の意味でも感心してしまう。サスペンスというほどではないけど、常にやりきれなさ、焦燥感が漂っている。訳者あとがきで、主人公が携わる失踪人捜索という作業には、(70年代末から80年代半ばにかけての〈汚い戦争〉という国家テロで数多くの行方不明者を出 した)アルゼンチンの歴史的背景もあるのではないかと触れられていたが、作品全編から感じる暗さをみるにつけ、なるほどと感じるものもあった。主人公はファビアンという、夫婦関係もあまりよろしくないくたびれたおじさんなのだけど、Pere Ubuやペンギン・カフェ・オーケストラを聴いてたり、CAMELは70年代のほうが好きなんだがなあとボヤくシーンがあったりしたので、個人的に親近感が湧いた。

「カーラジオからキャメルというロック・グループの曲が流れてきた。八〇年代のラジオを席捲した『ロング・グッドバイ』だ。ファビアンとしては、キャメルは七〇年代のほうが好みなのだが」(P248)

 このくだり、アルゼンチンのラジオもそうだったのか、という驚きみたいなものがあった。“Long Goodbye”はCAMELがベルリンの壁による東西分裂をテーマに'84年に発表した『Stationary Travelller』のなかの一曲。フェビアンが70年代のほうが好みというのはわかるのだが、80年代もいいぞ。 あと、端役で音楽DVDのコレクターのピューマというのが出てくるのだけど、やたら「マイク・オールドフィールドのDVD」をみせたがるらしく、クスっ とした。「彼の守備範囲はピンク・フロイドからジャン・ミッシェル・ジャールまでと幅広い」、それは幅広いというか、ただのプログレ志向なおっさんなだけなのでは……。




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