2015年5月22日金曜日

映画『セッション (Whiplash)』雑感

「セッション」観た。よかった。破滅スレスレの血みどろの削り合いのなかでしか交感できない野郎ふたりの音楽を介しての殺伐ショー。日和るどころか最後まで互いにプライドをへし折り合うという。もはや死んでも治らなさそうなどうしようもなさひっくるめての魅力だなと思った。最初に出てくるポスターに“無能な奴はロックをやれ”とあるけど、ラストを考えるとなんだかんだでこれに尽きる感はやっぱりあるよな。ニーマンもフレッチャーもジャズの世界で何者かになろうとして結局のところ何者にもなり損ねているし(でもプライドの殺し合いは最後までする)。「セッション」でのジャズというか音楽の扱い方は、ゴッソリと中抜きして単純化して表面化して極端にしてるので、そのあたりは観ていて違和感はかなりあるわけだけど、それら全部を見越した上での「うるせえ聴いて死ね!!」という問答無用感で全部持っていく。そのへんが一方で強力なカタルシス要因なんだよね。観ている方は自分の理性が邪魔になってくる。フレッチャー親父が作中でこぼす「世の中甘くなった、ジャズが死ぬわけだ」というセリフも、普通の文脈でとれば何いってんだこの老害という印象にしかならないわけだけど、吐いてる本人が己の求める音楽のために結果的に人ひとり殺してしまうことも厭わない純粋な、あまりにも純粋な狂人なので味わい深い印象になる。殺し合いのなかにこそ対話の可能性がある、みたいな。




▼「セッション」のメインテーマであるハンク・レヴィの“Whiplash”は七拍子の曲なわけだけど、オリジナル・ヴァージョンはドン・エリスの’73年のアルバム『Soaring』に収録。エリスは変拍子ジャズの鬼なのでプログレ方面からの受けもよい。せっかく取り上げられたんだからドン・エリスの『Soaring』を再発してくださいよぉ。





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