2014年8月31日日曜日

エンニオ・モリコーネも在籍した即興サイケデリック・ジャズ・ロック・グループ ― The Group『Feed-Back』(1970/2014 Remaster)

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(2014/07/29)
Group

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エンニオ・モリコーネといえば、『荒野の用心棒』などのマカロニ・ウエスタン作品でキャリアの一時代を築き、『遊星からの物体X』 『海の上のピアニスト』など数多くの映画音楽を手がけた言わずもがなの巨匠でありますが、映画音楽制作の一方で演奏家としても活動しておりました。それが今回ご紹介する、The Group。正式なグループ名はGruppo di Improvvisazione di Nuova Consonanza(直訳すれば即興新協和音集団というところでしょうか?)という長いものですが、海外リリースの際には省略されて前述のThe Groupや、Il Gruppoなどと表記されたりもします。現代音楽方面で活動したコンポーザーのフランコ・エヴァンジェリスティ(Franco Evangelisti/1926-1980)を中心として'64年に結成されたThe Groupは、'66年にアルバム『Nuova Consonanza』(北米盤では『The Private Sea Of Dreams』というタイトルでリリース/共に未CD化)でデビュー。主要メンバーはフランコと、トランペット/フルート担当のモリコーネ、パーカッション/チェレステ/ストリングス担当のエジスト・マッキ(Egisto Macchi/1928-1992)の三人であります。ちなみに、エジストもモリコーネと同様に映画音楽家であり、マカロニものの『バンディドス』(1966)や、アラン・ドロンが主演した『暗殺者のメロディ』(1972) 『パリの灯は遠く』(1976)などの劇伴や、いくつかのライブラリー音楽を残しております。また、グループにゲストとして参加した面々の中には、ポーランド系ピアニストのフレデリック・アンソニー・ジェフスキーや、現代音楽作曲家のマリオ・ベルトンチーニといった名前もあります。





'70年の10月に発表された本作『The-Feed Back』は、'68/'69年にドイツのグラモフォンよりリリースされた『Improvisationen』に続く三枚目のアルバム。時期的にはモリコーネが『シシリアン』『狼の挽歌』 『真昼の死闘』などのスコア制作の合間を縫って録音されたものと言えましょうか。収録曲は7分、6分、15分の三曲からなり、いずれもサイケデリック・ロック、ファンク、フリージャズ、ノイズが渾然となった非常にフリーフォームな内容。左右にチャンネルを振りまくるファズギターやシタール、瀕死の象のように引きずるトランペット、タイトなビートをカクシャクと刻み続けるドラムが三者三様に展開され、そこに軋んだ旋律を奏でるヴァイオリンや、咳き込み、呻き、舌なめずりも挿入されるという、あまり体調のよろしくないときに聴くと、そのままダウナーな方向にズルズルと引っ張られかねないパワーもある(実際、聴いてて体調を崩しかけました)アヴァンギャルドな暴れっぷりを堪能できます。本作のゲストメンバーは五人ほどおりますが、ドラムスのヴィンチェンツォ・レストルシア(Vincenzo Restuccia)は、モリコーネの『続・夕陽のガンマン』のスコアや、ルシオ・バッティスティやファブリツィオ・デ・アンドレといったカンタトゥーレの諸作、コアなところではイタリアン・キーボード・プログレの隠れ名盤として名の挙がるサンジュリアーノのアルバムなどにも参加するヴェテランです。グループの前衛ジャズ/現代音楽的な作風は同時期にモリコーネが手がけたいくつかのスコアにも反映されていたようで、グループがスコアを演奏したサスペンス映画『冷酷なる瞳』(監督:エンツォ・G・カステラッリ/1970)や、『怪奇な恋の物語』(監督:エリオ・ペトリ/1969)で垣間見ることができます。


『冷酷なる瞳(Gli occhi freddi della paura)』のスコア



本作の後には『Nuova Consonanza』(1975) 『Musica su Schemi』(1976)の二枚のアルバムが出ており、後者はAREA/デメトリオ・ストラトスをはじめ、数々のイタリアン・ロック・アーティストや前衛音楽家のカタログを擁したことでも知られるCramps Recordsからのリリースでありました(後年、ストレンジデイズレーベルから国内盤も出ています)。このまま順調な活動が続いていくはずでありましたが、'80年にリーダーのフランコが逝去したことにより、グループは自然消滅の道を辿ることになります。解散から既に数十年以上経っておりますが、グループの名前は同名の現代音楽フェスティバルに引き継がれ、現在も定期的に開催されております。また、彼らのアルバムはサンプリングのネタやコレクターズアイテムとしても人気が高く、オリジナルLP盤は今なお高値で取引されているようです。そういう流れもあってか、リイシューや発掘の動きも近年とみに活発になってきており、2006年には未発表音源収録の二枚組CDとドキュメンタリーDVDをセットにしたBOX『Azioni』(ライナーノーツにはジョン・ゾーンも寄稿しています)が、2010年には『Niente』、2011年には『Eroina』という発掘音源集がそれぞれリリースされております。本作も、今年に入ってめでたくイタリアのSchemaレーベルより再発LPとCDがリリースされました。帯に書かれていたアルバムの説明は、音楽系ブログで書かれたレビューの引用というのも時代の流れを感じます。そこではCANやNEU!といったクラウト・ロック・バンドのも引き合いに出されていましたが、確かにユルユルのサイケデリック性という側面もあるので、それも頷けるものがありますね。


ドキュメンタリー映像の一部



Gruppo di Improvvisazione di Nuova Consonanza - Discogs
Gruppo di Improvvisazione di Nuova Consonanza - Wikipedia
エンニオ・モリコーネ - Wikipedia
Associazione Nuova Consonanza

2014年8月24日日曜日

さらなる世界観の広がりを求めて邁進する、プログレッシヴ・フュージョン ユニットの四作目 ― Lu7『Azurite Dance』(2014)

Azurite DanceAzurite Dance
(2014/07/26)
Lu7

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古くはタカラのチョロQ3、近年はロックマンZEROやZXシリーズ、ぎゃる☆がん といったインティ・クリエイツのゲーム作品の楽曲に携わられているコンポーザーの梅垣ルナさんと、ロック・バンドEUROXのメンバーであり、セッション・ミュージシャンとしてインティ作品をはじめ様々なレコーディングに参加されているギタリストの栗原務氏の二人を中心としたフュージョン・ユニット Lu7の四年ぶり四作目となるアルバム。前作『Bonito』でも全面的に参加されていた岡田治郎氏(b / PRISM)嶋村一徳氏(ds)の両氏による安定感たっぷりのリズム隊のほか、パーカッショニストやヴァイオリニストなどのゲスト・ミュージシャンを迎えて制作されたのが本作。同じく多くのゲストを迎えた二作目『L'esprit de l'exil』(2005)にも参加された糸賀徹氏(vo.chorus)や、徳島由莉さん(vln)はインティのサウンドトラック作品でも名前が見られるので、いわばお仕事仲間でもあるわけですね。

梅垣さんのクラシカル/ニューエイジ的センスも織り込んだクリアーなアレンジや、アラン・ホールズワースからの影響を強く感じさせる栗原氏のテクニカルで輪郭のハッキリしたギタープレイがLu7の特徴です。前作ではハードなプログレッシヴ・フュージョン/ジャズ・ロックにグッと踏み込んだシャープな楽曲を中心に展開しており、これまでのアルバムの路線に一区切りをつけた仕上がりにもなっていました。今回は冒頭のタイトルチューンや、スタイリッシュなたたずまいでゆるやかな時間の流れるピアノ・ジャズ・ロック"One Screw Short"などでユニットの持ち味は継承しつつも、さらなる世界観の広がりを求めているという印象を感じました。栗原氏の伸びやかなギターに呼応するかのように糸賀氏が力強いヴォイス・パフォーマンスを聴かせるデジタリーなフュージョン"Raw Ore"や、ヴァイオリンやマリンバをフィーチャーし、曲名さながらの牧歌的な光景(インスピレーションはクロード・モネの一連の絵画からでしょうか)をイメージさせる"積みわらの歌"、そしてストリングスとクラリネットも迎えたラストのアコースティック・インスト"おかえり"と、いずれも暖かみと情緒を感じさせてくれます。

ギター主体の"Rim Light"、シンセサイザー主体の"Dunes in Ancient Times"といった小品やインタールードがアルバム中間部にいくつも差し挟まれているのも本作の特徴ですが、それは後に控える12分に及ぶLu7史上最長の楽曲"トキヲコエテソラニカエリ"への布石といったところでしょうか。同曲はこれまでになくシンフォニック・ロック/プログレッシヴ・ロックに接近したかなりの意欲的な大曲であり、チャーチ・オルガン、モーグ、ピアノが入れかわり立ちかわり登場するキーボード・プログレ曲でもあります。構成の込み入り具合も随一。四ピース・バンドとしての側面もあるLu7が持てるポテンシャルを存分に引き出したガチンコの演奏がギュッと詰め込まれています。アルバム恒例となっている近代クラシック音楽のカヴァーですが、本作はクロード・ドビュッシーの"雨の庭"と、フィリップ・ゴーベールの"Berceuse"(子守唄)をカヴァーしています。前者はガットギターとピアノが息もつかせず併走するスリリングなアレンジ、後者はピアノとフルートに代わり、メロディオンとパーカッションを主体にしたラウンジ調のまったりとしたアレンジです。

メンバー二人のヴィジュアルが初めて前に出た都会的なイメージのアルバムジャケットにも表れているように、さらなる進化を求めるユニットの姿勢が伝わってくるアルバムになっています。11月はじめには六本木でレコ発ライヴもあるとのこと。



Lu7 - Official Site
Music Production CRYSTA Inc.(お二人が在籍されている音楽制作会社)
Luna Umegaki - VGMdb
Tsutomu Kurihara - VGMdb

2014年8月20日水曜日

ペストマスクと黒衣、怪奇と幻想を身にまとった、英国の新鋭プログレッシヴ・ロック・バンド ― The Osiris Club『Blazing World』(2014)

Blazing WorldBlazing World
(2014/06/30)
Osiris Club

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https://itunes.apple.com/jp/album/blazing-world/id876480193

メンバー全員がペストマスクと黒いローブを着用しているという、何ともインパクトのある出で立ちのサイケデリック・プログレッシヴ・ロック・バンドが、イギリスから出てきました。その名もThe Osiris Club。怪奇小説やホラー映画に触発されたアヴァンギャルド・メタル・プロジェクトを母体としており、この五人編成のバンドの中核となっているのが、ツインギターの一角を担うChrisFullardと、ドラムスのAndrew Prestidge。シンセサイザーもプレイしているほか、ソングライティングも担当しています。さらに付け加えるならば、二人はNWOBHMの古参バンドのひとつであるANGEL WITCHの元/現メンバーであるということでしょうか。バンドが影響を受けたものとして挙げているものの中には、VOIVOD、KING CRIMSON、RUSH、CARDIACS、GOBLIN、ジョン・カーペンター、ダリオ・アルジェント、ジョージ・A・ロメロ、アラン・ムーア、マイク・ミニョーラ、H.P.ラヴクラフト、アーサー・マッケン、M.R.ジェイムズの名前があり、幻想怪奇小説/映画とプログレッシヴ・ロックがこのバンドの根幹を成す二大要素であることがわかります。

The Blazing WorldThe Blazing World
(2014/03/16)
Margaret Cavendish

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今回ご紹介するデビューアルバム『Blazing World』は、バンド結成から数年間の試行錯誤を経て完成した労作です。マスタリングを手がけたのは、サイケデリック・ロック・バンド Master Musicians of Bukkakeのフロントマンであり、SUNN O)))やBorisなどのプロデュースでも著名な Randall Dunn。アルバムタイトルや楽曲のコンセプトは、17世紀の英国の作家マーガレット・キャヴェンディッシュ(Margaret Cavendish/1623‐1673)が著したユートピア小説『The Blazing World(燃える世界)』からとられております。この作品はSF小説の源流とも言われており、アラン・ムーアやチャイナ・ミエヴィルといった当代髄一の作家が同作から少なからず影響を受けているようです。バンドが本作を制作したモチベーションのひとつには、半ば忘れ去られた作家となっている彼女の思想やヴィジョンを現代に伝えたいという思いも強くあるのだそうな。

公式サイトのバイオグラフィでは「70年代プログレッシヴ・ロックと、80年代のポスト・パンク、そして90年代のエクストリーム・ロックの最良の部分を抽出して作り上げたサウンド」とも形容されている通り、サウンドはなるほど温故知新な方向性の強いもの。結果的には、HAWKWINDのようなスペース・ロックや、PORCUPINE TREEなどのモダン・プログレにもつながるものも見出せます。スペイシーなシンセサイザーや、ゆらめくメロトロンの音色をバックに配した楽曲はミステリアスな雰囲気をまといながらも、基本的にはコンパクトでメリハリのある仕上がり。物憂げで暗示をかけるようなヴォーカルと、ヘヴィながらもユルめのギターに対して、リズム隊がハッキリとビートを刻んでいるのが大きいのだと思います。間違いなくKING CRIMSONからの影響下にあるヘヴィ・プログレの色合いを滲ませながら、サイケデリック・ロックとポスト・パンクを行き来するという、この妙なフットワークの軽さが彼らの味になっています。それが如実に出ているのが、どこかスウィートな味のある"Mystery Sells"や、アルバムのラストをめまぐるしく飾る"Miles and Miles Away"ではないかと。サックスも交えてよりルーズなハードロックとしての趣を醸す"Seize Decay"や、コズミック・チェンバー・ロック・バンド CHROME HOOFSarah Andersonが客演し、キレのあるヴァイオリン・プレイでアクセントを与えた"A Blazing World"も耳を惹く仕上がりです。



サウンド的にもコンセプト的にも夢幻境を目指すような姿勢があり、ペストマスクに黒衣という出で立ちも、決して奇をてらったものではないというのがよくわかります。また、アルバムのジャケットやライヴのフライヤーがまた退廃的な雰囲気を伝えるものなのも見逃せないところ。ジャケットのアートワークはAndrew自らの手によるものであり、彼の多才さが伺えます。



The Osiris Club - Official Site
The Osiris Club - facebook
Margaret Cavendish - Wikipedia
The Blazing World - Wikipedia

2014年8月14日木曜日

全霊を込めた大傑作 ― ASTURIAS『In Search of the Soul Trees (樹霊)』(2008)

樹霊 デラックス・エディション (IN SEARCH OF THE SOUL TREES)樹霊 デラックス・エディション (IN SEARCH OF THE SOUL TREES)
(2014/04/23)
アストゥーリアス、ASTURIAS 他

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ニトロプラスのサウンドチーム ZIZZのコンポーザーでもある大山曜氏が80年代から活動を続けているプログレッシヴ・ロック・バンド アストゥーリアス。近年はアコースティック/エレクトリック編成でも活動を展開しておりますが、本丸は大山氏自身の多重録音を軸としたこのオリジナル・アストゥーリアス(通称マルチ・アストゥーリアス)。'93年発表の三作目『Cryptogam Illusion』をもって活動を休止していたのですが、2003年にアコースティック・アストゥーリアスとして活動を再開してから数年の歳月を経て、2008年に満を持してリリースされたのが本作です。「『Tubular Bells』に端を発するマイク・オールドフィールドの初期三部作の雰囲気にこだわりつつも、アストゥーリアスとしての世界観をどこまで表現できるか」ということに挑戦し、制作に実に五年以上の歳月を費やしたという、リーダーの大山氏の並々ならぬ熱意と意欲には本当に頭が下がる思いです。レコーディングには長年の盟友である新月の津田治彦氏(g)、花本彰氏(mellotron)をはじめ、アコースティック・アストゥーリアス / ZIZZのメンバー、さらにFLAT122から平田聡氏(g)、Lu7栗原務氏(g)も参加。そしてマスタリング・エンジニアにはKBBDani氏と、まさに磐石の編成もって制作されております。

大山氏がコンポーザーとして参加されたキャラメルBOXの「シャマナシャマナ~月とこころと太陽の魔法~」、ニトロプラスの「Lamento」 「The Cyber Slayer 鬼哭街」のBGMのリ・アレンジも織り込まれた、全10曲50分という一大組曲を二部構成で展開される本作。アコースティック・アストゥーリアスを経てより味わい深くなった音の旨味もさることながら、各パートが途切れることなく塗り重なっていくことで生まれる重厚な展開や、次から次へと押し寄せてくる静かな昂ぶりに揺さぶられ、芯から伝わってくる誠実さはやはりアストゥーリアスだなと改めて実感させられました。随所に見られる愛に溢れたオマージュや、ソフトでファンタジックな雰囲気の中、つづれおりのように迸る情念が生み出す心地良い流れが、至福のひとときを味わわせてくれます。

13/8拍子でミニマリスティックに展開される"spirits(精霊の踊り)"でアルバムは幕開け。多重ギターの重厚な絡みに圧倒される"revelation(啓示)"。パーカッシヴなリズムの上をギターソロが浮遊し清浄なコーラスが響いてゆく"reincarnation(輪廻転生)"。ピアノがグッとフィーチャーされ、メロディの躍動がより際立ってくる"fountain(源流)"は最初の山場ともいえる楽曲です。ヴァイオリンやパーカッション、コーラスが重厚な層をなし、うっそうとしたイメージを喚起させる"woods(迷いの森)"は、「Lamento」の同名曲のアレンジ。この曲はまた、本作のコンセプト・イメージの源流にもなったそうです。前半五曲は、まさに神秘の森の奥深くへ誘われるかのような流れになっております。

そして、後半部からクライマックスの一連の流れには終始圧倒されっぱなしでした。「シャマナシャマナ」の"エレメンツ"のアレンジである"pilgrimage(巡礼)"は、マイク・オールドフィールド『Hergest Ridge』からのイメージにも繋がる、抜けるように広大な高原を思わせる爽やかなギター・インスト。"paradise(雲上の楽園)"は箱庭のような情緒も感じさせる愛らしいメロディに彩られた1曲。この曲は結構な難産だったようですが、それだけに大山氏の根幹部分がより垣間見えるものになってるように思います。続く"woods storm(嵐)"はバキバキのベースとヘヴィなメロトロンも重なるハード・プログレッシヴなパート(なるほどYESの"Heart of Sunrise"へのオマージュ)と、アストル・ピアソラ オマージュの情熱的なタンゴ・パートを備えた展開で一気にテンションを最高潮にまで昂ぶらせてゆきます。アルバムのクライマックス部分である"soul trees(木霊)"は、ここに至るまでに抑え込んできたエネルギーを、熱を帯びたソロパートを交えて吐き出し続ける10分の長曲。哀しみと狂おしさを孕みながら、怒涛のフィナーレへと突き進んでゆきます。最後は、滲み出してくるギタートーンとつつましやかなピアノの旋律が長きに渡る余韻を残して静かに去っていく"dawn(夜明け)"(「鬼哭街」の"Vow of Sword"のアレンジ)で、アルバムは幕を閉じます。個々の楽曲としてももちろん、アルバムとしての統一性も飛びぬけて出色であり、ひとたび聴けば心揺さぶられる。静かなる怒涛の展開美に貫かれた大傑作アルバムです。大山氏がこれまでに培ってきたものを遺憾なく吐き出した揺るぎのない集大成的作品に、心から賞賛を送りたいです。

本作は2014年に紙ジャケット仕様のリマスター版でリリースされ、ボーナストラックとして『Cryptogam Illusion』(1993)収録の"dança das borboletas"の2014年ヴァージョンが新たに追加されております。もともと"soul trees(木霊)"は同曲のイメージを意識して制作に着手されたということもあって、本編楽曲と何ら遜色なく収まっており、1993年と2014年の間にある二十年近い歳月を融和させたような、そんな趣を感じさせる仕上がりにもなっています。



ASTURIAS:公式
樹霊-イン・サーチ・オブ・ザ・ソウル・トゥリーズ- 完成にあたって ~前編~
樹霊-イン・サーチ・オブ・ザ・ソウル・トゥリーズ- 完成にあたって ~後編~

大山曜:Wikipedia

2014年8月13日水曜日

ZIZZ(磯江俊道/大山曜/神保伸太郎)『The Cyber Slayer 鬼哭街 サウンドトラック』(2002)

鬼哭街 サウンドトラック鬼哭街 サウンドトラック
(2002/05/03)
ゲームミュージック

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2002年3月にニトロプラスから発表されたノベルアドベンチャーゲーム『鬼哭街』。選択肢が一切ないという思い切ったゲーム仕様もさることながら、サイバーパンクと武侠小説を融合させた復讐譚というコンセプト、シナリオを手がけた虚淵玄氏の「脊髄の赴くままに書いてしまった」という言葉も今では語り草となっている名作。初期ニトロプラスの代表作のひとつであり、2011年には全年齢版も発表されたほか、2005年に角川スニーカー文庫から二分冊で刊行されたノベライズ版も2013年に合本版として再刊されるなど、今なお根強い人気を誇る作品であります。本作を彩るBGM群も、作品の根幹に奥深く喰いこみ、演出を盛り上げる以上の役割を果たしているものばかりです。



ニトロプラスのサウンドチーム ZIZZによるサウンドトラックは、本編14曲にリミックス/インストゥルメンタル版 各1曲を収録した全16曲。プロデュースは磯江俊道氏。コンポーザーは磯江氏、大山曜氏、神保伸太郎氏の三名。楽曲のギターとベースパートは、大山氏と神保氏のお二人の演奏によるものです。神保氏作曲の"Rusty City, misty Night" "Nightseeker"の2曲は、ギターのロングトーンやクリーントーンのアルペジオを中心とした渋い仕上がり。ちなみに、翌年の『沙耶の歌』は神保氏がメインで楽曲を手がけられておりますが、そこでは乾いたヘヴィな感触がより深く踏み込まれます。磯江氏の楽曲は、中国語での喧騒も入り混じる"The Cyberslayer"や、スピーディーなデジロックチューン"Sworddancer I&II"。ピアノ・インストゥルメンタルの"Doll's Tear" "Dark Region"馬高彦(マ・ガオイェン)氏の演奏する二胡の響きもフィーチャーされた"Riverside History"の6曲。無頼にして孤高のイメージや、幽玄にして遥かなる情景、複雑な心境までを見事に描き出しています。大山氏の楽曲はメロディが際立っており、心揺さぶられる瞬間が何度もあります。虚淵氏をして「この曲があってこそ『鬼哭街』は完成する」と言わしめた、いとうかなこさんの歌う主題歌 "涙尽鈴音響"を筆頭に、"Acid rain" "Memento Bell"のような暖かみと神秘的なトーンに包まれた楽曲。けぶるようなギタートーンとつつましいピアノの旋律が夜明けをイメージさせる"Vow of sword"や、エレクトリック・プログレッシヴ・ロックとでも形容したくなる趣の"Fullmetal Kung=fu"。極めつけは、ダンサブルなビートの上をシンセのメロディが扇情的にリードしてゆく戦闘曲"Supersonic Showdown"。まさに昂ぶりを感じさせるキラーチューンであり、本作を象徴する楽曲と言っても過言ではありません。



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01. 涙尽鈴音響 (作詞:江幡育子/作編曲:大山曜/歌:いとうかなこ)
02. Acid rain (作編曲:大山曜)
03. Vow of sword (作編曲:大山曜)
04. The Cyberslayer (作編曲:磯江俊道)
05. Riverside History (作編曲:磯江俊道)
06. Rusty City, misty Night (作編曲:神保伸太郞)
07. Doll's Tear (作編曲:磯江俊道)
08. Sworddancer I (作編曲:磯江俊道)
09. Memento Bell (作編曲:大山曜)
10. Nightseeker (作編曲:神保伸太郞)
11. Dark Region(作編曲:磯江俊道)
12. Supersonic Showdown (作編曲:大山曜)
13. Sworddancer II(作編曲:磯江俊道)
14. Fullmetal Kung=fu (作編曲:大山曜)
15. Supersonic Showdown [Remix] (作編曲:大山曜)
16. 涙尽鈴音響 [Instrumental] (作編曲:大山曜)

[品番なし](2002.5.3)

Sound Produced: ZIZZ
Producer: 磯江俊道
Co-Producer: 江幡育子
Composer: 磯江俊道/大山曜/神保伸太郎
Guitar&Bass: 大山曜/神保伸太郎
胡弓: 馬高彦

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鬼哭街 (星海社文庫)鬼哭街 (星海社文庫)
(2013/10/11)
虚淵 玄、中央東口 他

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鬼哭街
鬼哭街 - Wikipedia
ZIZZ STUDIO
「The Cyber Slayer 鬼哭街 オリジナルサウンドトラック」 - ZIZZ STUDIO

なお、2011年の全年齢リメイク版では、新たなイメージソング"Soul For The Sword"(作詞:江幡育子/作編曲:大山曜/歌:いとうかなこ)を収録。同曲はダウンロード販売で入手できます。

https://itunes.apple.com/jp/album/soul-for-the-sword/id446078937


また、"Vow of sword"は、大山氏が率いるプログレッシヴ・ロック・バンド ASTURIASが2008年に発表したアルバム『In Search of the Soul Trees (樹霊)』でリメイクされることとなります。

樹霊 デラックス・エディション (IN SEARCH OF THE SOUL TREES)樹霊 デラックス・エディション (IN SEARCH OF THE SOUL TREES)
(2014/04/23)
アストゥーリアス、ASTURIAS 他

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2014年8月7日木曜日

二台のテルミンでプログレッシヴ・ロックを奏でる異色デュオ - andmo'『Unidentified Mystic Aether』(2013)



 物理学者にして大学教授、SF翻訳・評論家でもある菊池誠氏と、多くのバンドやセッションなどにも参加されているテルミン奏者の児嶋佐織さん、二人の奏者によるテルミン・デュオ・ユニット andmo'(アンドモ)の1stEP。活動歴は長く、結成は2005年にまでさかのぼります。当初は「theremin unit :and_more...」と言うユニット名でカヴァーを中心に演奏していたとのこと。数年ほど前に関西に住んでいた頃、チラリとユニットの名前を見かけたことがありましたが、なるほど、こんな音楽性だったんだなあと。菊地氏が解説を書かれたルーディ・ラッカー作品(『時空ドーナツ』は私のフェイバリットな一冊です)や、翻訳を手がけられたフィリップ・K・ディックのジュヴナイルSF『ニックとグリマング』に個人的に親しんでいたこともあり、何というか数年越しの感慨めいたものがありました。




 楽曲にはギターやカリンバ、シンセサイザーも導入されていますが、基本は二台のテルミンを主体とした演奏であり、テルミンでメロディラインを奏でているというところがミソであります。テルミン特有のあのおどろおどろしさというか、スペイシーに揺らぐ音色で即興的にアンビエントな空間を創り上げる"Tsubutsubu"で、まずは異空間への小手調べ。続く"UMA2"は、アコースティック・ギターのフォーキーな響きや、エレクトリック・ギター&ベースのヘヴィな刻みも伴いながら、テルミンによるたっぷりとした郷愁のメロディをフィーチャーした1曲。親交が深く、たびたびライヴなどで共演もされているZABADAKの吉良知彦氏と小峰公子さんのご両人がそれぞれベース、ヴォイスで参加されています。そういうこともあって、この曲はZABADAKの作風に近い、異国情緒を感じさせる仕上がりになっています。"B.Rex"はエレクトリック・ギターによるリフの反復の上でテルミンの即興が繰り広げられるという、プログレッシヴ・ロック色の強い1曲。曲名はハシビコロウの学名であるBalaeniceps Rexから来ており、そう聞くと、なんだか虎視眈々としたイメージも感じます。"Tsubutsubu(Reprise)"は、1曲目の別アレンジ&リプライズ。まさに二台のテルミンの交信であり、あちこちに交錯する音色の響きの行く先を追っかけていると、こちらの意識もうっかりあらぬ方向に飛びそうになります。ラストは13分を越える大曲"Relenza In The Night"。枯れた情景をイメージさせるミニマルな展開が続いていくうちに、小峰公子さんによるエロティックなヴォイスや、各種SE、重苦しいピアノ、掻き毟るかのようなギターのフレーズが徐々に重なり、混沌としながら緊張の度合いを増してゆくという、実験的趣向の強い内容になっています。編成のユニークさもさることながら、即興性とメロディの双方を両立させているという点でも、非常に面白いユニットだと思います。






andmo'
(CDの通販はこちらより)


【2015.07.13追記】
BRIDGEから7月25日より一般流通盤が出るそうです。

Unidentified Mystic Aether
Unidentified Mystic Aether
posted with amazlet at 15.07.13
andmo’ 小峰公子
インディーズ・メーカー (2015-07-25)
売り上げランキング: 2,675


2014年8月5日火曜日

奇才カナダ人、バンクーバーで炸裂~二作目の奇作をリリース ― Terrible Thing『Journey to the Centre of Zorn』(2014)



最近、個人的にユル~く推している、カナダはバンクーバーの謎のソロ・アーティスト Terrible Thingの2ndアルバムが、bandcampにて8月1日付でリリースされました。6月から7月にかけて相次いで単発リリースされた楽曲を中心とした全12曲のアルバムです。もちろんname your price。唯一、既発曲の中では"The Holy Mountain"だけ外されていますが、その一方で、アルバム用の新曲として"The Flat Circle"が収録されております。フォーク、スペース・ロック、プログレッシヴ・ロック、ミクスチャー・ロック、テクノ、ファンク、チップチューンを好き放題に詰め込み、チープな打ち込みサウンドすら、自身の作風の魅力に転化してしまう魅惑のゴッタ煮アルバム。是非ともお楽しみあれ。しかし、こうやってまとめて聴いてみると、改めてフランク・ザッパから強く影響を受けているんだなというのを感じます。『Tinsel Town Rebelion』をちょっと思い出したりしました。

アルバムは、「Shanghai Bicycle Chase」という意味不明な形容がなされた"Where Wallace At"で幕開け。続いて、GENTLE GIANTやKESTRELなどの70年代ブリティッシュ・プログレを思わせる牧歌的な1曲"Transmogrification Pertaining to the Destruction of Infinitesimal Biomechanical Organisms"へ。ちなみに、このやたらプログレッシヴに長いタイトルは、直訳すると「極微の生体力学的生物の破壊に関連する変容」。そして、みんな大好き(?)"Yuko San"。神秘的なサムライ・ウォリアー ユーコサンを称えたインチキ和風曲。厳かなアカペラのイントロ、チャカチャカと軽快な曲調、インチキ日本語も交えた、魅惑の珍曲です。ご丁寧にインチキ日本語の歌詞の部分も明記されましたが、"Kaijo damo kai senah yoyo makaru masa karuday shao zunaaaaaaah"という具合なので、解読は難しいです。ところで、"Why did she have to swallow my berries whole?"というラストの意味深な一説は、ユーコさんが人のキンタマを喰ったってことでいいんでしょうか? コワイ! 軽快なニューウェイヴ/テクノ・ポップな完全なる新曲"The Flat Circle"や、ドタバタ感のあるミクスチャー・ポップ"Bobby Baboon"を挟み、アルバムの目玉ともいえる"Chewbacca"へ。スター・ウォーズに登場するチューバッカについて歌ったトリッキーなヘヴィ・プログレ・チューン。この曲は二つの音楽的テーマを内包しているそうで、そのヒントはケヴィン・スミス(映画監督/脚本家)にあるそうです。

ここからは後半。コーラスワークもたっぷりと活かしたマイルドな味のピアノ・ロック・チューン"Prophet's Game"。ちょっと気持ち悪いコーラスワークと、粘着質なサビのフレーズで、少女シモーネについて歌った"Run Simone"。ちょっとマイケル・ジャクソン リスペクトな感もありながら、アーバンと形容するにはちょっとヘンなエレクトロ・ファンク"How Sweet The Grease"。8bit風サウンドの前半部とカントリー・テイストの後半部という、全くタイプの異なるパートで構成された"Spaceman Parts 1 and 2"は、クッキリ2曲に分割されて収録。歌詞は宇宙飛行士について歌っているのですが、デヴィッド・ボウイの名曲"Space Oddity"へのリスペクトも若干あるのではないかと思います。ラストは、ファンキーかつユーモラスなプログレッシヴ・インストゥルメンタル"The Almighty Singularity"で〆。

Terrible Thing - bandcamp

2014年8月3日日曜日

PENDRAGONのクライヴ・ノーランがプロデュースする、ポーランドの女性シンガーのソロアルバム ― Agnieszka Swita『Sleepless』(2014)

SleeplessSleepless
(2014/07/08)
Agnieszka Swita

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ポーランドの女性ヴォーカリスト Agnieszka Switaの1stソロアルバム。彼女は数年前より、PENDRAGONやARENA、SHADOWLANDといった多数のプログレッシヴ・ロック・バンドを股にかけるClive Nolanと組んだシンフォニック・ロック・ユニット CAAMORAでも活動しておりますが、ここにきてソロ名義での作品をリリースしました。NolanとAgnieszkaとの出会いは2005年頃まで遡り、CAAMORA名義としてはこれまでに3枚のEPと、冒険小説作家ヘンリー・ライダー・ハガードの「洞窟の女王」をモチーフとしたロック・オペラ・アルバム『She』、そして同アルバムの楽曲を演奏したライヴDVDと、アコースティック・ライヴアルバムを発表しております。また近時では、Nolanのプロデュースによるプログレッシヴ・ロック・ミュージカル「Alchemy」のキャストにも名を連ねており、精力的な活動を展開しています。

SheShe
(2008/02/28)
Caamora

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ソロアルバム、とは言っても本作のプロデュースはNolanであるので、実質的にCAAMORAの延長線上です。作風もいくらかゴシック・メタル寄りかなというくらいで、基本的にはバンドスタイルで展開するスケールの大きなシンフォニック・ロック・サウンドであります。CAAMORAでも遺憾なく発揮されておりましたが、Agnieszkaのヴォーカルの表現力はやはり卓越したものがあり、伸びやかさや力強さもさることながら、妖艶な側面の演出に長けています。ヴォーカル/コーラスを前面に押し出し、エッジの効いたバンドサウンドで仕上げられた「Cosmo」三部作をハイライトに掲げ、パワーバラード・スタイルの"Borderland" "In Her Arms"、エモーショナルなサビを設けたリードトラック的な"Trapped"、最後はプログレッシヴ・ロック・オペラな趣向をダイナミックに繰り広げる"Sleepless"といった、コンパクトな全10曲。安定感のある演奏とプロダクションで生み出された、秀逸な歌もの作品として首尾一貫した内容になっています。



アルバムのミキシング/マスタリングは、PENDRAGONのバンドメイトであるKarl Groom。バックバンドは、キーボードとオーケストレーションを担当するNolanを筆頭に、元IQのPaul MenelのバンドでもプレイしているギタリストのSteve Harris(もちろんIRON MAIDENの同名メンバーとは別人)、Twelfth NightJUMPなどへの参加歴もあるベーシスト Andy Faulkner、そして何より驚いたのが、先ごろDRAGONFORCEを脱退したDave Mackintoshがドラムスとして参加しているところです。彼がDRAGONFORCEを脱退したのは、プログレッシヴ・ロックがやりたくなったからというのもあるのだそうですが、なるほどこういう繋がりでやっていくのかと。実はDRAGONFORCEはPENDRAGONと浅からぬ関係があります。というのも、初期アルバムのミックス/エンジニア周りやプロデュースはKarlが担当していた上、Nolanは演奏やバッキングヴォーカルでアルバムにずっと参加しているからです。彼らのスタジオアルバムのクオリティの高さは、ひとえに彼らの力によるところも少なからずあったのではないかなと思います。

Agnieszka Swita - Official Site
Agnieszka Swita - YouTube
CAAMORA - ProgArchives
デイヴ・マッキントッシュ - Wikipedia

2014年8月2日土曜日

知る人ぞ知るジャーマン・プログレッシヴ・ハード・ロック・バンド、14年ぶりのカムバック作品 ― SOUL CAGES『Moon』(2013)



1990年ごろに結成され、90年代にMASSACRE RECORDSから3枚のアルバムをリリース、SAVIOUR MACHINEやVENI DOMINEといったバンドともツアーを行うなどしながらも。2000年代に入って完全に沈黙してしまったドイツのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンド SOUL CAGES。'94年のデビュー・アルバム『Soul Cages』は、かつてテイチクのインペリアルレコードから国内盤も出ていました(カナダのTILESやドイツのRICOCHETなど、テイチクやビクターは90年代にB級プログレ・ハードのカタログをちょくちょくリリースしていましたねえ)。そんな彼らですが、近年バンド活動を再開していたようで、2013年8月になんと14年ぶりとなる新作をリリース。それがこの『Moon』になります。ラインナップも、5人中4人は全てオリジナル・メンバー。前三作に参加していたベーシストのStephan Tiggesのみ不在ですが、彼に代わって、ヘヴィ・メタル・バンドSomewhere in Nowhereの元メンバーであるJörg Bodeが本作でプレイしています。マイルドな男女混成ヴォーカルと、RUSHやSAGA、FATES WARNING影響下のタイトなプログレ・ハード・サウンドは10年以上の歳月を経ても変わっておらず、若干渋さを称えた感はあるものの、精力的に活動していた90年代からそのまま地続きになっているという印象。華はないですが、抑制されたダイナミズムでじっくりと聴かせるタイプなので、B級サウンド好きのツボを否応なくくすぐる内容になっています。先ごろ、プログレッシヴ・ロック系ストリーミング試聴サイトである「Progstreaming」に、アルバムの全曲がフルサイズでアップされました。期間限定ですので、視聴はお早めに。

Progstreaming - SOUL CAGES 『MOON』



SOUL CAGES - Official Site
SOUL CAGES - Encyclopedia Metallum
SOUL CAGES - ProgArchives