2014年12月4日木曜日

ZABADAK『20th』(2006)

前のブログで2006年書いたエントリの再構成・再掲。

20th20th
(2010/01/20)
ZABADAK

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ザバダックが2006年に活動20周年を記念してリリースした二枚組アンソロジー・アルバム(オリジナル・リリースは2006年、その後2010年に再発売されました)。初期~中期の楽曲を中心に選曲され、リマスタリングも施されています。吉良知彦、上野洋子、松田克志の三人で製作された『ZABADAK-I』(1986)からは、ZABADAK結成前に在籍していたバンド【びわ】からの楽曲「わにのゆめ」、リハーサルスタジオで半分即興気味に出来てしまったというエピソードも微笑ましい「オハイオ殺人事件」、そしてZABADAKの初期の代表曲であり、力強い情感を孕んだ五拍子の狂おしき名インストゥルメンタル「ポーランド」を収録。松田氏脱退後の3rdアルバム『ウェルカム・トゥ・ザバダック』(1987)からは、ケイト・ブッシュからの影響を伺わせるちょっぴりキッチュなナンバー「アンリーズナブル・エッグ」。シングル「Follow Your Dreams」「Let There Be Light」(1989)からは、上野さんのヴォーカル/コーラスとアコースティック・ギターをメインに、9分間にわたって幻想的なムードをつくりあげる大曲「水の踊り」と、行進の足音に浮遊的なヴォーカルが絡む「Let There Be Light」を、共にシングル・ヴァージョンで収録。当然、アルバム収録版とはアレンジ・歌詞が若干違っています。



安倍吉俊先生が高校時代に愛聴していたアルバムということで、後に「灰羽同盟」の第一話のタイトル(「空を落ちる夢」)の元ネタにもなった『飛行夢(そら とぶ ゆめ)』(1989)からは、世界観のモチーフとなったのもうなづける、天空の箱庭のような世界観を演出した「飛行夢」。幽玄なアプローチを強め、心の癒し/環境問題をテーマにした『遠い音楽』(1990)からは、冒頭の三曲「満ち潮の夜」「夢を見る方法」「遠い音楽」を収録。牧歌的な雰囲気の中、ゆったりとした時間が流れるような歌ものアルバム『私は羊』(1991)からは、吉良&上野のデュエットで歌い上げられた、じんわりとした熱が伝わってくるアコースティック・バラード「小さな宇宙」を収録しています。



〈のれん分け〉直前、上野さんの在籍最後のアルバムとなった『桜』(1993)、そしてその先行シングルである「椎葉の春節」(1993)からは、神秘的なインストゥルメンタル「桜」をはじめ、「五つの橋」「Psi-Trailing」「Tin-Waltz」「光の人」「椎葉の春節」といったいずれも劣らぬ名曲群を収録。ZABADAKにおける大きなターニングポイントとなった作品とあってか、このアルバムからの選曲は多めです。吉良氏のソロでの出発点となった『音』(1994)からは、やや陰りを帯びながらもしっとりとしたポップス・ナンバー「星の約束」、そして、宮沢賢治作品をコンセプトにした『賢治の幻燈』(1995)の再録・再構成作品であり、けぶるような幻想的世界観にあふれた『光降る朝』(1996)からは、澄んだ夜明けを歌い上げるヴォーカル曲「光降る朝(REPRISE)」を収録。吉良氏が全曲でリードヴォーカルをとり、ブリティッシュ・ロック/ポップスを志向したサウンドもたっぷりと詰め込まれた『Something In The Air』(1996)からは「鍵穴と迷路」が選曲。ベースのナマっぷりと小気味いいアレンジが素晴らしいハード・ポップ・チューンです。くまのプーさんをモチーフにした『はちみつ白書』(1998)からは、MOE嬢をヴォーカルにフィーチャーしての「かえりみち」、そしてしみじみとした雰囲気がじわじわと味を出してゆく「永遠の森」の二曲を収録。



力強いトラッド・ロックとプログレッシヴ・ロックへと大々的に回帰した『IKON~遠い旅の記憶~』(2000)からは、アイリッシュからスパニッシュ、エスニックまで、民族色豊かに弾ける楽しげなインストゥルメンタル「収穫祭」を、演劇集団キャラメルボックスの演目に使われた楽曲を収めたサウンドトラック『Blizzard Music』(2001)からは、躍動感溢れる展開の連続と、豪勢かつ重厚なストリングスがド迫力で迫るインストゥルメンタル大曲「鏡の森」と、パワフルなロックに寄せた一曲「ブリザード・ミュージック」を収録。痛快なハード・ロック・チューンや、NHK「みんなのうた」への提供曲など多彩な方向性で、まだまだ衰えぬエネルギッシュな創作意欲をアピールした快作『SIGNAL』(2002)からは、パワフルなアコースティック・バラード「Still I'm Fine」、そして現時点(※2006年当時)のバンドの最新作である『Wonderful Life』(2004)からは、多重録音ギターが全編にわたって泣きまくり、レコーディングも泣きながら行っていたという、ド級のパワーバラードナンバー「Wonderful Life」が選曲され、アンソロジーを締め括っています。ZABADAKの辿ってきた20年間の紆余曲折が、この二枚に余すところなく詰まっています。このアルバムからまだまだ新しいファンが増えてほしい、そう願ってやみません。

http://www.zabadak.net/

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