2014年12月22日月曜日

NARASAKIによる多彩な楽園追放ワールド ― NARASAKI、牛尾憲輔、コジマミノリ『楽園追放 -Expelled from Paradise- OST』(2014)

楽園追放 Expelled from Paradise【完全生産限定版】 [Blu-ray]楽園追放 Expelled from Paradise【完全生産限定版】 [Blu-ray]
(2014/12/10)
釘宮理恵、三木眞一郎 他

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 ニトロプラスと東映アニメーション、そして監督 水島精二、脚本 虚淵玄のタッグで制作されたオリジナル長編アニメーション作品として11月中旬より劇場上映されている『楽園追放 -Expelled from Paradise-』。自分も公開間もなくして劇場で観ました。あー、冒頭のあの兄ちゃんは古谷徹だったのかとか、80~90年代OVAみたいな感じでぶっちぎってるなあとか、虚淵先生はホント『ハードワイヤード』が好きなんだなあとか、うわあこれはシンギュラリティですねたまげたなあとか、尻とか、尻とか、尻とか、いろいろありましたが、あと腐れのないエンターテインメント作品でとても面白かったです。めちゃくちゃ楽しみました。




 本作のメインコンポーザーは、COALTAR OF THE DEEPERSのフロントマンにして、大槻ケンヂ率いる「特撮」のギタリストであり、WATCHMAN氏との音楽制作ユニット Sadesper Recordのコンポーザー/アレンジャーとして映画/アニメの劇伴や挿入歌などを手がけるほか、近年ではプロデュースや楽曲提供でも目にする機会の多くなったNARASAKI氏ということもあって、こちらも上映前から非常に楽しみにしていたところです。本編のスコアはロックかテクノかと言われるとテクノ寄りで、Newtype 2014年12月号の水島監督のインタビューでも、アニメの設定である電脳世界「ディーヴァ」と荒廃した地上世界のふたつとの対比を絡めて、そのあたりに少しだけ言及されていたと記憶しています。シリアスな疾走感で攻める"Here It Comes" "3agents"や、浮遊感に富んだ"Beyond the Preasure Principle" "Expelled from Paradise"のような、Sadesper Recordで展開しているテクノ/エレクトロ・チューンを柱にしつつ、そこはかとなくvaporwaveっぽさもあるラウンジ調の"Vacation 7.92"や、ヘヴィなギターリフが緊張感を高める"Dingo"、ハートウォーミングなアコースティック曲"Bury or Burn"も絡め、また、ブルース/カントリー調の"The Merchant" "The Hunter"、リュートをフィーチャーした"The Real World"や、パーカッシヴな"To The South" "Jed"のようなエスニックなスコアなど、本編で舞台となる場所の設定を反映させたワールド・ミュージック色も強いのが本作の特徴。NARASAKI氏の劇伴仕事のなかでもこれまでになく多彩で幅のある内容になっています。ストーリー終盤を彩る骨太のテクノチューン"Point B2"や、まさに王道・大作な重厚さのあるシンフォニック・スコア"Happy Hunting!" "Beyond The Galaxy"は、氏の新境地といったものも感じさせます。

 とことんまでクレバーな感触のミニマル・テクノ"The Snatcher"は、アニメ版「ピンポン」のスコアを手がけ、電気グルーヴのサポートや、テクノ・ユニットのagraph、フルカワミキさんらと共にLAMAのメンバーとしても活動する牛尾憲輔氏が作曲を担当。また、コミカルなエレクトロ・ポップである"A Running Girl"は、「はなまる幼稚園」「貧乏神が!」の劇中曲などを手がけたコジマミノリさんが作曲を担当しており、「UN-GO」のサウンドトラックに参加したコンポーザー全員が本作でも名を連ねた形になっております。そして、アンビエント調の静謐な"The Business spot"、宇宙との邂逅的なシンセサイザー・スコア"Frontier Setter"の二曲は、NARASAKI氏とコジマさんの共作。

「かつて地球で活動したロックバンド“ARISE”が歌ったヒットチューン」という設定で、本編でも非常に重要な一曲として登場する"Eonian"は、ARISEが歌ったオリジナル・ヴァージョンと、劇中のとあるシーンで登場する"FS Remix"ヴァージョン、そしてELISAさんが歌う英語ヴァージョン(エンディングテーマ)と三種類ありますが、ラフなギターとヒリついた男声ヴォーカルを押し出し、'90年代テイストを感じさせるヘヴィ・ロックな趣の"Arise Version"、近未来的なデジロック・チューンとして生まれ変わった"FS Remix"、たおやかなヴォーカルを得ての静かな展開からシンフォニックなアレンジを経てドラマティックな盛り上がりを見せる"English Ver."と、同じ曲でありながらそれぞれまったく印象が違うものに仕上がっており、興味深く感じました。"ARISE Version"のヴォーカリストはクレジットに明記されていないので誰なのかはわからないのですが、同ヴァージョンでギターを弾いているのは、かつて筋肉少女帯やSOFT BALLETに参加し、先ごろ活動を再開した「電車」(大槻ケンヂ氏、佐藤研二氏、小畑ポンプ氏とのバンド)のギタリスト 石塚BERA伯広氏です。





 本サウンドトラックは完全生産限定盤Blu-ray Discの特典として収録されているものであり、単体でのリリースは未定…というか、恐らくないのではないかと思われます。改めて考えると、NARASAKI氏が関わったアニメ作品のサントラはDVDの特典というケースが多いので、ある意味ファン泣かせと言えるかもしれません。アニメサントラ関係で現在でも入手可能なものとしては、2012年にリリースされた「UN-GO」のサウンドトラック、そして2010年にリリースされた、「はなまる幼稚園」のサウンドトラック+挿入歌集である『childhood memories』(Sadesper Record名義)のふたつがあります。


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『楽園追放 -Expelled from Paradise- Original Soundtrack』
(完全生産限定盤Blu-ray Disc特典)


01. Vacation 7.92
02. Here It Comes
03. The Deva
04. The Real World
05. Dingo
06. The Merchant
07. The Hunter
08. To The South
09. Beyond the Pleasure Principle
10. Eonian (Arise Version)
11. Jed
12. The Bubble gum man
13. Anta No Guts
14. Value of the Flesh
15. The Fuel
16. A Running Girl
17. The Business spot
18. Frontier Setter
19. Eonian (FS Remix)
20. The Cage
21. Bury Or Burn
22. The Restriction
23. JINGI
24. Expelled from Paradise
25. The Snatcher
26. 3 agents
27. Happy Hunting!
28. Point B2
29. Beyond The Galaxy
30. The Memory of Earth
31. EONIAN -English Ver.-


[2014.12.10] ANZX-11792

track.1~9,11~15,20~30 composed by NARASAKI
track.25 composed by 牛尾憲輔
track.16 composed by コジマミノリ
track.17&18 composed by NARASAKI + コジマミノリ
track.10,19 composed by Mish-Mosh

久野幹史(lute / track.4)
石塚BERA伯広(guitar / track.10)

"EONIAN -English Ver.-"
ヴォーカル ELISA
作詞 六ツ見純代
作曲 Mish-Mosh
編曲 前口渉
訳詞 Chika

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楽園追放 -Expelled from Paradise-
NARASAKI - Wikipedia

qwerty (NARASAKI/百々政幸)
「アクエリアンエイジSaga II Don't forget me... O.S.T」(2003)
Sadesper Record (WATCHMAN/NARASAKI)他
『はなまるなベストアルバム Childhood Memories』(2010)
COALTAR OF THE DEEPERS『Yukari Telepath』(2007)
上坂すみれ『パララックス・ビュー』(2014)

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