2013年6月4日火曜日

国本佳宏 他『緑野原座フライト・プラネット』(1987)

緑野原座フライト・プラネット緑野原座フライト・プラネット
(1987/07/21)
イメ―ジ・アルバム

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 80年代から90年代にかけて、『ぼくの地球を守って』や『ここはグリーン・ウッド』など、主に白泉社の少女漫画作品をテーマにして制作されたイメージアルバムが、ビクター音楽産業の「ファンタスティック・ワールド」というレーベルから多数リリースされておりました。実は、そのうちのいくつかには、80年代国内テクノ・ポップ/ニューウェイヴ・シーンで活動していたバンドやアーティストがプロデュースや作編曲や演奏で多数参加しており、その筋のリスナーにとってはまさに興味深いアイテムなのであります。今回取り上げる『緑野原座フライト・プラネット』は、白泉社「花とゆめ」に掲載されていた星野架名さんの代表作「緑野原学園シリーズ」を題材にした1枚目のイメージアルバム。同シリーズのイメージアルバムは本作も含めて計3枚リリースされています。

 本作のメインソングライター/プロデューサーは、戸川純「玉姫様」「蛹化の女」などの編曲や、サザンオールスターズのサポートメンバー/編曲、G.M.O.レーベルの『THE RETURN OF VIDEO GAME MUSIC(1985)』『FAMICOM MUSIC(1986)』などでの編曲で知られる国本佳宏氏。その脇を固めるようにして、ハルメンズ~パール兄弟のサエキけんぞう氏が作詞提供(1曲)で、ヤプーズの吉川洋一郎氏、ムーンライダーズの岡田徹氏、ハルメンズ~ゲルニカの上野耕路氏、CINEMAの鈴木さえ子さんが楽曲提供(各人1曲ずつ)でそれぞれ参加しております。さらに演奏陣にはパール兄弟のバカボン鈴木氏(b)、8 1/2(ハッカニブンノイチ)~PORTABLE ROCKの鈴木智文氏(g)、『うる星やつら』『ジャイアントロボ 地球が静止する日』などの劇伴でも知られる天野正道氏(kbd.flute他)らが参加。ヴォーカルには、後にADI(佐藤正治氏や金子飛鳥さんらが名を連ねていたグループ)に参加する本間哲子さん、80年代末に冨田恵一氏とのユニットKEDGEでデビューする杉本直子さん、数多くのCMソングやアニメ/ゲーム作品に参加されているシンガーソングライターの木村真紀さん、ゲルニカ~ヤプーズの戸川純さんの4人が迎えられています。この錚々たる顔ぶれで、シンセサイザー/打ち込み中心のファンタジックなインストや、テクノ・ポップ路線の歌ものが作品世界に沿って展開されているとなれば、否が応にもワクワクさせられるというものです。

 フレッシュな魅力に溢れたテクノ・ポップ・チューン「緑野原座フライト・プラネット(歌:杉本直子)」、幻想的なムードでしっとりと歌い上げられるバラード「月齢14.9の夜(歌:木村真紀/曲:吉川洋一郎)」、ビートもバシバシ効いたつんのめるようなバッキングが痛快な「Psiクロン・シンドローム(歌:本間哲子/作曲:岡田徹)」と、アルバムにはタイプの異なる曲調のヴォーカルナンバーが配されているのですが、その中で一際異彩を放っているのが、戸川純さんの参加した「夢見たちのハーモニー」であります。ヴォーカルというよりはモノローグと言ったほうがいいかもしれませんが、変拍子のシーケンスに乗せ、すっかり魔術師ヨギムになりきっている戸川さんのキレたパフォーマンスが堪能できます(笑) 続く「彼方-まほろばフェスタ」がアヴァンギャルド&ミニマルな路線のグネグネとした気持ち悪いインストであることもあって、終盤のこの部分は非常に記憶にこびりついて仕方がありません。その他に印象的なインストといえば、鈴木さえ子さんの作曲による「トリック・スターズ」は、ヴィブラフォン系の音色が小気味良く跳ねる、可愛らしい1曲。鈴木さんがソロアルバムで展開している作風を、よりコンパクトにして仕立て上げたという印象も感じます。また、上野耕路氏の作曲による「弘樹-春咲迷路」も、ソロ作品の延長にあるような楽曲で、幻想的でありながらどこか不安定なムードを形成する独特の和音の連なりがたまらなく奇妙な味わいです。実質上アルバムの最後を飾る「ラピュータス流星群」は、バンドサウンド仕立てのポップなプログレ風インスト。楽曲の尺も6分半と長めですが、バカボン鈴木氏の足どり軽やかなベースプレイや鈴木智文氏のピリッとしたギターソロも含めて、じっくりと聴かせる佳曲だと思います。



国本佳宏 - Wikipedia
星野架名 - Wikipedia







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