2012年8月1日水曜日

2012年7月 読書記録

7月の読書メーター
読んだ本の数:779冊
読んだページ数:295195ページ
ナイス数:120ナイス


わが愛しの妖精フランク (1980年) (富士見ロマン文庫)
紳 士×少年モノの薔薇小説、ではない。主人公の青年チャーリーがある日出会った少年フランクは、実は男装した少女フランシスであった。尻叩きの仕置きの際に 女であることが判明するという序盤のくだりがまず素晴らしい。尻叩きを見ると欲情が加速する変態であり、フランシスの幸せを願って身を引く紳士でもある チャーリーの言動も実にいい具合である。『「―大きな娘というものは小さな少年のものに触りたがるものなんだ」そのあとに、わたしはつけ加えた。「大きな 男の子というものは小さな少女のものに触れたがるものなんだよ」』。良作である。
読了日:07月01日 著者:作者不詳


左巻キ式ラストリゾート―ぷにふごEX (パンプキンノベルズ)左巻キ式ラストリゾート―ぷにふごEX (パンプキンノベルズ)
メ タ官能シミュレーション小説、メフィスト味のミステリを添えて。表紙をめくって3秒で「ひぎいいいっ」で埋め尽くされたページの洗礼を浴びる。原作は未プ レイだが、元のゲームとは別物だというのはよーくわかった。危うさ全開の一冊である。テンプレだらけなキャラとエロ、そして崩壊する作品世界、全てが意識 的な所業のもとに展開されている。メタメタな趣向は、今読むといささか古さを感じてしまうのだけれども、めろん先生のブチ切れっぷりは存分に堪能可能。鬼 ノ仁先生のエロエロ極まりないイラストもSO GOOD!NO FUTURE!
読了日:07月01日 著者:海猫沢 めろん,ぴぃちぐみ


お菓子の髑髏: ブラッドベリ初期ミステリ短篇集 (ちくま文庫)お菓子の髑髏: ブラッドベリ初期ミステリ短篇集 (ちくま文庫)
そ こはかとなく滲み出るマゾさに妙にウズウズさせられる「用心深い男の死」。死んだ<ぼく>の視点で、事件後の様相をシニカルに描写する「わが怒りの炎」。 巧みな話術を武器に悪党どもに一泡吹かせるしたたかな男ダウザーを、ハードボイルド/ユーモラス半々に描く「悪党の処理引き受けます」「悪党どもは地獄へ 行け」。真っ直ぐな少年が<大人たちの複雑な事情>に図らずも迫らんとするサスペンス「トランク・レディ」。血生臭い話なのにラストの描写は妙にロマン ティックな表題作など、ブラックな味、奇妙なヒネり、情緒的余韻ありの全十五編。
読了日:07月01日 著者:レイ ブラッドベリ


女犯坊 4 (マンサンコミックス)女犯坊 4 (マンサンコミックス)
小 島に存在するアマゾネス女子刑務所を舞台に、弥勒に成り代わり仏陀にならんとする野望のもと現代に黄泉返った弘法大師空海と戦いを繰り広げる最終巻。かつ てのモルガンお雪を思わせる超巨体肉女、麗亜姫との説法印フィストファックバトルなども交え、破天荒極まりないエロス&ヴァイオレンス描写と展開のオンパ レード。そして、竜水和尚の圧倒的超常的存在感!ふくしま氏が渾身のメッセージをぶち込んだというラスト3ページはすべてを許容する!スペルマビッグバ ン!!
読了日:07月03日 著者:坂本 六有


トルー・ラヴ (1983年) (富士見ロマン文庫)
19 世紀末のアメリカ東部のとある大学の秘密社交クラブで、11人の男と2人の女が各々の初体験を告白(うち1人は他の1人の話の最中に筆おろしを行う)して いく、いわゆるデカメロン方式で展開される官能小説。20世紀初頭に刊行され、石川啄木や北原白秋といった明治の文豪の間で回し読みされたとかされなかっ たとか。初々しさとおおらかなムードに満ちたセックスが繰り広げられ、各人の初体験談もヴァリエーションに富んだ内容だが、若干物足りなさも感じる。中高 生にこっそり読ませたくなるような、そんなライトでカジュアルな一冊。
読了日:07月05日 著者:ジョン・スミス


 中二階中二階
図 書館で何とはなしに手にとってみたが、大当たり。滅法面白い。重箱の隅を突くがごとき細か~い視点で、ひたすら日常生活のたわいもないアレコレをつらつら ゆるゆると考察し続ける、ただそれだけなのに、ことごとくがツボをくすぐる。本文と長ーい注釈が併走(?)している構成も面白いし、何より滲み出る「ある ある感」のオンパレードに、思わず頬が緩む。どうでもいいことばかり考えることで見えてくる真実もある。どうでもいいことばかり考えながら死にたいと思っ ている自分にとっては本書はバイブルになりそう。手元に1冊欲しくなった。
読了日:07月06日 著者:ニコルソン ベイカー


 アレクサンドロスとオリュンピアス: 大王の母、光輝と波乱の生涯 (ちくま学芸文庫 モ 15-1)アレクサンドロスとオリュンピアス: 大王の母、光輝と波乱の生涯 (ちくま学芸文庫 モ 15-1)
ア レクサンドロス大王の母オリュンピアスに焦点を当てて歴史を読み解かんとする1冊。夫フィリッポス二世暗殺の陰謀、二世の他の妻との確執、大王死後の後継 者争いなど、彼女の生涯は血生臭い権力闘争のエピソードに事欠かない。蛇に纏わる魔性の女というイメージ、残忍な所業の数々から後世の歴史学者から悪女と して伝えられることが多い彼女であるが、一方で息子への強すぎる母性愛を持った人でもあった。最終的に彼女も権力争いの犠牲となってしまうのだが、生き残 りを賭けて激動の時代を足掻いた一人のしたたかな女性であったことには違いない。
読了日:07月08日 著者:森谷 公俊


 科学の花嫁 (叢書・ウニベルシタス)科学の花嫁 (叢書・ウニベルシタス)
詩 人ジョージ・バイロンの娘にして、初のプログラマとも言われるオーガスタ・エイダ・ラヴレス、彼女を取り巻いた環境と、彼女の人物像を描く評伝。山田正紀 『エイダ』、ギブスン&スターリング『ディファレンス・エンジン』経由で本書に辿り着く人も多いような気がする(ちなみに本書では後者の作品への言及も少 しだけされている)。当時の科学と時代についてや、階差機関や解析機関のガジェット的な話に興味がある人には本書の内容は物足りないかもしれないが、数学 への情熱と不安定な精神の間にあった彼女の生き様は惹きつけられるものがある。
読了日:07月08日 著者:ベンジャミン・ウリー


年上の女―アンドラーシュの愛の回想 (富士見ロマン文庫)
「こ の本を年上の女性と、若い男性に捧げる―この両者のつながりが私の命題だからである。」 大学の哲学教授が若者に向けて女性遍歴を回想するという形をとっ た官能小説。人の女房だったり子持ちの母親だったり子供っぽさとしたたかさを兼ね備えたマダムだったりと、教授が情交するのは酸いも甘いも噛み分けた年上 の女たち。一時の肉欲には耽るのだが、教授のドンファンたる姿勢には片隅でどこか醒めたものがあり、満たされなさを感じさせる。最後は女性に主導権を握ら れた挙句屈辱を味わわされ、情熱が急激に冷めてしまうところで回想を終える。
読了日:07月08日 著者:スティーヴン・ヴィジンツェイ


 ボーンシェイカー ぜんまい仕掛けの都市 (ハヤカワ文庫SF)ボーンシェイカー ぜんまい仕掛けの都市 (ハヤカワ文庫SF)
腐 れ人が跋扈する閉鎖区域に行っちゃった息子を連れ戻すためにかーちゃんが頑張るバイオハザード系SF。面白くなくはないが、中途半端な面白さなのがもどか しい。閉鎖された街の探索に多くのページが費やされているので、スチームパンクな設定や印象を感じ取ることは殆どできないし、ドリルマシンも全然フィー チャーされていないのにこんな邦題なので、なんか釈然としないものがあって仕方がない。でもページはやたら多い。表紙とあらすじで高まったワクワク感は読 んでいくうちに徐々に目減りしていき、読み手の方が(ふて)腐れ人と化しかねない。
読了日:07月12日 著者:シェリー・プリースト


 ベータ2のバラッド (未来の文学)ベータ2のバラッド (未来の文学)
ミ ステリ要素も交えたスペースオペラであり、序盤の謎が判明する終盤の展開にSFのカタルシスが味わえるディレイニーの表題作。ワイドスクリーン・バロック ばりにカマされるハッタリと目まぐるしい展開(いつの間にあんたセックスしてんの!?)で翻弄の極みに達する「四色問題」(バリントン.J.ベイリー)。 スロットマシンに残る女の無念が一人の男を狂わせる様を、最高に刺激的な流れで読ませる「プリティー・マギー・マネーアイズ」(ハーラン・エリスン)の三 編が強烈。ギャンブル!女!巨万の富!の三拍子には、やはり破滅こそが相応しい。
読了日:07月12日 著者:サミュエル・R. ディレイニー


柳生十兵衛死す 1 (SPコミックス)柳生十兵衛死す 1 (SPコミックス)
「よー し漫画版で原作の補完でもしてみるかー」→「(  д )    ゚ ゚ 」 原作のSFネタをさらに広範囲に広げ(広げ過ぎ)て、石川先生の持ち味をぶち込みまくった結果、とってもエキサイティングに 突き抜けたSFバトル絵巻と相成った。最高(最凶)のアレンジであり、原作補完というよりはサイボーグ化と呼ぶのが相応しい。原作ストーリーの筋を(かろ うじて)感じさせるのは第1話まで!その後は石川先生の世界であり、誰かも言ってたけどスーパー山田風太郎大戦状態でもある。「剣鬼喇嘛仏」の長岡さんと か普通に出てきちゃう。
読了日:07月12日 著者:石川 賢,山田 風太郎


柳生十兵衛死す 2 (SPコミックス)柳生十兵衛死す 2 (SPコミックス)
十兵衛が時空を飛び越える過程で身体が凄いサイボーグになってしまう瀕死の宮本武蔵。もちろん原作にはそんなシーンはない(そもそも武蔵は出てきません)が、何だかんだで2巻で凄く好きなシーンだったりする。なんだか知らんがとにかくよし!
読了日:07月12日 著者:石川 賢,山田 風太郎




柳生十兵衛死す 3 (SPコミックス)柳生十兵衛死す 3 (SPコミックス)
「忍 びの時代はこの十兵衛が 十兵衛が斬る!」(未完) ムチャクチャな強さを誇る十兵衛がどのような顛末で死を迎えたのかは結局このコミカライズ版ではわか らずじまいだが、もしこのまま描かれていたとしても強さのインフレでますます死からかけ離れた存在になっていただろうと思うので、未完でよかったのかもし れない。原作を読んで無理矢理補完しよう!(本末転倒)
読了日:07月12日 著者:石川 賢,山田 風太郎


 深夜の弁明 (講談社文庫)深夜の弁明 (講談社文庫)
締 め切り間近だけど原稿が全然書けてないので、編集者への言い訳をつらつら書き連ねて規定枚数をクリアしちゃう表題作は、実に一発ネタ。文章要約が身に染み 付いてしまったため、己の言動も百字以内で収まってしまう新聞記者の悲哀「百字の男」、擬音と会話文のみで構成された作品が投稿されて困惑する選考委員の ぼやき「二十一世紀新小説応募作品」は、ケータイ小説やTwitterを経た今の時分に読み返すと妙な感慨が。問題提起への反論が繰り返されていくうちに ズレた意見が出始め、挙句うやむやになる「コップの中の論戦」も秀逸。あるある。
読了日:07月12日 著者:清水 義範

 ノヴァ急報
人 間に取りつき、宿主に気づかれないように好き勝手に悪さをする異星生命体「ノヴァ(ノヴァ・ギャング)」と、彼らの悪行を食い止めるべく活動する「ノヴァ 警察」の戦いの記録…なんだそうだが、正直よくわからん。「言語はウィルスみたいなもんさね」という考えにはなるほどと思うところがあるんだけれども、 カットアップ&フォールド・イン炸裂の本編はとてもケイオス、脳みそこねこね。「全然頭に入ってこないのはノヴァの意識的侵略のせいなんだ!」とか言って みる。氾濫する言葉とイメージを前に「考えるな、感じろ」と開き直ってもみる。
読了日:07月14日 著者:W・S・バロウズ


 和訳 聊斎志異 (ちくま学芸文庫)和訳 聊斎志異 (ちくま学芸文庫)
独 特のルビ遣いのインパクト。「異哉此女!(へんなこだね!)」「能令我真箇銷魂否(ぼくにひとりくれないか)」など、原文の形を残しながらも親しみやすい 語り口で読ませるスタイルは実にユニーク(ただ、毎話の終わりに付いている蒲松齢先生のコメントまでは訳されていない)。入門の書としてのとっつきやすさ や話の精選ぶりを考えると岩波文庫から出ている上下巻の方に軍配が上がるのだけれども、魅力に溢れる柴田天馬氏の対訳版は触れてみて損はない。活き活きと した語り口の面白さがより一層際立ってくるので、比較しながら読むのもまた一興。
読了日:07月14日 著者:蒲 松齢


発言者たち (文春文庫)発言者たち (文春文庫)
新 聞投書での論戦を描いた短編「コップの中の論戦」とやや重なる所もある長編。清水氏の人間観察力は遺憾なく発揮されており、お叱りの手紙や抗議電話、個人 通信などを通して、己の言いたいことを言いつつ知識や立場を誇示する<発言したがり>な普通の人々を、やたら生々しく描いている。滑稽だけれども全く他人 事に思えないところもあり、クスリとしつつも思わず自分の身を振り返ってしまう。中盤からは主人公自身が「ものを書くこと」に対する葛藤に陥る。最後は光 明を見い出し前に進んでいくのだけれども、その姿は身につまされる。
読了日:07月16日 著者:清水 義範


後藤さんのこと (ハヤカワ文庫JA)後藤さんのこと (ハヤカワ文庫JA)
「後 藤さん」の四文字にゲシュタルト崩壊をおぼえるほどに、有象無象の後藤さん(性別:後藤さん)がワラワラしている、見た目もカラフルな表題作。銀河帝国に まつわる九十九の断章、ネタ帳、興亡史である「The History of(略)」。書き足され、入れ替えられ、区切られることでどんどん変貌を遂げていく言葉遊びをつらつらと展開していく「考速」。時間の流れをダイスの展 開図にはめ込み、幾度となく繰り広げられる少年と少女の出会いを描く「墓標天球」の四編が好き。特に「墓標天球」の雰囲気と余韻は何度読み返してもたまら ない。
読了日:07月16日 著者:円城塔


リヴァイアサン クジラと蒸気機関 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)リヴァイアサン クジラと蒸気機関 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
ヘタにスチームパンクを謳ったアダルト向け作品よりはるかに魅力を感じるヤングアダルト冒険SF。人造巨獣はロマン。ストーリーの方は三部作全部読んでからじゃないと評価しづらい感じだが、面白い。引き続き『ベヒモス』も読まざるをえない。
読了日:07月17日 著者:スコット・ウエスターフェルド


忍びの森 (角川ホラー文庫)忍びの森 (角川ホラー文庫)
田 島昭宇氏のイラストにホイホイされて。閉鎖空間と化した荒れ寺で繰り広げられる、八人の伊賀忍者VS五体の異形の妖怪の死闘を描いた伝奇長編(NOTホ ラー)。風太郎忍法帖リスペクトなのは潰し合いで一人(一体)ずつ減っていくストーリー展開くらいか。エログロや荒唐無稽バカ忍法みたいなケレン味は少な め。描写が所々長ったらしいのはマイナスなんだけれども、それでも正統派バトルものエンタメ作品としてかなり楽しめた。草やら蟻を食ったりと、食料が限ら れている中でのサバイバル描写や、草姫とのやりとりのくだりは割と気に入っている。
読了日:07月23日 著者:武内 涼


ヘリックスの孤児 (ハヤカワ文庫 SF シ 12-9) (ハヤカワ文庫SF)ヘリックスの孤児 (ハヤカワ文庫 SF シ 12-9) (ハヤカワ文庫SF)
傑 作大長編SF『ハイペリオン』、超壮大なSF神話譚『イリアム』にそれぞれ関連した中編が収録されているんだけれども、この作品集の真の目玉は、各作品の 前についているシモンズ先生によるエッセイ的な前書きかもしれない。短いながらも滅法面白い。スター・トレック関係者からシリーズのシナリオを書いてみな いかと打診を受けた際のエピソードなど、あれやこれやのウラ話をウィットとユーモアに富んだ語り口で語ってくれる。
読了日:07月28日 著者:ダン・シモンズ


これだけは読んでおきたい 名作時代小説100選 (アスキー新書 93)これだけは読んでおきたい 名作時代小説100選 (アスキー新書 93)
時代小説を読む頻度が増え始めたので手にとってみたが、これは便利でありがたい1冊。著者紹介、作品紹介ともにコンパクトにまとめられていて、流し読みするだけでも何かしら読みたくなる本が見つかる。
読了日:07月28日 著者:杉江 松恋


  トマス・ピンチョン全小説 LAヴァイス (Thomas Pynchon Complete Collection)トマス・ピンチョン全小説 LAヴァイス (Thomas Pynchon Complete Collection)
ポッ プで愉快なハードボイルド長編。たっぷりと散りばめられた、あの時代のポップ・カルチャーと小ネタによる情報量の多さと共にドライヴしてゆく感じはいつも のピンチョンだが、過去のどの作品よりもとっつきやすく、読みやすいと感じた。LAコンフィデンシャルとマイアミバイスを足しました的な感じにも見える軽 い響きの邦題も、ストーリーを最後まで読んだ後だと実にしっくりと馴染んでくるようになるからあーら不思議。さあ再読だ。
読了日:07月31日 著者:トマス ピンチョン


ほか七百数十冊、略


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