2010年12月1日水曜日

川井憲次『i-wish you were here~あなたがここにいてほしい~ OST 1&2』(2002)

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 2001年に発表されたGONZO制作によるアニメ作品「i-wish you were here あなたがここにいてほしい」(監督:水島精二)。アニメ本編は未視聴なのですが、初のインターネットストリーミング放送を試みた作品だったそうです。かのPINK FLOYDの名盤『I WISH YOU WERE HERE(炎~あなたがここにいてほしい)』を真っ向から意識したタイトルとあってか、楽曲もプログレッシヴ・ロックな方向性を押し出しており、ハモンド・オルガンを主体にしたプログレ・ハード/シンフォニック・ロックがたっぷりと展開されております…このアニメの企画者はよっぽどプログレに対して思い入れがあったんでしょうね。

 本作の劇判を担当された川井憲次氏は、押井守監督作品の劇判を初め、数多くのアニメ、ゲーム、映画、CMの作曲で八面六臂の活躍を見せている、言うまでもなく超大御所コンポーザー。「吸血姫美夕」「AVALON」「イノセンス」などで、重厚壮大な空間系/雰囲気重視の楽曲作りをする方なのかというイメージが自分の中であったのですが、ミュージシャンとしての一面(元々川井氏はフュージョン・バンドのギタリストだったそうですね)を垣間見せる本作のゴリゴリなプログレ・ハード・サウンドを聴いてその印象がガラっと変わりました。熱を帯びて疾走するハモンド・オルガンサウンドと、キレのあるリフ&唸りと泣きのギターソロが織り成す白熱のインスト。劇判として成立させなければいけないということもあってか、派手な展開は幾分か抑え目になっているとは感じるものの、溢れ出さんばかりのパッションを炸裂させています。それが存分に堪能できるのが、Part.0からPart.5までの6つのパートで構成された組曲。トータルで聴くと40分近いというまさに一大組曲で、力の入り具合も伺えようというもの。静謐な雰囲気から一転して鋭く畳み掛ける序破急のカタルシスに満ちた序盤~中盤、これまで抑えていたものを一気に放出するかのようにドラマティックな情念の迸りを見せる終盤、最初から最後まで印象深くまとめあげられています。難を挙げるとすれば、Vol.1にはPart0~4、Vol.2にはPart5と、アルバム2枚をまたいで組曲が収録されているところ。そもそも組曲と他の曲合わせてもアルバム1枚で十分に収まる楽曲ヴォリュームなのに、何故2枚に分ける必要があったのだろうか…と思うのですが、そこは大人の事情というヤツが絡んでいるのでしょう。「Part.5」が非常にドラマティックな盛り上がりを見せる楽曲だけに、少々残念に思います。

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 また、『Vol.2』は短めな楽曲をいくつか繋げた「Short Pieces」というタイトルのトラックが3つあり、ピアノやアコースティック・ギターを中心とした小品から、広がりのあるアンビエント・シンフォニックまで、「静」の側面を見せるものになっております。また、川井氏は関わっていないのですが、エンディング曲の「Lunatic Trance ~静かなる絶叫~」(作詞/作曲:円谷一美(又紀仁美)、編曲/歌:an evant)の内容も見逃せません。このan evantというユニットについては詳しいことはあまりよくわかっていないのですが、楽曲はキレのあるギターとオルガンをフィーチャーした、テクニカルなインスト・パートも聴き応えのあるメランコリックな歌ものプログレ。OCEANSIZEやPINEAPPLE THIEFといった昨今のオルタナ・プログレ・バンドにも通じるものがあると思うのですが、いかがでしょうか。

 川井氏の作品の中でも、ここまでストレートにプログレ路線が貫かれた作品は本作をおいて他にはないと思います。川井氏のファンのみならず、プログレッシャーにも是非一度は聴いて欲しい逸品。オススメです。




GONZO公式:i-wish you were here
i-wish you were here- あなたがここにいてほしい:Wikipedia
川井憲次:Wikipedia
川井憲次:公式
試聴

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