2010年7月5日月曜日

月読レコード『FOUR SIDES SYMPHONIA~Symphonic Suite"LEGEND"~』(2010)



 コンポーザー/アレンジャーの翡翠氏が主宰する同人音楽レーベル「月読レコード」が5月にリリースした作品。翡翠氏が楽曲を担当した、サークルAtelier KANZAN制作のオンライン・ファンタジー・アニメ作品「LEGEND」シリーズのセルフ・アレンジアルバム。LEGENDシリーズの楽曲は2枚組サウンドトラックとしてレーベルから先にリリースされており、様々な場面に合わせたコンパクトな小曲が70曲以上に渡って収録されております。さて、本アレンジアルバムは単に個々の楽曲にアレンジを施したというものではなく、アレンジした上でさらにそれらを繋ぎ合わせて組曲形式にして再構築し直したという趣向になっており、5~8つに細かくパート分けされたロングレンジの大曲が全4曲、総時間53分という、さながらマイク・オールドフィールドばりの大作志向と、プログレッシヴな香りも漂うシンフォニックなオーケストラ的アレンジを全編に渡って聴かせてくれます。

 「Legend "創聖"」では冒険の始まりを予感させる伸びやかで明快な幕開け、時にASTURIASを髣髴とさせる中間部の展開を経て、終盤では情緒を感じさせるピアノパートへと移行するという流れ。続く「Leohault "飛翔"」はイントロ、アウトロにハモンドオルガンの音色をフィーチャーしつつ、メインテーマのモチーフをより勇壮かつ躍動的に展開。「Dream "残光"」は翡翠氏のカウンターテナーをフィーチャーしたバラードから、うっすらとメロトロンの音色もかぶさる、フルート、ピアノを軸とした細やかなインストパート、さらに再び中性的歌声のバラードパートに回帰するという劇的な流れがハイライト。実に18分半に及ぶ最終楽章「Questers "真実"」はしっとりと緩やかなパートと風雲急を告げるパートが交互に訪れ、ラストは【LEGEND=Questers=】のヴォーカル曲"天嶺の向こう"のアレンジ、同曲で歌っていたSakura嬢をゲストに迎え、堂々たる収束を迎えます。アレンジでありながら、これまた起承転結がハッキリと現れた、見事なトータル・コンセプト作品です。




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月読レコード/翡翠『しろのはらり~はぴどりサウンドトラックスアレンジアルバム~』(2007)