2010年6月24日木曜日

マンドレイク『アンリリースド・マテリアルズ Vol.1/Vol.2』

アンリリースト・マテリアルズ VOL.1
マンドレイク
テスラカイト (2006-02-02)
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 平沢進氏がP-MODELを結成する以前の73年から79年にかけて活動していたバンドであり、P-MODELへの基盤ともなったプログレッシヴ・ロック・バンド「マンドレイク」の音源集。軋みを上げる御大の硬質的なギター。エフェクトがかったヴォーカル、大々的にフィーチャーされるキーボード/メロトロン・サウンド。BLACK SABBATHやKING CRIMSONといったバンドからの影響を強く感じさせる不穏なヘヴィネスとシンフォニックな情緒。ほぼ全ての楽曲が10分オーヴァーという大作主義。何から何までバリバリの攻撃的スタンスで貫かれています。『Vol.1』『Vol.2』ともにスタジオ音源とライヴ音源で構成されているので音質の悪さは目立つものの、楽曲そのものの鬼気迫る勢いや、荒涼とした叙情性は非常に惹かれます。ギャリギャリと殺気立った荒々しい平沢氏のギタープレイで幕を開けるメタリックな凶暴さ際立つナンバー「飾り窓の出来事」、押し寄せるキーボード/メロトロンの洪水が荘厳な雰囲気を演出する「終末の果実」、KING CRIMSON的ヘヴィネスと、叙情味の滲むヴォーカル、構築的な楽曲展開がカタルシスを生む「MANDRAGORA」、淡々とした展開に乗せて乾いた叙情性を綴っていく「Tales From Pornographic Ocean」(タイトルはもちろんYESの"海洋地形学の物語(Tales from Topographic Oceans)"のもじり)は印象深い。


アンリリースト・マテリアルズ VOL.2
マンドレイク
テスラカイト (2006-02-02)
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 また、20分近い「錯乱の扉」では、後のP-MODELの楽曲「偉大なる頭脳」の断片的フレーズを聴くことができます。時代的にプログレが瀕死だったこともあって、結局「テクノ・ポップ・バンドP-MODEL」へと生まれ変わらざるを得なかったわけですが、例えこのまま行っていたとしてもここまで入れ込んだ徹頭徹尾なプログレ路線では行き詰まってただろうことは明らかでしょう。P-MODELへの大転換を遂げたというのはやはり見事というほかありません。『Vol.2』の最後に収録されている「いりよう蜂の誘惑」は、平沢氏がシンセサイザーを初めて触ってから4日かそこらで完成させたというシロモノながら、週刊プレイボーイ主催のシンセコンテストで、かの富田勲から絶賛の誉れを受け見事入賞したという楽曲。ページをめくるSEや鳩時計のSEから不気味なシンセのフレーズに突入し、ファンシーな中に一抹の不安と焦燥を感じさせる小品にして、若き平沢氏の才能の一端を垣間見ることができる秀作。そしてこの曲がキッカケとなり、79年のP-MODELデビューへと繋がってゆきます。ちなみに、MANDRAKEからP-MODELへの移行で音楽性は大幅に変わりはしたものの、それに際してメンバーの変更はほとんどなく、P-MODELの1st~2ndアルバムまでMANDRAKE時代のメンバー全員が参加しています。特にキーボードの田中靖美氏は初期P-MODELのサウンド面においてもかなりの手腕を発揮していたとか。MANDRAKEなくしてP-MODELあらず、興味深い音源集。





ちなみに「飾り窓の出来事」ですが、この曲は実は二つのパートに分かれた楽曲であり、アルバムに収録されているのはPart.2にあたるもの。アルバム未収録のPart.1はわずかに市場に出回ったという7インチシングルにPart.2と共に収録されており、これがまた非常にカッコいい疾走曲。




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