2010年6月18日金曜日

ジギタリス『Ars Magna ~大いなる作業~』(2010)

Ars Magna(アルス・マグナ)~大いなる作業~
ジギタリス
SMD (2010-05-12)
売り上げランキング: 250,057


 近年はガストの《アトリエ》シリーズの主題歌を担当していることでも注目を集めている、山本美禰子嬢を中心とした4人組バンド ジギタリス。主題歌担当の縁からか、ティームエンタテインメントからのリリースとなった約3年ぶりとなる新作3rdアルバム。前作『SYZYGIA』(相対する一対のもの)同様、本作もコンセプト作品になっており、"錬金術"をテーマとした楽曲を展開。シェイクスピアやリルケ、ゲーテといった詩人や作家、果てはユング、ル=グィン、北欧神話、チベット密教からの引用を散りばめ、さらに公式サイト上でコンセプト/ストーリーのページを設けるなど、世界観の掘り下げへの力の入りようが伺えます。

 その幻想的な詩世界を歌い上げる、ケイト・ブッシュ、はたまた"歌のお姉さん"的な山本嬢の表現豊かなヴォーカル、アルペジオを軸とした軽やかなギター・ロック/空間的ポスト・ロック・サウンドは、これまで以上に壮大となったアルバムコンセプトに共鳴するかのようにひとまわり大きな洗練を遂げております。ライトでありながら鋭角的なドライヴ感溢れるバンドアンサンブルと颯爽としたヴォーカルが加速する「アルケミスト」「青い太陽」「幻想ヴァルキュリア」。アレンジは程よくシンフォニックな程度に留めているのがやはり肉感的なロックバンドという印象を改めて感じさせてくれます。「ウロボロス」「問い-言葉無き叫び-」は、多重コーラスのハーモニーやハイトーンが吸い込まれるほどに美しい。ケイト・ブッシュ由来の感極まったような歌い回しもやはり強烈です。アカペラを中心とした小品「sephira」も、THE ECCENTRIC OPERAをフェイバリットに挙げている彼女たちらしい1曲。また、「ラピスラズリ-黒い石の夢-」「真の名前」のようなシンプルな構成の楽曲ほどアルバムの世界へと深く誘う神秘性や魔力が強まるように思うのは、ひとえに山本嬢のヴォーカルに因るところがやはり大きいのでしょう。確かな歩みを続けるバンドの姿を十二分に見ることができる、サウンド、コンセプト共にしっかりとした骨子を持った上でどっぷりとファンタジーにこだわった秀作。




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