2010年2月11日木曜日

QANTICE『he Cosmocinesy』(2009)

CosmocinesyCosmocinesy
(2009/02/23)
Qantice

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フランスのシンフォニック・メタルバンド  QANTICEの1stアルバム。メンバーには各種楽器をこなすマルチコンポーザーや、日本人女性(日系人?)のヴァイオリン奏者も含む4人編成。結成は02年で、05年と08年にデモ音源の制作を経て完成したのが本作。音楽性はFAIRYLANDを髣髴とさせられるドラマティックなシンフォニック・メタルあり、ヴォーカリストがアンドレ・マトスに似た声質(ただしそこまで線は細くない)のためか初期のANGRAを思わせるメロディック・パワーメタルあり、フルート/オーボエ奏者やイーリアンパイプ奏者、ヴォイスなどのゲストを迎えてのアコースティック・ナンバーありと多様。加えて民族色やテクニカルな展開を随所に織り込み、フォーク・メタル/プログレ・メタル的な側面も覗かせており、総合的に起伏とヴァラエティに富んだ仕上がりになっています。インストパートのみならず、ヴォーカリストのヴィンセント・ピチェルーのヴォーカルにもそこそこの安定感があるため、この手のバンドにありがちな部分的な貧弱さ/泣き所をチラつかせないところが頼もしい。爽快な疾走感を伴ったクワイアコーラスも実に効果的にキマっております。2曲目「Head Over Worlds」ではこのバンドのメロパワ的、そして3曲目「Pirates」にはこのバンドのプログレメタル的魅力が存分に詰まっているといっても過言ではありません。アイデアをいろいろ詰め込んでいるせいか楽曲がいまひとつ漠然とした印象を抱いてしまうのと、テンションに結構なムラがあるのが惜しいところでありますが、プログレメタラーやシンフォニックメタラーを惹きつける要素は多く、今後への期待感を抱かせてくれるには十分なデビュー作です。特に各種楽器やオーケストレーション、コンポーズまでこなすフロントマンのトニー・ビューフィルズは今後、第二のフィリップ・ジョルダノ(FAIRYLAND)的存在になるか!?といったところ。


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