2010年1月6日水曜日

プログレッシヴなゲームミュージック集 Vol.5

2年ほど前にニコニコに投稿した動画「プログレッシヴなゲームミュージック集」の能書きを旧ブログに書き残していたのだけれども、改めて手を加えて書き直し(といってもあんまり変わってないけど)てみる。




●成毛美智子(なるけみちこ)
「サイコドリーム」


日本テレネット制作の92年のアクションゲーム。作品の設定はこちらのサイトを参照していただきたいのですが、なかなか良い感じにキています。楽曲もデロデロと幾何学模様を描くような展開が多く、何やらプログレに通ずるところが見出せそう。曲によっては赤ん坊の声も入り狂気を演出。なるけ嬢の作風に口笛と荒野のイメージを持たれている方には本作の作風に驚かれるのではないでしょうか。しかし編曲センスはこの頃から素晴らしいものがあり、アヴェマリアのアレンジであるボス曲にはゾクリとくるものがありますし、シューベルトの子守歌のアレンジから一転して牧歌的な民族調のメロディが流れてくるエンディングは現在の作風に通ずんじゃないかと。


●大山曜/磯江俊道/穴井正和 他
「ガデュリン」


セタ制作による91年のRPG。戦闘曲はインパクト不足な感が否めませんが(ループがあまりにも短いのは別の意味でインパクトありますが)、それ以外の曲は印象深いものが多いです。メロディーラインもさることながらサウンドの鳴りも素晴らしく、スルメな味わいがあります。作曲に関わった大山氏、磯江氏、穴井氏の3人は現ニトロプラスサウンドチーム:ZIZZの主要メンバー。本作には他に崎元仁氏や佐藤天平氏も関わっていたらしいですが、それが本当ならメチャクチャ豪華なメンツですね。


●武内基朗
「シャイニングフォースII:現れた悪魔王/魔界の入り口」


以前も述べましたが武内氏はすぎやまこういち氏の弟子とあって、本作の楽曲からは氏の影響が多分に伺えます。しかしながら、プログレッシヴな味付けはこちらの方が濃いように思います。


●桜庭統/田村信二
「天使の詩 白き翼の祈り:Incident/Underpass/Mountain」


日本テレネット制作の「天使の詩」シリーズ3作目。作曲はテイルズオブシリーズサウンド組のお二人。やはり戦闘系の曲はグネグネバタバタしたプログレ調、どの楽曲も安定したクオリティが保たれております。ちなみに、天使の詩の1・2作目の作曲を手掛けていたのはなるけみちこ嬢。


●笹井隆司
「FF USA ミスティッククエスト:運命の丘/バトル2/溶岩ドーム」


ルドラの秘宝といいブシドーブレードといい、彼の作る楽曲は「必殺」というイメージがして堪らんです。

●伊藤賢治
「ロマンシングサガ ミンストレルソング:Chaos Labyrinth」


スタイリッシュなイトケン流キーボードプログレを展開した1曲じゃないかと。


●菊田裕樹
「クーデルカ:Incantation Again」


菊田氏が作曲だけでなくゲームデザイナーとして企画全般に関わった、サクノス制作の99年のRPG。本作のサントラは殆どがムービーシーン用の短い楽曲で構成されており、そのため実質的な楽曲と呼べるものは数曲ほどですが、菊田節はしっかりと伺えるのは流石です。とりわけ「Patience」におけるメロディラインは白眉。


●なるけみちこ
「ワイルドアームズ 2nd IGNITION」


シリーズ最高傑作の呼び名も高い2nd。サイコドリームの頃の作風と聴き比べてみるのも面白いのではないかと。


●森彰彦
「ミスティックアーク:勝負の時/おまえが闇の正体か」


エニックスによる95年のRPG。故.森彰彦氏による戦闘曲はどれもこれも神懸り的に素晴らしく、珠玉の名曲揃い。「勝負の時」はラスボス戦の曲ではないのですが、そのクライマックスな雰囲気と盛り上がりはもはやラスボス級。これだけでも十分度肝を抜かれましたが、ラスボス曲「おまえが闇の正体か」ではそれをはるかに上回る重厚なスケールを描き出しており、もはや脱帽せざるを得ませんでした。1ループ3分以上、トータル8分という長尺構成。ラストまで怒涛の勢いが続き、そのめくるめく圧倒的な重厚さには鳥肌が止まりません。森氏が今も健在だったらどのような作品を残されていたのかと考えると、彼の早すぎる死はあまりにも惜しまれます・・・。