2009年7月31日金曜日

ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2009.07.31

 インドアのライヴばかり行っていて、こういう野外フェスには一度も行ったことがなかったので、とりあえず行ってみようかしらんということで、 ROCK IN JAPAN FESTIVAL、一日目だけ参戦してきました。前日の予報だと終日曇りだという話だったので、絶妙な天気が続くのかしらと一抹の不安めいたものを感じて いましたが、実際は昼ごろから日差しが射し始めてからナイスな晴れ模様が続くようになり、絶好のフェス日和になったんじゃないかなあと(おかげで後日日焼けのヒリヒリ感に苛まれたけど)。


●THE BACK HORN
【LAKE STAGE】

「無限の荒野」
「声」
「刃」
「白夜」
「罠」
「涙がこぼれたら」
「上海狂騒曲」
「コバルトブルー」

 ロック・イン・ジャパンフェスは今年で10年目を迎えるそうですが、バックホーンも既に10年選手となるバンド、そして彼らのフェス参加は3年ぶ りということで、このオープニングアクトはなかなかにメモリアルなものを感じさせてくれました。しょっぱなから「無限の荒野」「声」「刃」と、いずれも男 臭く疾走するアッパーチューンを立て続けにぶちかまし、いきなりなんとも景気の良い流れでスタート。その後も「白夜」「涙がこぼれたら」といったグッとく るナンバーも挟みつつ、「罠」「上海狂騒曲」そして〆の「コバルトブルー」と、 ガッツリ聴かせつつハイテンションで一気に突っ切った満足と貫禄のセットリストでした。実際に見てみると本当にストレートにガツンとくるバンドなんだなあ と感慨もひとしお。ラストの「コバルトブルー」はやはり大盛り上がりで、オーディエンスの熱気で一気に周囲の気温がブワっと上がってたなあと。…終了後、 各STAGE間をうろうろして遠巻きにLOW IQ 01 & MASTER LOWや100s、プリングミンなどの演奏を見る聴くなどして約3時間くらいひたすらだらだらと過ごす。この陽気の中で演奏を聴きながら寝そべるってのは なんともラグジュアリィな行為ですね。あと炎天下でのバドワイザーのなんとうまいことか。食い物ともども高かったけど、こういうところで食い物に文句を言っちゃあいけないぜ(井之頭五郎風に)


●Scoobie Do
【PARK STAGE】

「トラウマティックガール」
「DRUNK BEAT」
「MIGHTY SWING」
「真夜中のダンスホール」
「Back On」
「夕焼けのメロディ」

 今日見た中で強烈に印象に残ったのが彼ら。入念なサウンドチェックの後、紺、白、茶、黒のスーツでバシっとキメた4人組が颯爽と登場。コヤマ シュウ氏のMCはとにかく熱い名言のオンパレードというか、「ギターでしか語れない男、いや、あえてギターでしか語りたくない男、マツキタイジロウが問い かけます!」という口上から続けて「ロックンロールやめますか?それとも人間やめますか?」、「こんな真昼間からロック聴きに集まってるやつらが、ロック ンロールやめるわけがねえ、ならば人間やめちまえ!」「主役はみなさんってことでいいですか!」などなど、客のハートをガシっと掴んでスウィングさせるの がすこぶるうまい。コール&レスポンスやハイジャンプ、タオルをぶん回すといった行為を次々と促しているのも相まって、オーディエンスのボルテージは天井 知らずにひたすら上昇する一方。いつの間にやらPARK STAGEにはギッシリの人が(それを見てコヤマ氏「音楽バカの引力に惹かれて人が集まってきたぜ!」とこれまた熱いコメント)。また、コヤマ氏はMCも さることながら、猥雑なジェスチャーを交えつつセクシーに動き回るわ、かと思えばステージの左右はおろか柱にまでよじ上るわ、パフォーマンスもやったらハ イテンションで終始停滞知らず。しかも一挙手一投足、何やっても様になってるんだからホントもう惚れちまうほどにナイスガイとしか言いようがなかったで す。もちろん楽曲やバンドサウンドも極上で、こってりしたファンクグルーヴはライヴで何倍も魅力を増しててぶっ放されていて非常にホットでした。めちゃく ちゃアツい野郎共による短いながらも濃密な数十分間、素晴らしかったです。


●GRAPEVINE
【LAKE STAGE】

「疾走」
「超える」
「NOS」
「Pity on the boulevard」
「白日」
「FLY」
「Glare」

 やはり先ごろ出た新譜『TWANGS』の曲がメイン。「疾走」「NOS」「Pity on the boulevard」の3曲をプレイ。「疾走」は確実に演るだろうなあと思っていましたが、まさか7分に及ぶ力作「Pity on the boulevard」をこのフェスで演ってくれるとは思わなかった(ちなみに18日の野音でのライヴでもプレイしていたそうです)。この曲のゆったりとし ながらもなかなかに起伏に富んだ展開や、「疾走」「NOS」の端々からにじみ出るかのようなレトロな味わいのあるムードなどを聴いていると、 『TWANGS』は03年の『イデアの水槽』とは違うベクトルでプログレッシヴなもの(あるいはブリティッシュロック的なモノ)を感じさせるのある作品だよなあと改めて思ったり。「超える」「FLY」という近年のシングル曲の間に、"懐かシングル"曲として98年の「白日」を挟むあたりもなんともニクイ。


●ACIDMAN
【GRASS STAGE】

「CARVE WITH THE SENSE」
「アイソトープ」
「FREE STAR」
「ファンタジア」
「リピート」
「赤燈」
「Under the rain」
「ある証明」
「Your Song」

 全部見るつもりでしたが、体力的にちょいとキツかったのと、混雑が予想されるので早めに会場を出ようと思い、「赤橙」のあたりで後ろ髪を引か れつつ離脱。2日前に新譜を出したばかりということで、1曲目は早速新譜からの曲でした。3人ともやはり確固たる存在感を放っていたのでそれを生で見れた だけでも十分満足だったかなと。…とまあ、思い返してみるともうちょい予習しとけばよかったなあとか、いまひとつ回りきれてないなあとか、思うところは 色々ありますが、前からライヴで見たいなあと思っていた4バンドは全部見れたのと、楽しかったのでとにかくよし。以上であります。

2009年7月22日水曜日

奥井亜紀『Wind Climbing』(1995)

Wind Climbing
Wind Climbing
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奥井亜紀
ダブリューイーエー・ジャパン (1995-03-25)
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 シンガーソングライター 奥井亜紀の95年発表の2ndアルバム。魔方陣グルグルのエンディング曲となり、その染み入るような内容から十数年経った今でも衰えぬ人気を誇る「Wind Climbing~風にあそばれて~」が収録されているのが本作ですが、同じく「風」をテーマにしたそのほかの楽曲も、朗らかなポップスからしっとり系~壮大なバラードまで、タイトル曲に勝るとも劣らぬ内容。大村雅朗氏や小野寺明敏氏らによるアレンジはいずれも彼女の歌唱力を十二分に生かしたもので、遺憾なく魅力が味わえます。シンフォニックなAORとでも形容したくなるアレンジが彼女の声質と相まって非常に鮮烈にオープニングを印象付ける「Speed Of Love」。彼女のヴォーカルのエネルギッシュな側面を見せるパワーチューン「Win Win Wind」。ZABADAKにも通ずる民族色溢れる雰囲気に満ちた「風になりたい」。粛々とした中で力強く歌われる、シンプルながらも壮大な構成が白眉な「フィーヨルディー(北の港に住む精霊)」は、渡辺等氏と中原信雄氏によるマンドリンプレイも素晴らしい。そこから自然に繋がる「Wind Climbing」。T-SQUAREの本田雅人氏がウィンドシンセで参加したシリアスなバラード「三日月夜」。と、ズラリと並んだ楽曲の充実度は目を見張るものがあります。ちなみに、本作がリリースされてわずか7ヶ月後に3rdアルバム『Voice Of Hallelujah』が発表され、95年に彼女は2枚のアルバムを発表することになるのですが、当時の彼女の制作意欲が非常に高まっていたことが伺えるかのようです。リリースから十数年経ちましたが、本作を含めワーナー時代の4枚のアルバムは未だに再発される動きがないのが惜しまれるところ…。



奥井亜紀:公式

2009年7月15日水曜日

The Barque Of Dante『Final Victory』(2009)

中国のHR/HMバンドといったら十数年ほど前は黒豹(BLACK PANTHER)や唐朝(TANG DYNASTY)といったバンドくらいしかなかなか名前が挙がらなかったものですが、ここ10年で中国のHR/HM事情も大分様変わりしたようで、Youtubeを見ているとハードロックからプログレメタル、ハードコア、デスメタル/メロデス、果てはグラインドコアまで、数多くのバンドが登場してきている模様。今回紹介するこのバンドもその一つ、中国は重慶のメロディックスピードメタルバンド バークー・オブ・ダンテ(但丁之舟)の1stアルバム。バンド結成は05年、女性ヴォーカルとヴァイオリン担当のメンバーを擁する5人組。ウォーターハウスの「シャーロットの乙女」を使ったジャケットはいささかメロスピとミスマッチな感がありますが、05年のデモ音源ではバンド名の由来となったドラクロワの「ダンテの小舟」を使っているので彼らなりのこだわりがあるのかもしれません。

 サウンドのほうはSONATA ARCTICAやNIGHTWISH、HEAVENLYといったバンドから影響を受けているのがよくわかるいかにもなメロスピっぷりで、東洋的メロディを織り込んだ「Intro」からタイトル曲の疾走チューン「Final Victory」へと雪崩れ込む流れはホントもう王道。男性ヴォーカルはお世辞にも線が太いというタイプじゃないので危なっかしいのですが、その辺はクワイアコーラスで補強しているのであんまり気にならないです。選任キーボーディストやドラマーがいないので、煽りまくるギターソロに比べてキーボードソロがショボかったり、リズム隊が打ち込み臭かったりするのは流石にどうにもならんのですが、楽曲の勢いが勝ってるんでこれも無問題かなと。バラードナンバーはヴァイオリンパートと女性ヴォーカルを生かしたしっとりしたつくりで、男性ヴォーカルとのいい感じのデュエットを展開しております。しかしながらこのアルバムのハイライトはラストに収録されているDRAGONFORCE「My Spirit Will Go On」のカヴァーかなあと。カヴァー曲がハイライトってのもなんだか妙なものですが、かなりの健闘ぶりを見せるカヴァーなので驚きました(さすがに原曲の超速ギターソロパートはちょっと誤魔化してますが)。というかこのバンドの曲をカヴァーしようと思うあたりが豪快というか何というか(笑)。DRAGONFORCEにとっては良い弟分バンドが出来たんじゃないでしょうかね。





The Barque Of Dante:Myspace
CHINESE ROCK DATABASE:但丁之舟楽隊 THE BARQUE OF DANTE
The Barque Of Dante:Encyclopaedia Metallum

2009年7月11日土曜日

FAIRYLAND『Score To A New Beginning』(2009)

Score to a New BeginningScore to a New Beginning
(2009/05/19)
Fairyland

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 フランスのシンフォニック・メタル・バンド、フェアリーランドの3rdアルバム。前作リリース後、キーボーディストのフィリップ・ジョルダナ以外のメンバーが全員脱退し、バンド形態から一転してフィリップ主導のソロ・プロジェクト形態へと相成り、HeavenlyやSerenity、Pathosrayのメンバー等、外部から総勢16名のミュージシャンを招集して制作されたのが三部作の完結編にあたる本作。初期のバンドは終始疾走しまくりのクサメタルサウンドでしたが、ここにきてもはやどこを切っても完全なるシンフォニック・エピック・メタルへとグレードアップ。メンバーが殆ど脱退してもなんのそのな奮起ぶりで、ストリングスやクワイア・コーラスの重厚なバッキングとキーボードソロを軸にドラマティックに煽りまくる内容は、ヒロイック極まりないジャケット・イラストに全く引けをとってないです…その一方で、全体的に枠にはまっててなかなか踏み込めなくなってるというか、小奇麗にまとまっちゃってる気もします。一発目のキラーチューン「Across The Endless Sea Part II」でさえもどこか一歩引いているような印象がするのは前作以上にアルバム構成や楽曲構築にこだわったからなのか、バンドからゲスト召集型のソロ・プロジェクト形態になったからなのか、意欲的なのになんだかジレンマめいたものを感じて少々もどかしい部分もありました。その辺は今後の活動で解消されていくことに期待したいところ。と、アレコレ言ったものの、終盤の9分に及ぶタイトル曲は3~4曲分のアイデアをガッツリ放り込んだであろう練り込みに次ぐ練り込みで非常に濃密な9分間を構築しており、素晴らしいの一言。身も蓋もないことをぶっちゃけしまうとこの1曲でアルバムの眼目は凝縮されてると言い切りたいです。何はともあれラストのこの曲でドカンとキメてくれたのはデカかった。



FAIRYLAND:Wikipedia

2009年7月7日火曜日

THE ALFEE『Nouvelle Vague』(1998)

70年代半ばにALFIEでデビュー。フォークから出発し、時代の流れと共にニュー・ロック、ハード・ロック、プログレッシヴ・ロック、デジロック、テクノ、AOR、パンク、ビート・ポップと、多様な音楽性を血肉として取り入れ、今なお変化し続けているTHE ALFEE。坂崎幸之助氏のアコースティック/フォークのエッセンスと高見沢俊彦氏のハードロック/プログレ的なエッセンスが混ざり合った音楽性はプログレ的な視点から見ても興味深いものがあります。80年代中盤からのアルバムには叙情的で大作志向な曲が1~2曲は入っているのですが、90年代に発表された『ARCADIA』『夢幻の果てに…』『LIVE IN PROGRESS』『Nouvelle Vague』の4枚のアルバムは、ALFEEのプログレ的な方向性が非常に高まっていた時期の作品であり、アルフィーのプログレ的側面を語る上ではいずれも外すことの出来ないものです。今年、デビュー35周年記念で彼らの全カタログが再発されましたし、この機会に是非とも聴いてみてはいかがでしょうか。

ポニーキャニオン|THE ALFEE 35周年記念完全限定生産!!
http://www.ponycanyon.co.jp/alfee/alfee.htm

Nouvelle Vague【SHM-CD】(紙ジャケット仕様)Nouvelle Vague【SHM-CD】(紙ジャケット仕様)
(2009/03/18)
THE ALFEE

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 '96年のアルバム『LOVE』からバンドはストリングスサウンドを導入し始めるのですが、'98年リリースの『Nouvelle Vague』は、前作での試行を踏まえてよりインパクトのあるサウンドを目指した作品。先に挙げた『ARCADIA』『夢幻の果てに』と比べるとトータルとしてのプログレ度は低いのですが、冒頭を飾る「Crisis Game~世紀末の危険な遊戯」「Nouvelle Vague」の2曲の存在感は一際大きく光っています。後者は、革命・革新をテーマにした「幻夜祭」の姉妹編とも言える1曲で、QUEEN風のコーラスワークも交えたド派手なシンフォニック・メタルを聴かせます。『銀河鉄道999~エターナル・ファンタジー』『ウルトラマンダイナ』の主題歌タイアップである「Brave Love~Galaxy Express 999」「Save Your Heart~君だけを守りたい」の2曲はキャッチーなシンフォニック・ハード・ロック曲(時期が近いせいかサビのメロディラインが似ているのはご愛嬌と言うべきか)。「Save Your Heart~」は他アーティストへの提供曲でもあり、提供版はヴォーカルを際立たせるためにギターが完全にバッキングに徹しているのですが、セルフカヴァー版はギターサウンドが前面に押し出されていて、なんだかDerek & The Dominosの「いとしのレイラ」のプログレハード版という印象も感じます。以降の楽曲には押さず引かずの程よいバランスを保った佳曲「Beyond The Win」、イカしたブギーロックナンバー「Good Times Boogie」や、壮大なラストを飾る長尺フォークロックナンバー「明日の鐘」があるものの、前半のインパクトがあまりに強いために後半の楽曲はどうしても水をあけられている感がしてしまうのが惜しい。



2009年7月6日月曜日

THE ALFEE『夢幻の果てに』『LIVE IN PROGRESS』(1995)

 70年代半ばにALFIEでデビュー。フォークから出発し、時代の流れと共にニュー・ロック、ハード・ロック、プログレッシヴ・ロック、デジロック、テクノ、AOR、パンク、ビート・ポップと、多様な音楽性を血肉として取り入れ、今なお変化し続けているTHE ALFEE。坂崎幸之助氏のアコースティック/フォークのエッセンスと高見沢俊彦氏のハードロック/プログレ的なエッセンスが混ざり合った音楽性はプログレ的な視点から見ても興味深いものがあります。80年代中盤からのアルバムには叙情的で大作志向な曲が1~2曲は入っているのですが、90年代に発表された『ARCADIA』『夢幻の果てに…』『LIVE IN PROGRESS』『Nouvelle Vague』の4枚のアルバムは、ALFEEのプログレ的な方向性が非常に高まっていた時期の作品であり、アルフィーのプログレ的側面を語る上ではいずれも外すことの出来ないものです。今年、デビュー35周年記念で彼らの全カタログが再発されましたし、この機会に是非とも聴いてみてはいかがでしょうか。

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夢幻の果てに夢幻の果てに
(2009/03/18)
THE ALFEE

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『夢幻の果てに』は通産15枚目となるオリジナルアルバムであり、『ARCADIA』と双璧を成すプログレ/メタル色の濃厚な作品です。トータルアルバムとしては『ARCADIA』に軍配が上がりますが、テクニカルな要素や、個々の楽曲の強烈なインパクトではこちらに軍配が上がります。楽曲もよりパワフルにグレードアップしており、80年代後期からアルフィーの4人目・5人目のメンバーとして参加してきた長谷川浩二氏(ds)、菊地圭介氏(kbd)が、それぞれ派手なドラミングと味のあるオルガン&キーボードプレイで貢献されています。しっかり地を踏みしめるように堂々たる展開が力強いシンフォニック・ロック「孤独の影」、一転してスリリングな変拍子でゴリゴリと押し込んでいくプログレッシヴ・メタル「幻夜祭」、得意の厚いコーラスワークとこれでもかとキャッチーな曲調でグイグイ引っ張っていくプログレ・ハード「LIBERTY BELL」「罪人たちの舟」(イントロがBOSTONの「More Than a Feeling」ぽい)、ジャパメタバンド顔負けのヘヴィや疾走感さを歌謡曲的キャッチーさと共に遺憾なく押し出した「殉愛」「悲劇受胎」と、怒涛の流れが続きます。特に「幻夜祭」はハイテンションに極まったコーラスワークや国産プログレ特有の垢抜けないカッコ良さも含めて秀逸な楽曲ですし(高見沢氏主導の楽曲展開ながら、やはりドラマティックなアコギパートがしっかり入るあたりは坂崎氏の面目躍如といったところ)、「悲劇受胎」での高見沢氏のヴォーカルのテンションは楽曲の疾走感と相まって非常に極まっております。後半にはタイアップ曲3曲を含むクセの少ないポップな曲が中心、前半と比べると若干散漫な印象はあるものの、「冒険者たち」「まだ見ぬ君への愛の詩」「WILD BAHN!」など、花のある楽曲が揃っています。






LIVE IN PROGRESSLIVE IN PROGRESS
(2009/03/18)
THE ALFEE

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『夢幻の果てに…』リリース後に行われたNHKホールでのライヴを収録した2枚組ライヴ盤。『LIVE IN PROGRESS』というタイトルの通り、セットリストは『夢幻の果てに…』からの曲を中心としたプログレ系の選曲となっており、澱みない曲の流れや2枚組のヴォリュームもあって非常に聴き応えのある作品。名曲「メリーアン」シングルのB面曲「ラジカル・ティーンエイジャー」や、横浜フリューゲルスのオフィシャルソング「Victory」のシングルB面曲「Time Spirit」、'88年のドラマ挿入歌だった「見つめていたい」といったマイナーな曲も収録。10分にも及ぶ「哀愁は黄昏の果てに…」、そして「トラベリング・バンド」への繋ぎ、「Saved By The Love Song」における壮大なアレンジ等、アルフィーのプログレ的側面を味わうならまずこれから聴くのがいいと思います。2枚目ラストに収録されている「JUMP'95」はふくしま国体テーマソング「JUMP!」の別アレンジヴァージョン(この曲のみスタジオ音源)。カラっとした明快なロックナンバーであります。

2009年7月5日日曜日

THE ALFEE『ARCADIA』(1990)

 70年代半ばにALFIEでデビュー。フォークから出発し、時代の流れと共にニュー・ロック、ハード・ロック、プログレッシヴ・ロック、デジロック、テクノ、AOR、パンク、ビート・ポップと、多様な音楽性を血肉として取り入れ、今なお変化し続けているTHE ALFEE。坂崎幸之助氏のアコースティック/フォークのエッセンスと高見沢俊彦氏のハードロック/プログレ的なエッセンスが混ざり合った音楽性はプログレ的な視点から見ても興味深いものがあります。80年代中盤からのアルバムには叙情的で大作志向な曲が1~2曲は入っているのですが、90年代に発表された『ARCADIA』『夢幻の果てに…』『LIVE IN PROGRESS』『Nouvelle Vague』の4枚のアルバムは、ALFEEのプログレ的な方向性が非常に高まっていた時期の作品であり、アルフィーのプログレ的側面を語る上ではいずれも外すことの出来ないものです。今年、デビュー35周年記念で彼らの全カタログが再発されましたし、この機会に是非とも聴いてみてはいかがでしょうか。

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ARCADIAARCADIA
(2009/03/18)
THE ALFEE

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 1990年リリースの『ARCADIA』は、当時のFENCE OF DEFENSEの作風にも通じるエキゾチックな雰囲気を織り込んだタイトル曲「Arcadia」に始まり、アコースティック・ギターのアクセントが劇的さを引き立てるメタルチューン「Masquerade Love」、曲調やコーラスのハーモニーに当時活動中だったAnderson Bruford Wakeman Howeっぽさも少々感じさせるパワーバラード「Rainbow In The Rain」、叙情的なイントロから一気に加速していくジャパメタ風味の「Count Down 1999」(PVにおける高見沢氏の派手なヴィジュアル系メイクとギラギラな格好を見るに、当時デビューしたばかりのX-JAPANを思いっきり意識していたんだろうなと)、と、ハードなキラーチューンがガンガン続いていくアルバム前半は本当にスキがない仕上がりで、この充実ぶりは実に素晴らしいものがあります。後半はストレートなメッセージのロックチューンを挟みつつ、印象的なコーラスを織り込んだアコースティック曲「流砂のように」、徐々に盛り上がるダイナミズムで展開するシンフォニックバラード「Mind Revolution」「On The Border」などの壮大な曲がメイン。アルバム全体を通して楽曲にしっかりとした統一感があり、コンセプチュアルなプログレ・ハード作品としてもダントツの内容です。