2007年9月9日日曜日

今井寿&藤井麻輝、異端者二人のインダストリアル・ユニット ― SCHAFT『SWITCHBLADE』(1994)

SWITCHBLADESWITCHBLADE
(1994/09/21)
SCHAFT

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 BUCK-TICKの今井寿、SOFT BALLETの藤井麻輝、一筋縄ではいかない異端者二人がタッグを組んだインダストリアル・ユニット、シャフトが'94年に発表した、現時点での唯一のオリジナルアルバム。PIGのレイモンド・ワッツがヴォーカル/プログラミング/ノイズで、MAD CAPSULE MARKETSのCRA¥(UEDA TAKESHI)とMOTOKATSUが一部リズム隊で参加しております。レイモンドはアルバム制作にも関わっており、実質3人目のメンバーのような存在だった模様。その他、Meat Beat Manifestoをはじめとしたインダストリアル界隈の人脈が多数名を連ねています。澱んだアンビエントから強烈に叩きつけるインダストリアル、捻くれたボディビート、異空間的ノイズ、無機的なヒップホップまで楽曲は多種多様に及んだ全13曲78分。非常にクセがあるアルバム構成なので何度聴いても把握に困るシロモノですが、「異端者同士が悪巧みすると輪をかけて一筋縄ではいかないものが出来上がる」ということの好例(?)でありましょう。


 藤井氏作曲によるアンビエントナンバー「Olive」は奥方である濱田マリ嬢に捧げられた曲だそうですが、美しい情景が目に浮かぶと言うよりは得体の知れない波の中をたゆたっているというような印象で、この人にとって美という観念はどう映っているのだろうかと、何だかとても氏の脳内ヴィジョンが気になってきます。「The Hero Inside」 「Arbor Vitate」 「Cold Light」といった咆哮するインダストリアル系ナンバーも十分カッコ良いですが、それ以上に衝撃的だったのはAll About Eveのジュリアンヌ・リーガンをゲスト・ヴォーカルに迎えての、マリアンヌ・フェイスフル「Broken English」のカヴァー。演説のサンプリング、高揚を煽るバッキングのストリングスや妖しく淡々とうねるマシン・ビートの効いたメタリックなアレンジが極右的なカッコ良さを持つ孤高のナンバーで、とにかく痺れました。この曲が聴けただけでも手を出した甲斐はあったというもの。異物感と攻撃性と悪意の混濁で聴き手を翻弄してくるので万人に薦められるモノとは言えませんが、御両人の強烈な個性を垣間見たい人は是非一聴をば。ちなみに、このユニットが契機となって今井氏とレイモンドとの関係はこの後も続くこととなり、'01年にSCHWEINの結成に至ることとなります(藤井氏はこのプロジェクトには参加していませんが、櫻井敦司氏やKMFDMのサシャ・コニエツコが参加しております)。


「Broken English」は、OVA版HELLSINGの海外用トレーラー映像に使用(後にOVA第五巻の挿入歌にも)されました。これ以上ない見事な選曲、そして見事なハマりっぷりです。




SCHAFT:Wikipedia
藤井麻輝:Wikipedia
今井寿:Wikipedia

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